[Alexandros]川上洋平、ジョーダン・ピールによる新時代のサスペンス・スリラー『NOPE／ノープ』を語る【映画連載：ポップコーン、バター多めで　PART2】

■完璧に理解できたとは言えないけど、そんな自分でもすごく楽しめた

――川上さん自身もエンタメシーンにおける見られる側ではありますが、それについては考えたりしました？

僕は「自分を見てくれ！」っていう人ですし、自らそこに入っていったわけですから、別に笑われてもいいんですけど。ただ黒人は仕方なくそういう立場を演じなきゃいけなかったところもあって、そこに悲劇が生まれるわけだけど。

――人種によって立場／役割が決まってしまっているという。

だから「見られたくない」という心理が生まれる。俺は自ら視線をぐっと合わせに行きますけどね。

――前提が違いますもんね。

前提が違うから、『NOPE』のことを完璧に理解できたとは言えないんだろうけど。でもそんな自分でもすごく楽しめた映画。監督も今回は前よりユニバーサルな作品を目指したんじゃないかな。

――確かに、『アス』はアメリカに住んでいるからこその根深い問題って部分が大きいですけど、『NOPE』はもっと広がりはありますよね。

うん。だから、日本でももっと流行ってほしいなって思う。「よくわかんねえ」って言われたらそれまでなんですけど。俺もうまくメンバーに説明できなかったし(笑)。

――でも、『NOPE』のIMAX回は、枠が少ないというのもあるかもしれないですけど、平日でもかなり埋ってたりして。映画好きには刺さってるとは思うんですよね。

そうですよね。正直観終わった後は「俺はすごい好きだけど……賛否ありそう」って思ってました。でもレビュー見ると高得点のものが多い。

――もうジョーダン・ピールってだけで観たいですしね。

間違いない。例えば、『トップガン』があって、『ミッション：インポッシブル』があってっていう、トム・クルーズだからこその映画だから観るっていう役者から入るパターンがあって。でもこれはもう間違いなく監督パターンに入りますよね。クリストファー・ノーランしかり、クエンティン・タランティーノしかり、カリスマ性のある監督の作品だから観るっていうものにジョーダン・ピールもなっていて。味がすごく濃い。まだ３作目だけど。次の作品も楽しみで舌なめずりしちゃいます。

――それはすごく思います。

ただ、『NOPE』は上映時間2時間10分だからちょっと長めですけど。久々に途中でトイレ行きたくなりました(笑)。

――あるあるですね（笑）。

そうならないようにちゃんと上映前にトイレ行くんですけどね……ここ、今回の自虐ポイントですね(笑)。

――中座したくないですからね。

まあ結局行かなかったんですけど、落ち着かなかったな。次回はIMAXで飲食なしで挑みます。いや無理だな(笑)……Sサイズにします。

取材・文＝小松香里

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