ザ・プレイボーイズ第10回公演『きみ、僕の世界のなんなのさ』稽古場レポート
撮影:堀山俊紀
ザ・プレイボーイズ第10回公演『きみ、僕の世界のなんなのさ』が、下北沢・シアター711にて2022年11月25日(金)から12月4日(日)まで上演される。
主宰である善雄善雄が、桜美林大学在学中に旗揚げしたザ・プレイボーイズは、「男にしかわからない(かもしれない)世界の、切なさとバカバカしさをあなたに」をテーマに、出演者は男性のみにこだわってきた。
約3年ぶりとなる本公演は、劇団史上初の女性キャストを迎え、売れない漫画家と、彼にしか見えない女性が中心となるストーリーである。
10回目の劇団公演で更なるチャレンジを試みるザ・プレイボーイズ。どんな新しい姿を見せてくれるのか。期待を胸に、稽古場レポートをお届けする。
(※以下、内容に言及しているのでネタバレ注意)
撮影:堀山俊紀
今作の主人公は、まもなく40歳を迎える、売れない漫画家のムラオカ(村田和明)。自分が売れていないのは、お金がないのは、世の中や社会構造が悪いと嘆いている。そんなムラオカの前に突然現れた女性(多田香織)。彼女はなぜかムラオカに好意を寄せていて、さらに不思議なことにムラオカにしか見えない。そんな彼女との出会いをきっかけに、少しずつ彼の人生は動き出す。
さらに、担当編集の居高(板倉武志)、友人の小金(おなか☆すいたろう)、超人気俳優の美ツ海(三津谷亮)、そして年の離れた妹・桜(濵尾咲綺)との関係も変わり始める。
売れない漫画家は、この世界に対してなにができるのか。まっすぐにコミカルに、不器用な人間たちを描いていく。
撮影:堀山俊紀
撮影:堀山俊紀
稽古場で特に感じたのが、そこにいる全員が発言しやすい、オープンな空間だということである。この日も俳優たち6人から作品に関する提案や相談が飛び交い、全員で話し合う時間が多く設けられた。演出の善雄善雄も、各人のチャレンジを大笑いで見守っている姿が印象的であった。
本作では「自分の人生において自分は主役なのか」というテーマもあるのだが、この稽古場ではどの役を演じる俳優も、「その人生の主人公」として輝き、作品を能動的に引っ張っているのを感じる。たくさんのチャレンジや、たくさんの対話がそれを物語っている。
撮影:堀山俊紀
撮影:堀山俊紀
本作は漫画をモチーフにした様々な設定と演出でストーリーが進んでいく。この日も俳優たちが走り回り、とてもエネルギッシュなシーンが続いた。善雄が本作を「SFラブサスペンスコメディ」と表現するように、賑やかでドタバタで、なんでもアリな展開が楽しめる。
撮影:堀山俊紀
撮影:堀山俊紀
だがその真ん中にはとても人間的な、日常的なテーマが流れている。観客はそれぞれの人生・それぞれの生活に照らし合わせて観ることができるのではないだろうか。ザ・プレイボーイズらしい「切なさとバカバカしさ」の溢れる世界感に、期待が高まる。
タイトルにもある「君」や「僕」が、自分の世界にとって「なんなのか」。その答えは、是非劇場で見つけてほしい。
写真/堀山俊紀
文/保坂麻美子
公演情報
■出演:板倉武志 おなか☆すいたろう 多田香織(KAKUTA) 濱尾咲綺 三津谷亮 村田和明