浦井健治、伊礼彼方、加藤和樹らオールキャストが圧巻の歌唱披露! フレンチロックミュージカル『キングアーサー』稽古場レポート
ミュージカル『キングアーサー』日本初演の開幕まで、残り1ヶ月を切った。
本作は『1789-バスティーユの恋人たち-』『太陽王』『ロックオペラ モーツァルト』等ヒット作を生み出したドーヴ・アチアが音楽・脚本・歌詞を手掛けたフレンチロックミュージカル。今回の日本版台本・演出は、韓国の気鋭の演出家オ・ルピナが務める。キャストは主演の浦井健治、伊礼彼方/加藤和樹、太田基裕/平間壮一、小南満佑子/宮澤佐江、小林亮太、東山光明、石川禅、安蘭けいをはじめ、実力と華を兼ね備えた役者陣が揃った。
2022年12月13日(火)昼、都内稽古場にて本作の歌唱披露が行われ、その模様は作品オフィシャルのインスタライブで一般向けに生配信された。本記事では現地の模様を写真と共にレポートする。
この日は稽古場に総勢39名のキャストが集結。初披露曲を含む全7曲の歌唱シーンが披露された。
1曲目は、最強の騎士としてアーサーの前に立ちはだかるメレアガンによるナンバー。メレアガン役の伊礼彼方が低音から高音まで幅広い音域を使い、アーサーに対する激しい怒りをシャウトでぶつける。周囲の男性アンサンブルキャスト陣の力強い歌声と躍動感溢れるダンスは、メレアガンの熱い想いを体現しているかのような勢いがある。
続く2曲目は、主人公アーサー役の浦井健治と、アーサーに仕え導く魔術師マーリン役の石川禅によるナンバー。杖を手にしたマーリンが、アーサーに深みのある声で歌いながら語りかける。下手にアーサー、上手にマーリン、その間からは狼と鹿に扮したキャスト二人が登場。アーサーとマーリンの歌唱に合わせて、しなやかで美しい身体表現で魅せる。
歌唱が終わると、演出家オ・ルピナからのノートの時間が設けられた。演出家自身がアクティングエリアに立ち、細かい動きや立ち位置の指示を身振り手振りを交えて役者に伝えていく。
3曲目はモルガン役の安蘭けいを中心に、大勢のアンサンブルキャスト陣が歌い踊る迫力満点のシーン。何としてでもアーサーに罪の報いを受けさせようと意気込むモルガンが、心の内を歌い上げ高らかに笑う。顔を覆うような手の動きが印象的な振り付けが度々登場し、音楽も非常にキャッチーで耳に残る。所狭しと激しく艶やかに踊るアンサンブルキャストたちからも目が離せない。舞い踊るキャスト陣の合間を縫った舞台セットの転換もあり、見どころ満載だ。
3曲目が終わってすぐさま「カメラに一言!」とキャスト陣に声をかける伊礼に対し、「ディレクターなの?」とツッコミが入る場面も。歌唱を終えた安蘭は、伊礼に応えてカメラに向かって「ありがとうございました」と華麗にポーズを決めていた。
4曲目はアーサー役の浦井健治、アーサーの妻グィネヴィア役の宮澤佐江、アーサーの恋敵となるランスロット役の平間壮一、アーサーの甥ガウェイン役の小林亮太らによる場面だ。アーサーはグィネヴィアに対し、ランスロットを騎士として任命するよう指示。ランスロットはアーサーへの忠誠を誓う。しかしその直後にはそれぞれの揺れ動く胸の内が歌われ、登場人物たちが抱える葛藤が感じられる重厚なシーンとなっていた。
続いて5曲目は浦井、小林、石川、さらに太田基裕と東山光明らによるシーン。ついにサクソン人に勝利したアーサーが、今度は民の平和のために聖杯を見つけ出すことを誓う。大勢の騎士たちを従え、王としての責務を果たそうと自らを奮い立たせるアーサー。浦井の芯のある真っ直ぐな歌声から、アーサー王の確固たる信念が伝わってくる。
6曲目は、ランスロット役の太田基裕とグィネヴィア役の小南満佑子による切ないバラード。心から愛し合っているけれども、本来結ばれることがあってはいけない二人。「これは愛ではない」と互いに心を欺きながら、苦しい心情を吐露する。太田と小南の歌声が重なり美しいハーモニーを奏でることで、より一層哀愁漂うシーンとなっていた。
7曲目に移る前に「間もなく和樹ー!」とキャスト席から歓声が上がる。最後に披露されたのは、メレアガン役の加藤和樹とモルガン役の安蘭けいの二人がメインとなるダンサブルなナンバー。アーサーへの復讐のために手を組むメレアガンとモルガン。復讐に燃える二人の熱い眼差しに圧倒されたかと思えば、アンサンブルキャスト陣によるアクロバティックなダンスが次から次へと繰り出され、瞬きする暇もない程の圧巻のパフォーマンスとなっていた。
この日の歌唱披露は、演出家のオ・ルピナからのコメントで締めくくられた。
「『キングアーサー』を待っていてくださっている観客のみなさま、ありがとうございます。本当に幸せな気持ちで俳優のみなさんと一緒に稽古をしています。公演が始まる日まで、私たちみんな安全で楽しく稽古をしてみなさんに会えるよう頑張ります。みなさんも健康に気を付けてください。必ず劇場でお会いできる日を待っています」
東京公演は2023年1月12日(木)に新国立劇場 中劇場にて初日を迎える。1ヶ月後にはきっとさらに進化しているであろう、ミュージカル『キングアーサー』の開幕を楽しみに待ちたい。