古澤巖、山本耕史ら“粋な男たち”による音楽と言葉のエンターテインメントが開幕『古澤巌×山本耕史コンサート Dandyism Banquet tour 2022』
『古澤巌×山本耕史コンサート Dandyism Banquet tour 2022』
9月4日(日)、『古澤巌×山本耕史コンサート Dandyism Banquet tour 2022』が東京・Bunkamuraオーチャードホールで開幕した。
『古澤巌×山本耕史コンサート Dandyism Banquet tour 2022』は、俳優・山本耕史、ヴァイオリニストの古澤巖、ピアニスト・塩谷哲、ベース・井上陽介、パーカッション・大儀見元、ギター・小沼ようすけら“ダンディーな男たち”による音楽と言葉、粋なセンスとグルーヴ感あふれる新感覚エンターテインメントだ。ウィリアム・シェイクスピア、サン・テグジュペリ、アルチュール・ランボー、近松門左衛門、中原中也、太宰治といった“ダンディーな作家”の言葉と、塩谷のほか、ロベルト・ディ・マリーノ、スティング、グリゴラシュ・ディニークらの楽曲でセッションを繰り広げ、魅惑的な音楽物語を紡ぐコンサートだ。2023年1月28日(土)の宮崎公演まで、全国6都府県、全9公演を予定している。
『古澤巌×山本耕史コンサート Dandyism Banquet tour 2022』
初日の東京公演。オープニングでは、大時計や天体望遠鏡、本棚などが置かれた不思議な雰囲気の中、本棚の魔導書が光り、ひとりでに開いて、謎めいたスモークが空間に漂う。すると、本の世界の登場人物たちである古澤ら演奏者たちが登場し、謎めいた魅惑的な雰囲気のまま1曲目の「What can we do?」を奏でる。
そして、黒い衣装に身を包んだ“謎の男”山本が登場し、本棚を眺めて「本を開けば舞い上がる、言の葉、音の葉……。そして、芽生える音楽物語。夢、うつつ、幻、儚きまどろみ。深呼吸一つで現実が遠ざかる。さあ、君、粋なひと時を、お気に召すままに」と語り、一冊の本を手にして開くと、2曲目の「Time after Time」がスタート。
“謎の男”が本を閉じ、また別の本を手に取って開こうとするが今度はなかなか開かない。何度か挑戦し、力づくでこじ開けると同時に3曲目の「Spanish dance」が流れ始める。曲調を踏襲するように、この本は少々じゃじゃ馬なようで“謎の男”を振り回していく。上に行ったり、下に行ったり、横に引っ張ったり、“謎の男”は本に踊らされながらも、何とか本を閉じて「なかなか厄介な本でした…」と肩を撫でおろす。
『古澤巌×山本耕史コンサート Dandyism Banquet tour 2022』
続いて、「この本はおとなしい子でありますように」と願いつつ別の本を開くと、4曲目の「Tea for Two」が始まる。“謎の男”は「ほら、素敵なメロディーが聞こえてくるでしょう。そして、あなたの膝の上に座っている私を想像してみて。2人のためのお茶を、そして2人でお茶を、私はあなたのもの。そしてあなたは私のもの。2人きり」と語って、ティータイムを楽しむ。
5曲目の「コンチェルト第6番ʻ海ʼ」の後、演奏者とのセッションへ。“謎の男”の語りに合わせながら、パーカッション、ベース、ギター、ヴァイオリン、ピアノの順に音を際立たせてゆく。
6曲目の「English Man in NY」では、“謎の男”が「僕は、この街では、よそ者。エイリアンなのだ」と語った後、歌い出す。まるでミュージカルのようなテイストに、観客も思わず見とれていた。7曲目の「Eyes of Quaintrelle」も同様に、演奏者たちが奏でる極上の音楽と山本のすばらしい歌声に、観客たちはひと時の不思議な物語の世界に没入していた。
15分間の休憩をはさみ、第二部へ。演奏者たちがステージに再登場し、古澤がセンターに置かれた本を開くと同時に8曲目「遍照の祈り」がスタート。演奏後、再び登場した“謎の男”は本棚から本を取り出そうと近づくが、本には飽きたような素振りを見せ、テーブルの上にある映写機のスイッチを入れる。すると、9曲目の「Tonight」が始まる。
たっぷりのヴァイオリンの音色に誘われるように、ロッキングチェアの上で眠ってしまう“謎の男”。夢の中、“謎の男”は立ち上がり10曲目となる「そういうこと」を歌い始める。ゆっくりと静かに、歌いながらステージを移動し、歌い終わると同時にロッキングチェアに帰還。
眠りから覚め、立ち上がった“謎の男”は、演奏者たちを示し「すごいでしょ、この世界観。見てくださいこの絵面。みんなオッサン。もちろん、私も。ただね、オッサンにしかできない、いや、オッサンだからこそできることがあるんです」と語り、11曲目の「The Summer Knows」へ。
ほか、山本の一人芝居や「ひばり」「エル・クンバチェロ」といったアクティブな曲の演奏を経て、ラストの「From Now On」を披露。“粋な男たちの晩餐会”のラストにふさわしい山本の歌声と古澤らの音のセッションに、観客たちは心を躍らせているようだった。
アンコールでは、「マック・ザ・ナイフ」を披露。ジャズバーのような楽し気な雰囲気の中、メンバーを紹介。演奏後、観客と共に記念撮影を行い、“粋で素敵な時間”を締めくくった。
『古澤巌×山本耕史コンサート Dandyism Banquet tour 2022』
ツアー初日を迎え、古澤は「今回は物語がテーマということで、舞台のセットもよく見ると(演奏者の)皆さんが乗っている台が本になっていたりと、まるで『不思議の国のアリス』みたいなファンタジーあふれるセットを作っていただき、僕らはその中でワンダーランドに迷い込んだように、山本耕史さんに連れて行っていただきながら、共に奏でながら楽しみたいなと思っています」と心境を明かし、「こんな時ですから、またいつできるか、この先は何があるのか、明日が見えないこの時だからこそ、今日が最後だと思って僕らも頑張りますので、皆さんも『今日しかない』と思ってぜひ来ていただけたらうれしいです!」とアピールした。
一方、山本は「『見たことのない不可思議な空間』という言葉がぴったりくるような、ただのライブやコンサートでもなく、お芝居、ミュージカルでもない、大人の男たちが作り出した、まさに『ダンディズム・バンケット』。そういうふうにしか説明できないステージになっています」と語り、「想像以上にすごい世界観が出来上がった気がします。本を開いた瞬間にその世界が始まりまして、一つ一つの物語を音楽で表現していく。僕はそれをアシストするように、お客さんを気持ちいい世界に、お客さんが行きたい世界観に誘うというようなイメージでステージに立つので、心を委ねて、ふわふわと異空間に来たような気持ちで楽しんでくれたらうれしいですね」とコメントを寄せた。