yutori、ヤングスキニー、ねぐせ。、クレナズムが競演、『CLAPPERBOARD』オフィシャルレポート
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『CLAPPERBOARD -Enjoy the weekend!- vol.9』 撮影=新保勇樹
次のシーンを作りだす期待のニューアーティストが競演する音楽イベント『CLAPPERBOARD -Enjoy the weekend!- vol.9』が8月9日に東京・渋谷CLUB QUATTROに開催された。yutori、ヤングスキニー、ねぐせ。、クレナズムが出演した本イベントのオフィシャルレポートが到着した。
次世代の音楽シーンを担う気鋭のアーティストが競演する『CLAPPERBOARD -Enjoy the weekend!-』。第9弾目となる今回は、yutori、ヤングスキニー、ねぐせ。、クレナズムの4バンドが出演。独創的・個性的なバンドサウンドと感情豊かな歌が響き合う、充実のステージが繰り広げられた。
■yutori
yutori
注目の若手バンドが揃った今回の『CLAPPERBOARD -Enjoy the weekend!-』。イベントのトップを飾ったのは、平均年齢19歳の4ピースバンド、yutori。2020年末に活動をスタートさせ、1年半の間に発表した4曲のストリーミング再生が500万回を越えているニューカマーだ。
ステージに登場したメンバー4人は“グータッチ”を交わし、まずは「ショートカット」を放つ。気持ちがすれ違う恋人たちの姿をリアルに映し出す歌、疾走感に溢れたバンドサウンドが広がり、10代後半~20代前半のオーディエンスが手を挙げて応える。続く「音信不通」「キミニアワナイ」もそうだが、現時点における4人の軸である“恋愛の痛みや切なさを描いた歌詞”と“性急にしてエモーショナルな音像”が真っ直ぐに伝わり、心と体を揺さぶられてしまう。少しハスキーな佐藤古都子(Vo/Gt)のボーカルに絡む、内田郁也(Gt/Cho)の鋭利でメロディアスなギターフレーズも素晴らしい。
yutori
焦燥にも似た高速のビートとともに、孤独や葛藤をストレートに響かせる新曲「ワンルーム」も鮮烈。そして、「こんなにたくさんの人の前で歌えるのはめちゃくちゃ幸せです」(佐藤)というMCの言葉とともにラストの「君と癖」へ。叙情性と激しさをぶつけ合うメロディ、サビの歌詞は、目の前の観客ひとりひとりに突き刺る表現力は、このバンドのポテンシャルの高さを証明していた。
yutori
■ヤングスキニー
ヤングスキニー
続いては、ヤングスキニー。シンガーソングライターとして活動していた“かやゆー。”(Gt/Vo)がSNSでメンバーを募集し、2020年夏に結成。TikTok、YouTubeなどを中心に音楽ファンの注目を集めてきたバンドだが、この日4人は、ライブバンドとしての魅力を見せつけた。1曲目は「憂鬱とバイト」。学校にも行かず、バンドは上手くいかず、週6のコンビニバイトを続けている状況を彼らは、ヒリヒリとした葛藤を滲ませながら、生々しくも朗らかに響かせる。すべての言葉が明確に聴こえてくるボーカル、歌詞を際立たせる演奏からも、“歌を届けたい”という意思が伝わってきた。8/10にリリースされた新曲「コインランドリー」は、夏の夜の風景、恋人たちの揺れ動く関係をテーマにしたミディアムチューン。鍵盤の音をとり入れたネオソウル系のアレンジ、穏やかに洗練された旋律は、この楽曲に初めて触れた観客をしっかりと魅了したようだ。
ヤングスキニー
「東京」では、都会のなかで自分を見失いそうになりながら、それでも“やりたいこと”をひたむきに貫く姿を熱唱。そして個人的にもっとも印象的だったのは、「らしく」だった。“僕は僕らしく、君は君らしく”という率直なメッセージにこんなにも強い説得力を与えられることこそがヤングスキーの魅力であり、大きな武器なのだと思う。「夏休みだからね。どっか遠くに行きたい!という曲です」(かやゆー。)というMCに導かれたラストの「ロードスタームービー」の開放感も最高だった。
ヤングスキニー
■ねぐせ。
ねぐせ。
バンドの楽しさ、音楽の素晴らしさを存分に感じさせてくれたのは、名古屋発の4ピースバンド、ねぐせ。。ステージに登場した瞬間からメンバー全員が笑顔。音楽のポジティブなパワーを高らかに歌う「グッドな音楽を」、自分を愛することの大切さをメッセージする「ベイベイベイビー!」の2曲で、会場全体を温かく、穏やかな雰囲気に包み込んだ。りょたち(Vo)によるフレンドリーな歌声、ゆったり身体を揺らしたくなるバンドグルーヴも心地よく、バンドのロゴが入ったタオルを肩にかけた観客にも自然と笑顔になっていく。
ねぐせ。
「自分たちの話なんですけど、この体制になってからもうすぐ2年。葛藤の2年だったので、こんなに大勢の人の前でやれるのはうれしいです」(りょたち)というMCのあとは、フォーキーな手触りのロックンロールとともに大好きな“君”への思いをストレートに綴った「猫背と癖」、4つ打ちのビート、煌びやかなギターフレーズが響き合うポップチューン「愛煙家」などを披露。オーガニックな音像と色彩豊かな音楽性、そして、日常のなかにある素朴で大切な思いを描いた歌によってオーディエンスを魅了した。最後は「みんなが幸せそうな笑顔だと、僕も幸せになります。ありがとう」(りょたち)というコメントに導かれた「スーパー愛したい」で多幸感を演出。まさに“宇宙で一番あったかいバンド”と呼ぶにふさわしいアクトだったと思う。
ねぐせ。
■クレナズム
クレナズム
イベントの最後に登場したのは福岡の4人組バンド、クレナズム。My bloody Valentineの楽曲をSEにした4人は、激しいフィードバック・ギターから1曲目の「白い記憶」を放つ。強烈な爆音と美しいメロディラインが共鳴し、一瞬にして会場を独創的なサウンドで染め上げた。歪んだノイズを響かせながら暴れまくるギタリスト・けんじろう(Gu)は、若き日のサーストン・ムーア(Sonic Youth)のよう。厚みのある轟音を突き抜ける、萌映(Vo/Gt)の凛としたボーカルも強烈だ。
続いては7月にリリースされた新曲「明日には振り向いてよ」。80’sシンセポップの要素を取り入れたアレンジ、華やかさと切なさを共存したメロディ、“好きな人に振り向いてほしい”と願う心情を表現したリリックが一つになったこの曲は、明らかにクレナズムの新機軸。観客は手を左右に振りながら踊り、ナチュラルな一体感が生まれた。
クレナズム
「わたしの生きる物語」も強いインパクトを残した。シューゲイザー直系のギターを中心にしたアンサンブル、そして、ポエトリーリーディングを交え、生きることへの辛さと葛藤、それでも前に進んでいこうとする意思を込めた歌。その真摯な表現と圧倒的なカタルシスはまちがいなく、すべてのオーディエンスの記憶に強く刻まされたはずだ。最後は、繊細な感情の移ろいを叙情的にして狂おしいサウンドに乗せた「青を見る」。ハイブリッドな音楽性と震えるような詩情を共存させた音楽性をダイレクトに示した、素晴らしいステージだった。
クレナズム
文=森朋之 撮影=新保勇樹
セットリスト
ライブ情報
会 場:渋谷クラブクアトロ
料 金:3,500円 ※ドリンク代別
出 演:idom / クボタカイ / Myuk / 八木海莉
全自由:3,500円(税込)
※整理番号付き
■『CLAPPERBOARD -Enjoy the weekend!-』公式Twitter
@clapperboard_JP