ClariSの語る「ClariSらしさ」とは? 『WINTER TRACKS -冬のうた-』全曲解説インタビュー
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ClariS
――では次、辛島美登里さんの「サイレント・イヴ」です。1990年リリース。まさかClariSがここをチョイスするとは! と思いました。しかもクララさんのソロ曲です。
クララ:これは候補の一曲で、今回声当てをする時に初めてメロディーを入れて歌った曲だったんですけど、すごく個人的にはしっくりくるというか。歌っていて私らしいなって自分でも思えるような楽曲でしたね。
――それは僕も思いました。想像以上にピッタリでした。
クララ:選曲をする段階でカレンとスタッフさんと曲を絞っていくっていう作業をしたんですけど、「これはクララの楽曲だね」っていう風に言って頂けるくらいハマった楽曲だったので、コンセプトミニアルバム初のソロ曲ということで入れさせていただけることになりました。すごく嬉しい限りです。
――「サイレント・イヴ」は改めて調べたんですけど、結構いろいろな人にカバーされている曲なんですよ。そこにClariSが飛び込んできたのは面白いなと思って。
カレン:本当にクララの曲じゃないのかなっていうくらいハマっていて、顔出しもしたし、これからはそれぞれのパーソナリティの部分も出していきたいよねってなった時に、カバー曲でソロも新しいんじゃないかっていう風に思ったんです。
――確かに新しいですね。
カレン:クララの声って周りの音を排除してそれだけを聴きたくなる声をしてるって個人的に思っているんです。独特の柔らかさの中にある儚さみたいな、触れたら壊れてしまいそうな感じの声もすごく好きで。そんな中にもある、包みこんでくれるような暖かさもこの曲からは感じられるので、是非沢山の人たちに聴いていただきたいと思っています。
――1990年だと今から32年前、生まれる前の曲をソロでやるっていうのが挑戦的だと思ったんですよね
クララ:それこそ親世代の曲ですね。家で原曲を流していたら、母が「それをやるの!? すごく好きだった曲だから」って言ってきて。それくらい長く愛されてきた楽曲なんだなというのを改めて感じましたし、それを私のソロ曲として歌えるというのはすごく嬉しいですね。私自身歌っていて、ここまで音数が少ないバラードは中々ClariSではやったことなかったですし、シンプルだからこその難しさがある楽曲だなって思ったので。
――確かにボーカルの出来が問われる一曲かもしれませんね。
クララ:発声だったり、息を混ぜる感じだったりはすごく研究しながら歌いました。儚くてもただ切ないだけじゃない、自分の中で次に進むために踏み出していくような芯の強さのある女性を演じられたらな、という部分を意識して歌いました。
――カレンさんはクララさんのソロは刺激にはなりました?
カレン:なりましたね。まあ常日頃から歌に関しては刺激を受けている部分の方が多いんですけど、クララの真骨頂を見たというか。本人なりにすごく研究したものが自然と出来ていて、レコーディング自体も史上最速の速さで終わったくらいなんです(笑)。
――そうなんですね!
カレン:それくらいクララにはハマっていた楽曲なのかなって思うんです。私はどう頑張ってもこの歌声にはならないので、私も自分のいいところというか、そういうのを見つけて磨いていきたいなって思いますね。まだ四季の中ではひとつ季節が残っているので、そこでは頑張りたいなと思っています。カレンもソロやってやるぞと(笑)。
――では一曲目に戻りまして、新曲の話を聞きたいと思います。「スノーライト」これは「冬」「ClariS」というワードがしっかり感じられるというか、本当にClariSらしい一曲ですね。
クララ:今年発売させていただいたシングル二つはちょっと挑戦的だったと思うんです。アルバムの『Parfaitone』も割と色んな挑戦をした楽曲を集めたアルバムだったので、ちょっと原点回帰ではないですけど、可愛らしくて、キラキラしていて、アップテンポでっ、今までのClariSを久しぶりにお見せできたのではないかなと思います。
――なんかこの感覚ちょっと久々というか。ド直球って感じがしましたね。
カレン:この楽曲は、来月ライブが控えているっていうこともあって、それを想像しながらセレクトしたからこそ、ライブを意識した楽曲としてセレクトできたのかなって思います。コーラスもすごい数が入っているので、厚みのあるサウンドだけど軽やかなリズムで歌詞も可愛らしいというものになったと思っています。
――今回、歌詞の部分でもこの曲では参加されていますよね。
カレン:はい、元々頂いた歌詞もすごく可愛らしい歌詞だったんですけど、その中にもClariSの想いというか、私達だったら主人公にこう思ってほしいよね、って想いを散りばめたくて。今回作家の方にご相談して共作という形にさせて頂いたので、是非歌詞にも注目して聴いていただけたら嬉しいです。
――ご自身たちの中でここ聴き所! みたいなの部分はあるんでしょうか?
クララ:本当に今回はライブを意識しています。ライブでこういうことをしたいからこの楽曲にしたっていう想いも一曲に詰まっていて。そこは是非ライブに来て体験してもらいたいです(笑)。
――なるほど、そこはお楽しみと。
クララ:そうですね、でも今回は本当にコーラスの量が多くて、主線を録るよりもコーラスを録る時間の方が長かったくらいなので、私達としても今までのClariSらしさもありながら、新しいことにも挑戦しているので、注目して聴いてほしいなって思っています。
カレン:二人ともお気に入りの歌詞としては「いつも笑い合える時間はかけがえのないプレゼント」っていう言葉なんです。クリスマスをイメージさせるからこそ、プレゼントっていう言葉を使いたかったし、どうしたら私達らしくなるかなって結構時間をかけて考えたフレーズなので、そこは二人ともお気に入りですね。
――まさにライブで聴きたい曲だと思いました。
カレン:絶対に盛り上がる楽曲になると思いますし、ClariSの冬楽曲の定番になっていけばいいなって思いますね!
――5曲ともいろいろ思いがあって盛りだくさんな感じですね。残るは秋ですが……秋の曲って、比較的少ないですよね。冬と春と夏は沢山あるけど、秋の曲ってそんなにないような。
カレン:そうですね、北海道は秋が短いから余計に浮かばない。
クララ:すぐ紅葉も散っちゃうよね北海道。
――とはいえここまできたら何が何でもやるしかないですよね(笑)。
2人:そうですね、何が何でも!(笑)
――でもこれまでのペース的に言うと三年後ですよね、2025年?
カレン:いや~! 3年までは伸ばさずに作りたいですね。今回この冬を作った段階で、もう秋すぐやりたいって思いましたし。
クララ:秋だったらこれかな? みたいな曲の話もしましたしね。
――もう少し早く出したいですよね。
カレン:そうですね、3年後とかだと、「大人になりました!」って言ってられない歳になっちゃう……(笑)。
――そして『ClariS HALL CONCERT 2022 ~Let's Snow Parade!~』がありますが、その前に先日THE FIRST TAKEに出られたじゃないですか。やはりTHE FIRST TAKEに出るというのは一種のステータスを担っている部分も今あると思っています。反響などありましたか?
クララ:サムネイルに私たちの顔が出ていて、あれだけ近い距離で顔が映っているというところでは、仮面を外してからこのTHE FIRST TAKEが一番反響があったんじゃないかと思います。名前は知っているとか、楽曲は知っていたっていう方も、初めて私たちの姿を見るっていうコメントもありましたし。まさかこんなに大人になっていると思っていない方もたくさんいたと思いますし。
――確かにClariSの印象って、どこか少女のまま止まっているという人もいるかもしれないですね。
クララ:そういう今まで近くで見守ってくださっていたファンの方以外の反応を沢山お聞きすることができてすごく嬉しかったです。
――今、すごく精力的に活動されているじゃないですか。そういう環境の変化って戸惑いとかもなく、気持ちよくやれている感じなんでしょうか。
カレン:戸惑いというより、「まさかこんなお話を頂けるなんて!」という驚きの方が多くて。自分たちの想像していた以上に嬉しいお話を沢山いただいているんです。デビューしてから何年も経った今でも、初めてのことに沢山挑戦させて頂けるのってすごく有難いことだなって思いますね。
――そうですね、新人ではないわけですし。
カレン:一回目は私たちはチャンスを頂く側で、それを掴んでいくかどうかっていうのは、私たちの行動や歌次第だなって思うんです。頂いたお話を一回きりにせずに、どんどんこの先にも繋げていけるように頑張らなきゃ!っていう燃える気持ちの方が大きいかもしれないです。
――今はチャンスをもらっている、という感覚なんですね。
クララ:そうですね、デビュー12周年を迎えて、新しいこと、THE FIRST TAKEのような影響力のあるようなこと、テレビの特番なんかを作っていただけるみたいなお話って、なかなかないことじゃないですか。
――そうだと思いますね。
クララ:でも、沢山の方に知っていただく機会は頂いているんですけど、すごく爆発的に何かが変わったっていうことはないと思っています。デビュー10周年を迎えて、仮面を外して活動していきますってなったところで、新型コロナの影響で、私達も活動がストップしてしまって、その時にやりたかったことだったり、お話を頂いていたことだったりがうまくできなかったっていうのもあるんです。
――確かに、難しい時期でしたよね。
クララ:今年に入ってやっとそういうものが色々動きだして、今はすごく楽しいですし、ここからがまたClariSの再スタートだぞっていう気持ちが強くあるので、今は何をやっても楽しいんです。ClariSっていうものをどんどん広げていきたいですね。
――今お話聞いていて感じたんですが、ClariSらしさっていうものって、この12年で結構刷り込まれている気がしているんです。それはお二人にも、ファンにも、どちらにもなんじゃないかなと思っていて、そのClariSらしさって、年令を重ねて行く上で、良くも悪くも重荷になったりすることはないんでしょうか?
クララ:重荷にはなっていないですね。顔を出した今でも、シングルを出すたびに前と変わらず、アーティスト写真をイラストで描いていただいて活動していますし。「ClariSってこうだよね」というところを残しながら、新しいことに挑戦させて頂いていると思っています。「ALIVE」や「Masquerade」で違う面を見せるような活動とClariSらしい活動は、並行してできているので。自分たちとしてもやはり10周年までのClariSらしさっていうのも大切にしながら、先に進んでいきたいっていう想いが強いし、それがあったからそれを壊せるというか。それも新しい楽しみだなって感じています。
――10年で積み上げてきたものがあるからこそ、それを壊すことはできると。
クララ:そうですね。これってClariSってやると新しいよね! って言って頂けるようなものは、自分として挑戦していても楽しいですね。
カレン:イメージって一度つけてしまうと変えていくのって難しいと思うんです。これまで積み上げてきたものがClariSらしさになっているのと思うんですけど、それってどんどんアップデートしていけるわけじゃないですか。“変えていく”じゃなくて“広げていく”っていうのもまた一つ私達らしいのかなって。やっていくことが全部自分たちらしさになっていくというか…なので重荷になっているというよりもワクワク感とか、楽しみの方が大きいですね。
――すごく納得しました。とても嬉しい言葉をいただけた気がします。12月のライブも楽しみですね。
クララ:今までコンセプトミニアルバムでは春・夏と出させて頂いたんですけど、それをモチーフとしたライブはやってこなかったので、今回はリリースとライブが近いタイミングで出来るので、しっかりこのミニアルバムを楽しんでいただけるようなコンサートに仕上げようと今頑張っています。楽しみにしていて欲しいですね。
カレン:ライブハウスでは「盛り上がっていきましょう!」って言う感じもありますし、ホールだとストーリー性のあるものをやることが多かったんですけど、今回はまた新しい形の届け方になるかなって。初めてClariSを見る方も楽しんでいただけると思いますし、今までずっと来て下さった方にも「こんなこともできるんだ」って思ってもらえるような最高の年末を締めくくるコンサートにしたいと思っているので、是非楽しみにしていてください。
――とりあえずこのミニアルバムを聴いて、皆さんも楽曲を入れてライブに向かってほしいですね。
二人:はい、是非!
インタビュー・文=加東岳史
リリース情報
○発売日:2022年12月7日(水)
○商品形態:
●初回生産限定盤(CD+ポストカード) 品番:VVCL-2160~1 価格:2,640円(税込)
●通常盤(CD) 品番:VVCL-2162 価格:2,090円(税込)
01.スノーライト
作詞 ClariS、宮嶋淳子 作曲・編曲 高橋修平
02.WHITE BREATH
作詞:井上秋緒 作曲:浅倉大介 編曲:重永亮介
03.ORION
作詞・作曲:百田留衣 編曲:KOH
04. White Love
作詞・作曲:伊秩弘将 編曲:丸山真由子
05. サイレント・イヴ
作詞・作曲:辛島美登里 編曲:湯浅 篤
https://www.clarismusic.jp/wintertracks/
ライブ情報
■日程
・12月16日(金) 開場 17:30 / 開演 18:30
・12月17日(土) ①開場 12:00 / 開演 13:00
②開場 17:00 / 開演 18:00
■会場
TOKYO DOME CITY HALL
詳細はこちら
https://claris-room.com/ClariS-HALL-CONCERT.html