山口乃々華×奥村佳恵×和田琢磨 初共演の3人が語る、オリジナルミュージカル『SERI〜ひとつのいのち』出演に向けての意気込み
ーーご自身の役の印象はいかがでしょう? また、どのようにアプローチしていこうと考えていらっしゃいますか?
和田:父親役や夫の役って、あまり人生で経験がなくて。実年齢的には適齢期というか、丁度いい年齢だと思います。役に対して自分でどう作っていこうかというのは、奥村さんと山口さんからいろいろ吸収して、そこに素直に反応して役を作っていけたらいいなと思っています。彼らに起きた出来事は非日常的ではありますが、台本を読んでいてわからなかったり共感できなかったりということはなかったので、自分の人生で経験してきたことや感受性を広げていけば、そんなに難しくはないかなと思っています。技術的には難しいことがいっぱいありますけど(笑)。
和田琢磨
山口:千璃の誕生から小学校に入るまでの、両親と一緒に過ごす6年間が描かれているのですが、私は目も見えるし言葉も理解できるし、千璃の状況は自分からはとても遠く、簡単に理解できることではないと思うんです。でも考えてみたら、それが千璃ちゃんにとっては当たり前であって、伝える手段が私たちと比べると少ないというだけで、きっと心は同じくらい、いや、もっと豊かに動いているかもしれないなと思いました。なので感性のアンテナをしっかり張って、身体で覚えていきたいなと思います。
奥村:私が演じる美香は、感情の幅もすごく大きく描かれていて、自分の感情の高ぶりを歌にしているシーンもかなりあります。音楽の力ってすごく大きいと思うので、引っ張られ過ぎるとバランスが取れなくなるのかなと。なので、音程をしっかり取っていくということも含めて、自分の中であまり引っ張られ過ぎないようにやっていきたいと思います。
奥村佳恵
ーー実在するご家族を演じるにあたって、何か覚悟をされたり、責任のようなものを感じることはありますか?
和田:今までも実在の人物を演じさせていただいたことはあるんですけど、それでビビっていたら何もできなくなってしまいます。ただ、台本になるべく嘘なく向き合いたいなとは思います。今回はアメリカで暮らしている日本人家族の話ですが、日本で暮らしている家族の中でも起こり得るような会話が散りばめられているので、真摯に、そのときの状況に都度向き合っていけば、自ずと自分の役やシーンで伝えたいことは浮かび上がってくると思います。そういうことを心がけていきたいです。
山口:私は同じ原作を元にして作られたリーディング・ミュージカルの作品を観たことがあって、そのときに結構心にズシンときてしまいました。今回、ご縁があって出演のお話を奇跡的にいただいたんですけど、最初に「やりましょう」と言うのに覚悟が必要なくらい、私が演じる千璃ちゃんはとても稀な障害を持っていて、難しいんじゃないかと思いました。でも台本を読んでいく中で、美香と丈晴という二人の夫婦(千璃の両親)が諦めないでいてくれたことに愛情や希望を感じ、この家族になりたいなと思えたんです。とても責任は感じています。
山口乃々華
奥村:実在されていて、しかも今現在生きていらっしゃる方々を演じるのは、確かにいつものお芝居と比べると少し圧みたいなものを感じてはいます。けれど、どんな作品に出演するにしても板の上でお芝居をするのは私であって、私の身体、私の声でお客様に届けるものです。台本は原作に対して忠実に描かれていると思うので、私は台本に書かれている通りに、そのシーンがお客様に届くように、舞台の上で必死に生きるということをするしかないなと思います。