反田恭平×JNOがフィナーレを飾る! 野外劇場で味わうジブリワールドから菊池亮太・ござらピアノ対決まで 「スタクラフェス in TOSHIMA」後半戦をレポート

2022.12.2
レポート
クラシック

【2】雨にも負けず……ピアニスト3人の熱狂ステージ! @GLOBAL RING THEATRE 17:15~

[出演]紀平凱成、菊池亮太、ござ

前半のジブリワールドに続いて17時15分開始の後半パートは、前半でも大活躍の菊池亮太、そして同じくピアニストの紀平凱成とござも加わってのピアノ対決。残念ながら日暮れとともに雨も次第に強く降りだしてきたが、レインコートを着込んだファンたちの熱気が会場にあふれていた。

トップバッターは、ロシアの作曲家カプースチンの超絶技巧作品や自らが作曲したオリジナル曲の演奏でもおなじみの若き俊英 紀平凱成。全国ツアーの途中での参加だ。演奏曲目はもちろん紀平の十八番、カプースチンの「演奏会用エチュード」や「前奏曲集」から演奏至難ともいえる二作品。冒頭から超絶技巧ピースをいとも軽やかに弾き上げ、早くも会場を沸かせた。

さらに「Blue Bossa Station」と題された紀平作曲の新たなオリジナル曲やチック・コリアの「Spain」をカイル流の艶っぽいアレンジで演奏。「Blue Bossa Station」は4分強の長尺だが、息もつかせぬスピード感とエッジの利いたビート感でジェットストリームのように激しくも痛快な一曲を一息に聴かせた。一曲一曲の間で大きく手を振って客席の喝采に応える紀平らしい天衣無縫なジェスチャーもまた客席を大いに賑わせた。

最後は、菊池亮太が加わってのデュオ演奏でルイ・アームストロングの「What a beautiful world」を披露。菊池が奏でるジャズボーカリストのような骨太でソウルフルな旋律に乗せて、紀平のピアノもいつもよりさらに大人びた音色を醸しだしていたのが印象的だった。

紀平凱成

紀平凱成と菊池亮太

二番目に登場したのはござ。彼もまたYouTubeではおなじみのマルチなピアニストだ。あらゆるジャンルのリクエストに対応し、自在に即興アレンジを加えての演奏が反響を呼んでいる。ステージに登場するなり弾丸トークを繰り広げ、一曲目に演奏するオリジナル作品「Chopin Syndrome」について言及。ショパン作品を20曲ほどつなげたのだという。確かに6分半の尺の中でショパン作品からの引用メロディが数小節ごとにめまぐるしく発展してゆくスゴい作品だ。おなじみのあの旋律が調性を変えて飛び出てきたりと、パロディ性やエンターテイメント性も多分に盛り込みながらも一つの格調ある作品に仕上がっているところが見事だった。二曲目のアイルランド民謡「ダニーボーイ」も途中でショパンの旋律を挿入するなど、最後までござらしいオリジナリティあふれるテンポ感の良いステージングでセッションをさらに盛り上げた。

ござ

最後に登場したのは菊池亮太。一曲目はピアノメドレーのレパートリーの中から、菊池オリジナルの「ラフマニノフメドレー」。冒頭、コンチェルト 第二番の耳慣れた旋律から始まり、前奏曲(プレリュード)数曲を経て、コンチェルト 第三番、そして、「パガニーニの主題による狂詩曲」第18曲のあの最も有名な旋律をたっぷりと聴かせ、ラストは再びコンチェルト 第二番で締めくくるという聴き手の心をくすぐらずにはいられない粋な構成も秀逸だ。

続いても、パガニーニによるヴァイオリンの独奏曲「24の奇想曲」からの主題をテーマにした菊池のオリジナルな一曲「パガニーニの主題による変奏曲」。途中にショパン作品や「エリーゼのために」のフレーズも飛び出し、パロディ風ながらも完成度の高い構成力に加え、その密度の高いエネルギーと集中力あふれる超絶技巧演奏で客席の度肝を抜いた。

菊池亮太

プログラム全体のフィナーレを飾ったのは、菊池とござのデュオ演奏によるビゼーの組曲「アルルの女」から「ファランドール」。「“スタクラ” にちなんで肘で鍵盤を鳴らす “クラスター奏法” を披露しつつセッションを華麗に締めたい!」と宣言しつつ演奏に挑む二人。かなりの音さえ感じられる土砂降りの中、クラスター演奏あり、鍵盤チョップあり、超絶グリッサンドありと、二人の一糸乱れぬエキサイティングな演奏に客席の熱狂ぶりも最高潮に達していた。

鳴りやまぬ拍手に二人は、さらにデュオで「Everything」を披露。熱狂ステージをしっとりとした一曲で締めくくった。演奏中「蛍の光」の旋律を盛り込んで会場にエールを贈る余裕も見せる二人。会場外でも人々が立ち止まって二人の演奏に吸い込まれるように耳を傾けている様子が印象的だった。

左から 菊池亮太、ござ

>(NEXT)フィナーレは反田恭平×Japan National Orchestra!

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