『RISING SUN ROCK FESTIVAL』3年ぶりの開催直前! 主催のWESS・若林良三氏に開催に向けての思い、RISING SUNならではのポリシーを訊いた【インタビュー連載・エンタメの未来を訊く!】

インタビュー
音楽
2022.8.9

■日々の生活の中で「これはRISING SUNに使えるかも」ということは常に考えている

――今年のラインナップについても訊かせてください。金曜日はASIAN KUNG-FU GENERATIONがヘッドライナー、土曜日はKing Gnuがメインの時間帯に登場します。このセレクトについてはいかがでしょうか。

今回はまずうちのスタッフがタイムテーブルを考えて、そこから僕と意見交換して決めていきました。ただ、僕は「ヘッドライナー」という言葉がどうもしっくりこないんです。決して、その出順だけがハイライトというわけではない。確かに金曜日はASIAN KUNG-FU GENERATIONがそれに当たりますが、土曜日の朝方最後に出演するBEGINも金曜夕方のブレイク前のNUMBER GIRLも、もちろんKing Gnuも素晴らしいステージを期待してブッキングしているので、ヘッドライナーという概念はライジングには適用しにくいですね(笑)。基本は、この時間帯にこの人に出てほしいというイメージや、前後の流れなどを考えてタイムテーブルを組んでいます。例えば北海道出身のアーティストでバトンを渡すというのもあったり、その時間の空模様など、いろんなことを考慮していますね。

――13日のSATURDAY MIDNIGHT SESSIONも、奥田民生さん、岸田繁さん、甲本ヒロトさん、渋谷龍太さん、TOSHI-LOWさん、中村佳穂さん、上原ひろみさんなど豪華な面々が出演しますが、これはどういうところから生まれた企画なんでしょうか。

元々RISING SUNでは、ルーツミュージックをベースに置いてたくさんのミュージシャンでひとつのショーを作っていく「FRIDAY NIGHT SESSION」という企画をやっていたんです。第1回は2013年で、いくつになってもメインステージでやれるんだというところを下の世代にも見てほしかったので、仲井戸"CHABO"麗市さんをフィーチャーした構成。2回目はOKAMOTO’Sにハウスバンドになってもらい、ロックンロールを軸に流れを考えました。それ以降もSCOOBIE DOがホストのソウル&ディスコ縛り、真心ブラザーズがホストの「石狩フォーク村」、東京スカパラダイスオーケストラをホストにピーター・バラカンも迎えてルーツ・オブ・スカみたいなことだったり、本当にいろいろなことをやってきましたね。これはさっきも言ったように、打ち上げの席なんかの何気ない会話から生まれたアイデアだったりするんです。『ARABAKI ROCK FEST.』もそれに近いと思いますが、こういうことができるのは、プロモーターが主催しているフェスティバルだからこそじゃないですかね。今までは2日間の通し券を買ってくれたキャンパーズだけが観られる特別なコンテンツだったんですが、今年は2日目の夜中に持ってきました。内容は、当日までのお楽しみということで(笑)。

――そういったミュージシャン発信の企画や、フェスでしか観られないスペシャルなセッションを長年積み重ねてきたのも、RISING SUNならではの財産になっていると思います。

そうですね。僕自身も映画を観ては「ああ、こういうことをRISING SUNでできないかな」とか、日々の生活の中で「これは使えるかも」っていうことは常に考えています。

■会場の中は仲良く平和であってほしい

――ちなみに今回は3ステージで、SUN STAGEとEARTH STAGEとHygge(ヒュッゲ) Stageという新しい名前のステージができるわけですが。このHygge Stageはどんなコンセプト、どんなイメージですか。

今年の予測入場者数から逆算すると、ステージの数を減らさなければならなくなって。特にエリアを縮小するためには、北海道で開催されるRISING SUNらしさが表現できるRED STAR FIELDとBOHEMIAN GARDENの二つを諦めざるを得なかったんです。でもなんとかそのDNAを残せないかなという思いもあり、単なるステージではなく一つのエリアを作りたいと思いました。ギターやピアノの弾き語りのような最小限の編成でもライブができるステージと、あとはBOHEMIAN GARDENにあったコミュニティの考え方──太陽光で電力をまかなったり、生ごみを堆肥にして育てたじゃがいもを配布したりといった再生可能で循環型の取り組みを、ここで踏襲する予定です。Hyggeは、デンマーク語で「居心地がいい空間」「楽しい時間」とかそういう意味で。北欧って1年の半分以上が雪にとざされていて、だからこそシンプルに、ちょっとした工夫で質がいいものを楽しむという考え方があるみたいなんですが、それって北海道にも近いと思うんです。来年はあるかどうかわからないステージですが、このHyggeの発想はこの先も持っていたいですね。

――は早々にソールドアウトしました。待っていた方、今年こそ行きたいと思っている方が多いということが改めて示されたと思うんですが。開催発表から現時点に至るまでの、周りからの反響や声はどんなふうに感じていらっしゃいますか。

冒頭の話に戻りますが、「開催してくれて嬉しいです」という声がより具体的になってきた感じですかね。今現在コロナウイルスの感染状況がどう変異していくのか分からないし、まだ手探り状態のところももちろんあります。毎年出演アーティストを発表する前の段階で何万人もの方にを買っていただいているのは、主催者側と参加してくれる皆さんとの信頼関係がすべて。本当に、気持ち的にはお客さん全員とハイタッチしたいぐらいですよ(笑)。でも今年は2年以上のブランクを経ての開催ですから、もう一度根本に立ち返って臨まなければなりません。今の世の中は何かと余裕がなくなり対峙や衝突も多いですが、会場の中は仲良く平和であってほしいと願います。自分が困っていた時助けてもらったように、周りに困っている人がいたら手を貸してあげる。こんな時代だからこそ、アナログでヒューマニズムなつながりを大事にしたいですよね。

取材・文=柴那典

※この取材は7月15日に行われました。

イベント情報

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2022 in EZO
2022年8月12日(金)北海道 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
2022年8月13日(土)北海道 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
〈雨天決行・オールナイト開催〉
12日 Open 9:00 / Live Start 13:30 / Live End 22:00 予定
13日 Open 9:00 / Live Start 11:30 / Live End 05:00(14日)予定
 
<出演者>
8/12 fri 
ASIAN KUNG-FU GENERATION
OAU
カネコアヤノ
岸田繁(くるり)
Creepy Nuts
クリープハイプ
SADFRANK
ズーカラデル
SUPER BEAVER
ずっと真夜中でいいのに。
sumika
TENDRE
長岡亮介
中村佳穂
羊文学
YOASOBI
8/13 Sat 
秋山黄色
映秀。
奇妙礼太郎
King Gnu
Saucy Dog
坂本慎太郎
スガ シカオ(ソロ)
田島貴男〈ひとりソウルショウ〉
東京スカパラダイスオーケストラ
怒髪天
NUMBER GIRL
Vaundy
ハルカミライ
BEGIN
BiSH
the pillows
04 Limited Sazabys
フレデリック
My Hair is Bad
マカロニえんぴつ
milet
緑黄色社会
LOSALIOS
ROTH BART BARON
SATURDAY MIDNIGHT SESSION 
~明日に架ける歌~
菌滅の音楽会 
 
音楽監督
斎藤有太(Piano)
 
菌滅音楽隊
Violin:マレー飛鳥
Violin:清水泰明
Viola:志賀恵子
Cello:西谷牧人 
Drum:山木秀夫
Drum:伊吹文裕
 
Guest Singer
奥田民生
岸田繁(くるり)
甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)
渋谷龍太(SUPER BEAVER)
TOSHI-LOW(BRAHMAN/OAU)
中村佳穂 
 
Guest Player
上原ひろみ
 
【オフィシャルHP】
https://rsr.wess.co.jp
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