「ミュージカルを好きになった理由がここにあった」初共演の山崎育三郎&濱田めぐみが語る、『ファインディング・ネバーランド』の魅力
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――ご自身の演じる役については、今の段階でどんな人物だと捉えていますか?
山崎:バリは、大人にも子どもにもなりきれていないような人なんじゃないかな。自分もいつまでも子どもでいたいという気持ちがあるので、共感できる部分が多いです。当時のロンドンで子ども向けの『ピーターパン』というファンタジー作品を作ることは、大きな一歩を踏み出さないとできなかったこと。革命的なことにチャレンジする彼の強さも感じます。みんながやってこなかったことや批判が生まれるようなことに踏み込むのが、僕自身も割と好きなんです。
濱田:そうなんだ〜!
山崎:例えば、僕がミュージカルからテレビの世界へ一人で飛び込んだとき。「やめなよ」という批判的な声が多い方がワクワクするというか。そういうところにしか大きな変化って生まれないと思うんです。バリも「どうしてもこの作品をやりたい」という想いで戦った人なので、そういう部分がすごく共感できますし、魅力的に感じます。
――濱田さん演じるシルヴィアは、4人兄弟のお母さんという役どころです。そういえば山崎さんも4人兄弟ですよね。
濱田:え、4人兄弟なの?
山崎:そうなんです。弟が一人いて、兄が二人。男4人は大変ですよ〜。
濱田:シルヴィアは育ちゃん自身にとってはお母さんの立場になるのね(笑)。女1人で男の子4人を育てるのは大変だとは思うんです。でも家の中に4人も男の子がいると、頼りがいもあるんじゃないかなあと思います。シルヴィアはきっと素朴で、元気で、素直で、普通の感覚を持っている人。4人兄弟を育てていると心を閉じる暇もなくて、とにかく心を開け放っていると思うんですよね。だからこそ、バリは警戒もせずにシルヴィアたちと関係を築くことができたんじゃないかなあ。人生後ろを振り向かず、前向きにそのときそのときを一生懸命生きている。そんなイメージがシルヴィアにはあります。
――日本版初演の作品に取り組むことになりますが、そこに感じる魅力や難しさは?
濱田:『ファインディング』のように海外で上演された新作の場合に一番気をつけなきゃいけないのは、どうしても伝わりにくい部分が台本に含まれているということ。文化、時代背景、その国の特色、その国ならではの風習、言い回し……それらがふんだんに取り込まれているんです。翻訳された台本を読むと、3分の1くらいは翻訳しきれずもったいないことになってしまう。そこをどうお客様に伝わるように持っていくのかということ。
それとよくあるのが、英語を日本語に訳して歌うときに字数が足りなくて、どの言葉を抜粋するのかとか。こうした課題は、どんな新作でも必ず毎回ぶつかる壁です。すると、演出家や翻訳の方とディスカッションを重ねて積み上げていく作業がどうしても多くなります。そのことを念頭に置いて、自分では作品に関する事前勉強をものすごい勢いで進めていきますね。今回も大変だろうなという覚悟を持って臨みます。
山崎:今めぐさんがおっしゃっていたようなことを考える時間があるということが、すごく楽しみです。例えば『レ・ミゼラブル』『モーツァルト!』『ミス・サイゴン』『エリザベート』など、再演を重ねて既に出来上がっている作品の中で表現することの方が僕は多かったので。今回のような新作の現場では「自分はこう思う」「自分はこう変えたい」ということが起きてくるんだろうなと思います。自分は演者ではありますが、日本版としてゼロから作っていくぞという気持ちで、小山さんを筆頭にカンパニー一丸となって作り上げていくことがすごく楽しみ。だからこそ、これから作品に向けての準備や勉強は必要になってくると思います。
――最後に、公演を楽しみに待っているお客様に向けてメッセージをお願いします。
山崎:観終わったあとにメロディが残るというのがヒットするミュージカルの絶対条件だと思っているのですが、『ファインディング』にはそんな曲がたくさんあります。僕は、この作品が長く愛される作品になってほしいなと思うんです。子ども心を持ったまま想像力を働かせて楽しむという、人生が豊かになるヒントがこの作品に詰まっている気がするので、特に大人の方に観ていただきたい。自分が『ファインディング』を観たときに感じた「忘れかけていた大切なもの」が、みなさんも得られると思います。
濱田:きっと5月には素敵な作品として花開いて、観た方全員がワクワクした気持ちを抱いて、いろんな想いになれると思うんです。きっと小山さんがそれぞれのキャラクターの生き様も丁寧に描いてくださると思うので、様々な面から楽しめると思います。ぜひ今からバリの世界を楽しみにしていただいて、劇場でお会いできたらと思います。
取材・文=松村 蘭(らんねえ) 撮影=池上夢貢
公演情報
シルヴィア・デイヴィス:濱田めぐみ
フック船長/チャールズ・フローマン:武田真治
メアリー・バリ:夢咲ねね
デュ・モーリエ夫人:杜けあき
クローマー:廣川三憲
ヘンショー:星 智也
ジャック:生出真太郎、豊田侑泉(Wキャスト)
ピーター:小野桜介、長谷川悠大(Wキャスト)
マイケル:奥田奏太、谷慶人(Wキャスト)
<スタッフ>
原作:デヴィッド・マギー脚本によるミラマックス映画作品 アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』
台本:ジェームズ・グラハム
作曲・作詞:ゲイリー・バーロウ&エリオット・ケネディ
翻訳・演出:小山ゆうな
訳詞:高橋亜子
音楽監督:小澤時史
美術:二村周作
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
映像:上田大樹
衣裳:前田文子
ヘアメイク:宮内宏明
振付:松田尚子
歌唱指導:亜久里夏代
稽古ピアノ:森本夏生
演出助手:河合範子
舞台監督:小笠原幹夫
公式HP=https://horipro-stage.jp/stage/findingneverland2023/
公式Twitter=https://twitter.com/finding2023
期間:2023年5月15日(月)~6月5日(月)
会場:新国立劇場 中劇場
主催:フジテレビジョン/キョードー東京/ホリプロ
企画制作:ホリプロ
<大阪公演>
期間:2023年6月9日(金)~12日(月)
会場:梅田芸術劇場メインホール
主催: 梅田芸術劇場
お問い合わせ: 梅田芸術劇場 06-6377-3800(10:00~18:00)
https://www.umegei.com/schedule/1108/
<久留米公演>
期間:2023年6月17日(土)・18日(日)
会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール
主催:インプレサリオ
共催:久留米シティプラザ(久留米市)
お問い合わせ:インプレサリオ
info@impresario-ent.co.jp
https://www.impresario-ent.co.jp/
<富山公演>
期間:2023年6月24日(土)・25日(日)
会場:オーバード・ホール
主催:北日本新聞社 /富山テレビ放送 /イッセイプランニング
https://www.issei.ne.jp/2022/10/2023069901/
<名古屋公演>
期間:2023年6月30日(金)・7月1日(土)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール
主催:東海テレビ放送
https://www.tokai-tv.com/events/findingneverland-nagya/