役者人生52年目、72歳の加藤健一がパワー全開で日本初演の一人芝居に挑む~加藤健一事務所『スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面』

ニュース
舞台
2022.8.14
加藤健一

加藤健一


加藤健一事務所は、『スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面』(作:ジャスティン・ブッチャー、訳:松岡和子、演出:鵜山 仁)を2022年8月18日(木)~28日(日) 、下北沢・本多劇場で上演する。日本初演。本作は、加藤健一出演の一人芝居である。

もともと加藤健一事務所は、役者・加藤健一が一人芝居『審判』を上演するために1980年に立ち上げた劇団だ(加藤健一事務所の『審判』は全26公演・計239回の上演が行なわれた)。劇団といっても、団員は加藤健一のみ。上演プログラムからキャスティング、演出、照明、音響、美術、衣裳など全てに渡って加藤本人がプロデュースするという体制をとっている。それは、加藤が本当に芝居の好きな役者たちを集めて舞台づくりをする場であり、既成の劇団とは異なる個性的かつ活発な活動を可能たらしめてきた。そうした積み重ねを経て、2022年で役者人生52年目、72歳になった加藤が、劇団の原点ともいうべき一人芝居に改めて挑むことは大いに注目に値する。

今回加藤が挑む『スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面』は、2001年10月、ダブリン・シアター・フェスティバルにて初演(演出:ルパート・グールド、出演:ピート・ポスルスウェイト)された。2021年6月、ウィルトンのミュージックホールでの上演(演出:ガイ・マスターソン)では、作者ジャスティン・ブッチャーが出演した。そのブッチャーは、ロンドン在住の劇作家・俳優であるのみならず、演出家・プロデューサー・劇場芸術監督・歌手・オルガニスト等、多岐にわたって活躍を繰り広げるマルチタレント。彼が1999年にオランダでテレビシリーズの監督をしていた時、夜の娯楽として「喜劇的で風刺的な千年紀の物語を書く」と自らに課して執筆したのが本作だった。作品には、彼の両親・親族の生まれや人生、そしてブッチャー自身が得てきた様々な経験が盛り込まれている。12歳の時に父親に連れられて観た『ゴドーを待ちながら』での衝撃も、“スカラムーシュ”を生み出した要素の一つとなっている。
 

<STORY>
1899年12月31日、19世紀の終わり、大晦日のカーニバルの中、美しい褐色の肌を持つ女から生まれた小さな赤ん坊は抜けるように白く、何か特別なことのために生まれてきた子だ…と、つけられた名前は道化師を意味する、スカラムーシュ。生涯で唯一“我が家”だといえる場所を僅か6歳で後にし、たった一日で孤児となり、奴隷となり、流浪の身となり…そしてこれが、これから長く続く波瀾万丈な旅路へのスタートとなる。時にその光景や匂いに恍惚とし、この世のものとは思えぬ魅力的な音楽と共に旅をした。自身の透き通るような白い肌によって巻き込まれた数奇な運命は、恐怖と喜びに満ちていた。そして今夜は1999年12月31日、20世紀のどん尻でありミレニアム・イブ。大きな花火が打ち上がる大晦日にスカラムーシュ―道化師―が己の人生を、仮面を剥がすように語り始める。


以下、加藤健一のコメントを紹介する。


2年半にも及ぶコロナとの長い闘いで、文字通り「刀折れ矢尽き」立っているのがやっとという日々の中、心に灯り続ける温かい光は、劇場に足を運んで下さる皆さまとの目に見えない絆です。そんな皆さまのエールにお応えするには、役者加藤健一が全身全霊で舞台に立つ姿をお見せするしかないと考え、この一人芝居を選んでみました。『スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面』は、今の僕にとって8,000メートル峰単独登頂に挑むような心境です。「そこに山があるからだ」と言った登山家がいますが、目の前に高い山が現れると、危険を顧みず挑んでみたくなるのは、舞台に生きる芝居者の性でしょうか。皆さまの応援だけが頼りです!!

加藤健一


【profile】加藤健一(かとうけんいち):静岡県出身。1968年に劇団俳優小劇場の養成所に入所。卒業後は、つかこうへい事務所の作品に多数客演。1980年、一人芝居『審判』上演のため加藤健一事務所を創立。その後は、英米の翻訳戯曲を中心に次々と作品を発表。紀伊國屋演劇賞個人賞(82、94年)、文化庁芸術祭賞(88、90、94、01年)、第9回読売演劇大賞優秀演出家賞(02年)、第11回読売演劇大賞優秀男優賞(04年)、第38回菊田一夫演劇賞(13年)、他演劇賞多数受賞。2007年、紫綬褒章受章。2016年、映画『母と暮せば』で第70回毎日映画コンクール男優助演賞を受賞。

公演情報

加藤健一事務所『スカラムーシュ・ジョーンズ or 七つの白い仮面』
 
■日程:2022年8月18日(木)~28日(日) 
■会場:下北沢・本多劇場

 
■キャスト:加藤健一
■作:ジャスティン・ブッチャー
■訳:松岡和子
■演出:鵜山 仁

 
■美術:乘峯雅寛
■照明:古宮俊昭
■音響:秦 大介
■映像:浦島 啓
■衣裳:加納豊美
■マイム指導:小島屋万助
■舞台監督:畑﨑広和


■公式サイト:http://katoken.la.coocan.jp/112-index.html
シェア / 保存先を選択