おとなもこどもも、夏休みの“自由研究”に! 指揮者・藤岡幸夫にきく、関西フィル×ザ・シンフォニーホール『親子定期演奏会』の楽しみ
8回目は「王道」クラシック
――こどもの頃、コンサートへ行った思い出を教えてください。
親に連れられて親子コンサートへ……NHKホールにも行きました。小学3、4年生の頃だと思います。スッペの喜歌劇「軽騎兵」序曲やチャイコフスキーの「花のワルツ」(バレエ音楽「くるみ割り人形」より)って入っていきやすかったですね。
――指揮者としてこどものためのコンサートを手がけるようになり、何か心がけていることはありますか?
親御さんのハートをつかむ!
こどもたちは感じてくれます。でも、親御さんが「面白い」と思って来てくれるようじゃないと、オーケストラの将来はないな、と。初めてコンサートホールへ行き、しかも親御さんとお出かけするわけですから、こどもたちは楽しいでしょ。ホールで生のオーケストラのサウンドを聴けば、ほとんどのこどもたちは喜びます。でも、親御さんを喜ばせるのは難しいですね。親御さんがつまらないと感じれば、次の年はお子さんを連れて行かないと思います。
――藤岡さんと関西フィルハーモニー管弦楽団の「親子定期演奏会」は、第8回を迎えました。“夏休み、自由研究はこれで決まり!”としては今年で3回目、テーマは《200年前のヨーロッパの音楽と画家》です。藤岡さんが先ほどおっしゃった「生のオーケストラのサウンド」は、そのポイントの1つですね。それから、2つ目のポイント「ロマン派って何?」について教えてください。
絵になるというか、絵画的というか……ロマン派は古典派のあとの時代だから、音楽を通して絵が見えてくるでしょ。ロッシーニの「スイス軍の行進」(歌劇「ウィリアム・テル」序曲より)だってビゼーの組曲「アルルの女」だって。それから、ドヴォルザークの「新世界」(交響曲第9番)もノスタルジックな音楽で、ヨハン・シュトラウスⅡ世のポルカ「雷鳴と電光」は文字通りそういう曲です。古典派よりも、ロマン派はわかりやすいですよ。
バッハの時代には教会のために音楽があり、そのあとのモーツァルトの時代には貴族のために音楽があり、さらにベートーヴェンは市民のために音楽を書き始めました。ロマン派の音楽は、こどもたちには一番わかりやすいでしょう。むしろ、ベートーヴェンの方がよほど難しいと思います。
――3つ目のポイントは「世界の有名な絵画を知ろう」。音楽とともに、絵画も実際に見ることができるのですか?
そう。絵も知ってもらう!紹介する絵は、曲には直接関係ないけれど、その音楽に関連する国と結びつくような絵を選んでいます。
――色とりどりのプログラムですね。
オペラもありますし、チャイコフスキーのバレエ音楽もあります。
チャイコフスキーのお母さんはウクライナ人で、彼の交響曲第2番「小ロシア」の「小ロシア」ってウクライナのことなんです。彼は天国でこの戦争を悲しんでるだろうな……そういう話もしてみようかと思っています。
ゲーム音楽やディズニーなどをやるファミリーコンサートよりも、もう少しクラシック音楽を楽しんでいただくというコンセプトです。プログラムにも、ディズニーやゲーム音楽をあえて入れず、王道のザ・シンフォニーホールらしくいきたいですね。
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