加藤健一事務所が『請願』上演~核問題と夫婦の愛の問題を融合させた珠玉の二人芝居

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俳優・加藤健一の主宰する加藤健一事務所が、ブライアン・クラークの戯曲『請願』(訳:吉原豊司)を、2025年12月3日(水)~12月14日(日)、東京は下北沢・本多劇場にて上演する。

本作は、今なお世界を覆う核兵器という影を背景に、とある老夫婦の愛が静かに深まりゆく物語。半世紀を共に歩んだ二人が、これまで秘めてきた心の扉を開いた時、そこには揺るぎない絆と温かな愛の光が差し込んでくる――。

【STORY】
ロンドンの高級住宅街で穏やかに暮らす老夫婦。退役軍人の夫・エドムンド(加藤健一)と、病弱の妻・エリザベス(増子倭文江)。ある日、エドムンドは核兵器反対の請願署名にエリザベスの名前を見つけて憤る。退役後もなお国家への忠誠を貫くエドムンドにとって、妻の行動は決して見過ごせるものではなかった。しかしそれは、半世紀以上連れ添ってきたエリザベスが、初めて本心を主張した瞬間でもあった。夫婦の議論が進むなか、互いに知らなかった真実が明らかになっていく――。


1945年広島への原爆投下当時13歳だった作者ブライアン・クラーク(イングランド生まれ)は、このことを素直に喜んでしまったというが、後にそのことを大いに恥じ、自分への贖罪として1986年に執筆したのが本作だ。1986年3月、ボストンのウィルバー劇場で初演。その後、ブロードウェイのジョン・ゴールデン劇場で続演された。日本国内での上演歴は、新国立劇場(2004年)、水田の会(2012年)など。加藤健一事務所では『請願~核なき世界~』のタイトルで2014年に上演したことがある(演出:髙瀬久男、出演:加藤健一、三田和代)。

加藤健一事務所としては11年ぶりの再演となるこの二人芝居のパートナーに、加藤健一と初共演の増子倭文江を迎える。また、演出は『サンシャイン・ボーイズ』や『煙が目にしみる』など加藤健一事務所ではお馴染みの堤泰之が手掛ける。

今回は公演タイトルも『請願』とあえてシンプルに変更し、思いを新たに挑戦する、愛の響く会話劇である。

なお、本作上演に合わせて、事務所創立45周年・加藤健一役者人生55周年を飾る1書籍『芝居狂 役者・加藤健一』(著者:中村義裕(演劇評論家)/東京堂出版)が出版される。12月8日(月)からの一般発売に先立ち、『請願』公演会場で先行販売が行なわれるので要注目。

■加藤健一(出演)コメント

「今どうしてもやっておかなくては!」という強い思いで上演を決めた作品です。

ブライアン・クラークという劇作家が国の核所有の是非をめぐる問題と、夫婦の愛の問題を見事に融合させた傑作ドラマです。ずっと以前にも上演しましたが、今回はキャストも演出家も一新し、僕自身も、核という強烈なテーマに引きずられ過ぎる事なく、夫婦愛というテーマをしっかりと見つめながら、前回とは違うアプローチをしたいと思っています。

きっと皆様の周りでも、毎日のように報じられる戦争の事や、大国の権力争いの事が話題になっていると思います。でも、このお芝居は決して怖い内容ではなく、心温まる感動のドラマに仕上げたいと思っていますので、是非応援していただきたく、伏してお願い申し上げます。

 

公演情報

加藤健一事務所『請願』

■作:ブライアン・クラーク
■訳:吉原豊司
■演出:堤 泰之

 
■出演:加藤健一、増子倭文江
 
■日程:2025年12月3日(水)~12月14日(日)
■会場:下北沢・本多劇場(東京都)
■料金(全席指定・税込)
前売:6,600円、当日:7,150円
高校生以下:3,300円 ※当日券のみ取り扱い、要学生証提示。

 
■公式サイト:https://katoken.la.coocan.jp/
 
■加藤健一事務所とは:1980年、役者・加藤健一が一人芝居『審判』を上演するために立ち上げた。加藤健一事務所の劇団員は加藤健一のみ。上演プログラムからキャスティング、演出、照明、音響、美術、衣裳など全てに渡って加藤本人がプロデュースするという体制をとっている。加藤が本当に芝居の好きな役者たちを集めて舞台づくりをする場であり、既成の劇団とは異なる個性的な活動を主とし、演劇界では常に注目を集める存在である。毎年、東京公演に加え、地方公演も活発に行っており、各地で好評を得ている。
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