鈴木拡樹、2年越しの開幕に「精一杯、最後まで届けていきたい」　舞台『アルキメデスの大戦』ゲネプロレポート

数学者の視点から第二次世界大戦を描くという、かつてない切り口で創り上げた漫画を舞台化した『アルキメデスの大戦』がついに開幕した。2019年には、山崎貴監督によって映画化され、大きな話題を呼んだ本作。舞台化にあたって脚本と演出を手掛けるのは、読売演劇大賞をはじめ数々の演劇賞を受賞するなど、演劇界から注目されている劇団チョコレートケーキのクリエイター陣だ。独自の視点で史実に隠されたドラマを紡ぐ古川健の脚本と、骨太な作品の中に人間の心情を丁寧に描く日澤雄介の演出によって、前代未聞の頭脳戦を繰り広げる。

2022年10月1日（土）の初日前に行われた、公開ゲネプロの様子をレポートする。（高任久仁役の近藤頌利は、体調不良のため当面の間、休演。同役は神澤直也が務める）

物語の舞台は、1933年、軍事拡大路線を歩み始めた日本。航空主兵主義派の海軍少将・山本五十六（神保悟志）は、海軍少将・嶋田繁太郎（小須田康人）と対立していた。

戦意高揚を狙う海軍省は、嶋田や造船中将・平山忠道（岡田浩暉）とともに、その象徴にふさわしい世界最大級の戦艦を建造する計画を秘密裏に進めていた。これを知った山本は、空母の建造に着手すべきだと主張。しかし、平山は異常に安く見積もられた建造費をたてに、計画を有利に進めていく。

そして、鈴木と宮崎の関係にも注目だ。ファンの人にとっては、2015年に上演された舞台『弱虫ペダル』での共演が思い浮かぶのではないだろうか。当時は、同じチームの仲間という役どころだった2人。バディとして、協力し合いながら巨大潜水艦建造に反対するために駆け回る姿は胸を熱くさせる。

唯一の女性キャストである、尾崎財閥令嬢の尾崎鏡子を演じるのは福本莉子。櫂が山本を手伝うことを決意したきっかけにもなった女性という役どころだが、福本のイメージそのままの清廉で純粋で、心に強さを秘めた女性像を描き出していた。

2020年に全公演中止となり、2年越しの上演となった今回。ウクライナをはじめとした現在の世界情勢と相まって、「戦争」というテーマがより胸に迫る。芝居のぶつかり合いを楽しみながらも、「戦争」について改めて考える機会でもあった。

なお、初日公演に向けて、鈴木拡樹からのコメントも発表されている。

■櫂直役：鈴木拡樹　コメント

2年越しにしっかり初日を迎えることができました。
この作品を2年前から楽しみにしてくださっている皆さんのためにも、そして今回新しく知ってくださった方のためにも精一杯、最後まで届けていきたいと思います。皆様、お楽しみください。

本公演は10月17日（月）まで日比谷シアタークリエにて上演。その後、大阪・静岡・愛知・香川・広島にて全国ツアーが行われる。