菊池修司、竹中凌平らが紡ぐ恋模様とは~舞台『佐々木と宮野』公開稽古・取材会レポート
舞台『佐々木と宮野』稽古場より
2022年7月23日(土)~7月31日(日)、東京・シアター1010にて開幕する舞台『佐々木と宮野』。開幕を目前に控える中、佐々木秀鳴役の菊池修司、宮野由美役の竹中凌平らキャスト7名が参加した公開稽古と取材会が行われた。
2022年にTVアニメ化され、2023年にはアニメ映画化が決定している春園ショウによる同名人気漫画の舞台化作品。ボーイズラブ漫画が好きな“腐男子”宮野とちょっぴり不良な先輩・佐々木が出会い、少しずつ特別な関係へ進んでいく男子高校生たちの日常が描かれている。
稽古場には教室を中心に据えた階段状のセットが仮組されていた。時折響くセミの鳴く声、チャイムの音が夏の暑い学校の風景を想起させる。稽古開始の10分前、キャストたちが続々と稽古場入り。「よろしくお願いします」と入ってきた菊池は、自身が演じる佐々木のビジュアルを彷彿とさせるオレンジカラーのTシャツ姿。傍らで竹中は、準備運動をしながら何やらセリフを反復している。上田堪大、川隅美慎、北村健人、阿部快征、伊崎龍次郎が集まると、一気に和やかなムードに。
まずは、校内での喧嘩をきっかけに出会った佐々木(菊池)と宮野(竹中)が、平野大河(上田)を通じて再会する場面からスタート。校内での喧嘩事件をきっかけに、BL漫画を愛する宮野(竹中)が気になり始めた佐々木(菊池)。一途に想いを寄せる佐々木と、戸惑いながらも次第に心惹かれていく宮野のピュアな恋愛模様が描かれていく。
稽古中は菊池と竹中がお互いのスクールバッグを取り違えたり、上田と川隅のぎこちない手押し相撲に北村が爆笑したりと、まるで高校生のようなやりとりにクスッとさせられることがしばしば。シーンを重ねるごとに風紀委員の活動、クラスメイトたちとの帰り道など何気ない高校生の風景が描写されていく。
見学したのは要所のみをピックアップされたシーンではあったが、佐々木が宮野へ抱く恋心のみずみずしさが随所で光っていた。二人きりで紡がれるシーンでは、シャッターを切るのも躊躇うほど繊細な瞬間も。佐々木が宮野を、宮野が佐々木を見つめる視線やしぐさの一つひとつに、もどかしい感情が凝縮されている。
公開稽古が終了すると、7人は自然と円になって集まっていた。「緊張した!」と和気あいあいと感想を言い合っている姿は、男子高校生そのもの。ほんわかムードのまま、取材会へと突入した。
取材会では、本番に向けた意気込みや作品を演じる楽しさや難しさ、好きなシーンや見どころについて語った。
佐々木秀鳴役・菊池修司
「普段の作品では(役の)心理をお客さんに想像してもらうことが多いが、今作は正反対。佐々木や宮野にある心の言葉を出していく作業という、今までにない観点でお芝居をしています。丁寧に言葉を届けられたら」と役作りについて話した菊池。「佐々木が我慢できずにキスしてしまいそうになるシーンでは、宮野と大きなすれ違いが生まれてドキマギしてしまう。あの瞬間は言葉ひとつ発するのに時間がかかります」と打ち明け、「言葉一つひとつが温かくて、見た方も心温まる作品。本番をぜひ楽しみにしていただけたら」と力を込めた。
宮野由美役・竹中凌平
劇中のお気に入りの場面を「タイミングが合わずに、佐々木と会えなくなってしまうシーン。佐々木先輩からいつも来てもらっていたのに、自分も会いたくなっている宮野がかわいい」と挙げた竹中。「ダンスや殺陣などの派手な見せ場はないですが、繊細な心理描写や心のアクションがたくさんある作品。しっかりお客様に伝わるように描いていきたい」とし、「夏にぴったりな、キュンキュンする作品をお届けできたら。ご来場をお待ちしております!」と笑顔を見せた。
平野大河役・上田堪大
「(公開稽古の)前日に粗々通しをした段階です。まだまだブラッシュアップしていって、劇場には素敵な作品をお届けしたい」と話す上田は、竹中の言葉を借りつつ「中盤にある教室で寝ている宮野を、佐々木が見守るシーンが大きなキーポイント。あれがまさに心のアクションだと思います」と語った。
小笠原次郎役・川隅美慎
作品の魅力を「他ではなかなかできない“カップル萌え”ができる作品。この世界のどこかで起きているような日常を描いています」と語った小笠原次郎役の川隅。「佐々木と宮野が、近い距離で触れ合う瞬間がとても大事。シアター1010という大きな劇場で演じる上でどこまで伝わるのかが難しくもあり、注目してもらいたいところでもあります」と述べた。
半澤雅人役:北村健人
「大きな事件は起きないけど、彼らの日常にとっての事件を掬い出していく作品。いつもとは違う逆転の発想で取り組んでいく」と話した半澤雅人役の北村。SNSなどで見かけた原作ファンの反応に触れ「初めて劇場に来てくださる方も多いのでは。この作品で触れたことを機に『舞台ってこんなに面白いんだ!』と思ってほしい」と意気込んだ。
暮沢丞役・阿部快征
作品について「恋って難しいですよね……」と切り出し、キャスト陣から「なんで芝居がかってるの?」などとツッコミを受けた暮沢丞役の阿部は「恋にはいろんな形があります! この作品でひとつの答えがわかるはず。恋に悩んでいる方、恋を学びにきてください」とPR。好きなシーンについては「佐々木と宮野に対して、みんなが手を差し伸べるシーンが推しです」とのことだった。
田代権三郎役・伊崎龍次郎
田代権三郎役の伊崎は「原作でリアルに描かれているみずみずしい言葉と感情は、劇場だからこそお客さんと共有できる部分」とし「男子高校生ならではのわちゃわちゃした感じや、佐々木と宮野たちの心の機微や物理的な距離に、息をのんだり、笑ったりキュンキュンしてください」と話した。
動画撮影の際には「バイバイよりも『来てね!』って言ったほうがいいよね」と、手を振る仕草から次第に手招きポーズに代わっていく場面も。繊細な作風を表現しきろうとする気概と緊張感はもちろん、作品を作り上げる純粋な仲間同士の絆が垣間見ることができた。稽古期間は残りわずかだが、まだまだ進化が期待できそうだ。
取材・文・撮影=潮田茗
公演情報
S席(1階席)9,900円(全席指定・税込) ※未就学児入場不可
A席(2階席)7,700円(全席指定・税込) ※未就学児入場不可