「みんな“ズッ友”で」フレンズ、2年半ぶりの全国ツアーがスタート　ファンとの再会を叶える

フレンズ『Superb TOUR 2022』2022.7.7  恵比寿LIQUIDROOM

痛みを経て進化した4人組バンド「フレンズ」が7月7日に、恵比寿LIQUIDROOMのステージに立ち、全国７カ所を巡るツアー「Superb TOUR 2022」をスタートした。ファンと2年半ぶりの再会を叶え、ボーカルのえみそんが「♪共に歩いていこう」と呼びかけた特別な一夜をレポートする。

開演時刻を少し過ぎたころ、トランペットの音が高らかにフロアに響いた。開幕を祝福するような演出に沸き立つリスナー。再会を待ちわびていたファンはステージ中央に立ったえみそんを、一心に見つめていた。全身で作り上げた音楽を表現していく、えみそんの姿は神々しいものがあった。

「夜は嫌い」では、ギターの三浦太郎と声を合わせたえみそん。2人の伸びやかな歌声を、ベースの長島涼平と、ドラムの関口塁のリズム隊が力強く支えている。「よろしく。フレンズです」と元気いっぱいにあいさつし、会場を和ませたえみそんは、フロアに広がる笑顔に顔をほころばせていた。

7カ所を訪れるツアーの初日を迎え、嬉しさを抑えきれないよう。えみそんは、「恵比寿LIQUIDROOMにお集まりいただき、ありがとうございます。無事に開催することが出来ました。毎日、心配で食べ過ぎちゃって。何か口に入れていないとそわそわしちゃうから。でも無事にみなさんの顔を見られて嬉しいです。今日はホームパーティーみたいな感じで。みんな“ズッ友”で。古い曲から新しい曲までやっていくので、楽しんで」と弾んだ声で語りかけていた。

MCで触れた通り、ライブの数日前に、「４人の最高を詰め込んだ」と胸を張る、ミニアルバム「Superb」を世に放ったばかり。収録曲「U.L.K.」の演奏前には、一体になろうとばかりに、えみそんが考案したというダンスを1ポーズずつレクチャー。会場は「この世のネガティブワードを詰め込んだ」歌詞に合わせて、アグレッシブに揺れていく。ビデオ撮影もOKとあり、左手で「U」「L」「K」のハンドサインや、サムズダウンを続けるファンは、右手にスマートフォンを持ち器用にステージの様子をとらえていた。

カラフルな照明の演出やファンが生むクラップなどで生まれた熱を、歌うエネルギーに変えるように。揺れる観客をぐいぐいと引っ張っていくえみそん。飽きさせない要素てんこ盛りで幸せを届けていた。

「あちあちだわ。みんな最高じゃない。最高が最高を超えて、Superbな状態になっています」と口を開いたえみそんは、そのままメンバー紹介へ。三浦は「ツアーは2年半ぶり。7カ所を周るんですけど、今日が東京で良かったと思います。音源は昨日出したんですけど、みんなに愛してもらえるように頑張ります」と続け、ベースの長島涼平にバトンタッチ。長島は「（えみそんじゃなくて）太郎さんだとテンション上がらない…」とボヤいたが、「初日にみんなの顔を見て安心しました。みなさんのお陰でフレンズがやれています。良いライブとめちゃめちゃ良い音源を作るんで、応援してください」と頭を下げた。

続いてマイクを手にしたドラムの関口塁は「僕らは今日を皮切りに７カ所を巡ってきます。この2年半の間、東名阪はやったけど、（規模が拡大し）やっとバンドが動き出したなという感じがします。緊張してちょっとぶっきら棒な顔をしているけど、今日も来てくれてありがとう」とはにかんでいた。トリを務めたえみそんは「みんながいてフレンズだと思います。私たちは7周年を迎えて、8年目に向かいます。これからもたくさんの思い出を一緒に作って行きたい。今日という日を、また新しい思い出の1ページにしましょう」と呼びかけると、大切な人と時間を重ねていく幸せをつづった「cruising memories」を熱唱。「♪共に歩いて行こう」と訴えるえみそんの姿に、目を潤ませる人もいた。

初期の代表曲「夜にダンス」では、韻を踏んだリリックとえみそんの美しいファルセットが、フロアを揺さぶった。中盤には演奏する手を止めた長島がスマートフォンを手に、自撮りをする時間も。最前列の客からスマートフォンを受け取ったえみそんは、ファンのスマホを手にステージからの目線を撮影し、持ち主を喜ばせていた。

「みんなで歌おう」と始まった「Love,ya！」では、イントロでファンがジャンプするなどヒートアップ。キラキラとした夏の日を盛り上げるような楽曲では、えみそんとほんわかした掛け合いを見せた三浦が歌詞を変えて歌い、七夕の夜を盛り上げていた。終盤にはダイナミックなドラムを刻む関口の前に、えみそんらが集合。その深い絆を感じさせた。

約1時間半で16曲を演奏したライブの最後には、メンバーが横一列になり、「みなさん、ツアーに行ってきます！」と手を取り合って一礼。8月19日の大阪・Shangri-Laまで全7カ所を回るツアーへと旅立っていった。

 

取材・文：翡翠
撮影：Ray Otabe