自分と向き合う時間を届けたい 細貝圭×久保田創『最後の医者は桜を見上げて君を想う』インタビュー
■作品を通して自分自身と改めて向き合ってもらえたら
舞台『最後の医者は桜を見上げて君を想う』
――登場人物たちにそれぞれのスタンスがあります。お二人が共感する・気になるキャラクターは誰でしょうか。
細貝:やっぱりまりえちゃんが気になります。彼女が向き合ったことって、想像を絶するじゃないですか。読んでいても苦しい状況を21歳の子が受け入れて進んでいく。すごいよね。
久保田:2つの軸があって、福原先生は「生きることを諦めない」、桐子先生は「諦めることで見えてくるものもある」。すごく分かりやすい2軸に見えるのに、ALSという生きるのも死ぬのも辛い逃げ道のない病気が提示される。自分事として考えた時、誰もすぐには答えを出せないと思うんです。
細貝:しかも、彼女のバックグラウンドがね。医大に入学してこれからたくさんの人を救う立場になるという夢があって、両親も医者。その状況も相まってすごく印象に残っています。終活をしながら「生きている人間たちにこの姿を見せつける」っていうのが印象的で。
久保田:「辛いところも悲しいところも醜いところも見せつけるのが私の仕事」っていうね。どうやったらそこまでいけるんだろう。僕が印象的だったのは、福原が助けた患者さんは笑顔でありがとうございますと言ってくれる、それは太陽のような笑顔だと。ただ、死を目前にして色々なことを整理して自分の人生にけりをつけていくと、すごく無垢な存在になっていく、生まれる前のような状態になっていくというくだりがすごく響きました。生きていると欲も夢もあるけど、実際問題、本当にやりたいことってなんだろうと考えたんです。お客さんにとってこの作品がシンプルに「自分が一番やりたいこと」を見つめるきっかけになったらと思いますね。
――最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。
細貝:センシティブなお話ですし、目を背けたくなってしまうテーマかもしれませんが、登場人物全員にドラマがあり、それぞれ背負っているものがあります。その目線で見ていただけるとよりこの作品の深さが伝わりますし、自分と向き合える時間になると思います。ぜひ劇場に足をお運びください。
久保田:『最後の医者は桜を見上げて君を思う』というタイトルから、悲しいイメージを受けると思います。確かに命を題材にした話ですが、見終わった時に自分と向き合う時間が持てる作品だと思いますし、こちら側からは希望を届けられるようなお話を作っていきます。僕たちが色々話しても、観に来てもらえないと舞台自体が完成しません。お客さんが入って空間ができるものなので、ぜひ僕らと共有して、前向きな思いを受け取ってもらえたらと思います。ぜひ遊びに来てください。
本作は9月8日(木)より、CBGK シブゲキ!!にて上演される。
取材・文=吉田沙奈 撮影=池上夢貢
公演情報
■公演期間:2022年9月8日(木)~9月11日(日)
■ 原作:二宮敦人『最後の医者は桜を見上げて君を想う』(TO 文庫刊)
■ 構成演出:岡村俊一
■ 脚本:久保田創
■ 出演
細貝圭
山本涼介
鳥越裕貴
今泉佑唯
本西彩希帆(劇団4 ドル50 セント)
大串有希
濱田和馬
久保田創
河本祐貴
■ 一般発売日 2022 年8 月20 日(土)
■ お問い合わせ Mitt 03-6265-3201(平日12:00 ~17:00)
■ 公式HP:http://www.tobooks.jp/lastdoctors-stage/index.html
■協力:アール・ユー・ピー
■主催:TO ブックス