新日本プロレス・柴田勝頼が、元UWF宮戸優光氏と特訓! 「今一度、道場論が根底にあるプロのレスリングを見せたい」
柴田「今ここにいるのも猪木さんが繋いでくれたおかげ」
12.28「INOKI BOM-BA-YE×巌流島」で新日本プロレス提供試合として、トム・ローラー選手と対戦する柴田勝頼選手が、試合まで1週間と迫るなかで公開練習を行った。
今回のトム・ローラー選手との一戦は、UWFルールでの実施が決まっている。そこで柴田選手はこの日、元UWF戦士で、現在もプロレスの古典である“キャッチ・アズ・キャッチ・キャン”の指導を行なっている宮戸優光氏のもとを訪れた。
アントニオ猪木が作った新日本プロレス、ストロングスタイルというものに、人一倍強いこだわりを抱く柴田選手は、宮戸氏と実際に組み合いながら、グラップリングや投げ技などのテクニックの直接指導を受け、その度に質問を投げかけ、自分の動きを確かめていく。
宮戸氏のテクニックのベースには、アントニオ猪木さん、カール・ゴッチさん、ビル・ロビンソンさんといったレジェンドたちのプロレスがある。それはまさに柴田選手がずっと標榜してきた、強くて勝負論のある“ストロングスタイル”プロレス。柴田選手は「こうして触れておくのと、触れておかないのでは、試合に挑む姿勢、スピリットが違う」と、闘魂をみなぎらせていた。
今回の試合に向けて、柴田選手は「今一度、道場論が根底にあるプロのレスリングを試合で見せたい。勝負論や強さを追求したプロレス、自分がこうだろって思うものを見せたい」と意気込みを語る。
まるで昭和の新日本プロレスから令和にタイムスリップしてきたかのような佇まい、立ち居振る舞いの柴田選手。アントニオ猪木氏の追悼イベントに最もふさわしい選手が最後に登場してきたといえるだろう。
今大会では、巌流島、MMA、キックボクシングと多様なルールでの試合が行われるが、その中で柴田勝頼が自らが信じるプロレススタイルをもって、見るものにどんなメッセージを投げかけてくるのか注目したい。
【柴田勝頼&宮戸優光コーチ/インタビュー】
宮戸 私は猪木会長とビル・ロビンソン先生の試合を見て、この(プロレスの)道を決意したという経緯がありましたので、今日、こうやって柴田選手のほうから来てくださって、そこに触れたいと言ってもらったのは本当に嬉しく思いまいした。
今日の練習は短い時間でしけども、私がロビンロン先生から学びましたその一部をちょこっとお見せして、お伝えできたらなと。この短い時間で伝えきれるものではありませんけれど、猪木会長やカール・ゴッチさんを通して学ばせてもらったキャッチ・アズ・キャッチ・キャンというのに触れてもらって。今の若い世代の人たちに、ひとりにでも触れていただきたいという思いがありますから、そういう意味で今日はいい機会をいただき、ありがとうございました。
柴田 ありがとうございました! まだまだ知らないことがたくさんあります。自分もLAの道場で教えてはいますけど、まだまだ自分も成長段階だなと。もっと色々知りたいですね。プロレスを追求していくっていう意味で。
宮戸 僕もロビンソン先生に会うまではレスリングの何分の一しか知らない状態でした。けっして新しいことを知らないわけじゃなくて。レスリングとしてはある意味、最古のスタイルですから。それを知らない状態でこのまま年月が過ぎていって、プロレスはどうなってしまうんだろうっていう。ルーツ的なものですから。ご先祖様がやってきたものを継がないと。今日お伝えしたものはロビンソン先生から教わった術の部分ですけど、それに猪木会長のハートの部分というか。ハートは形としては見えませんから、すぐにこうだよとお伝えできるものではない。そこは受け手の感性、思い、情熱がなければ絶対につかみとれないと思うので。
柴田選手の場合は、お父さんが猪木会長のもとで長くやられてた方ですし、そういう意味では血というか、ハートの部分で自然と伝わってくるというかね。魂が魂に伝わってくるような。そういうものを他の選手以上にお持ちだと思うので、今日は短い時間でしたけど、機会があればまたキャッチ・アズ・キャッチ・キャンというルーツの部分に触れていただきたいなと思いました。今度の試合では、今日のことが何かきっかけとなって、すばらしい闘いをして勝ってくれればと思っております。
柴田 今日は短い時間ではありましたけども、触れておくのと、触れておかないのでは、試合に挑む姿勢というか、スピリットが違うと思います。今回、UWFルールという意味でも、やっぱりここに一回来て、肌でどういうものかを。手の取り方ひとつから違うので。相手がどうこうではなく、競技をやるうえで知っておくというのは必要かなと。勉強させていただいた、ということですね。来て、肌で組み合って、ようやくわかることがあるので。それをしっかりと試合に活かしたいです。
宮田 (柴田選手と)お会いしたのは11年前で、桜庭(和志)選手と彼が組んで、こっちが鈴川(真一)&澤田(敦士)組という試合のときで。あれはすごい試合でしたけどね。
柴田 あれがあってプロレスに、新日本に戻るきっかけになったので。自分が何をできるんだろうと考えながら、プロレスにすごく可能性を感じて、それで今があるという意味では、そこは猪木さが繋いでくれたのかなと。
――今日は道場につながるものを感じた?
柴田 やっぱり道場というのは特別な場所なんですよ。道場はプロレスをやるうえですごく大事で。
――12月28日はどういう試合をしたいですか?
柴田 試合は蓋を開けてみないとわからないので、いかにそこに自分の持ってるものを出すかなので、いい状態で挑みたいと思います。
――UWFルールについては?
柴田 まだ完全に理解しているわけではないので、また宮戸さんにお聞きしたいと思うんですけど、逆にすごくいいなと思っていて。今のプロレスのありきたりの光景って、乱入したりとか、決着がつかないとかがあって。そういうのを一切排除して、技術とレスリングでできる。プロのレスリングができるルールだなって。完全決着できるし。3カウントもないし。そういう意味では、今のプロレスラー全員に対して、抗うというか、そういうことができる試合じゃないかなと。それが今回の試合が決まった意味というか。
今のプロレスも身体能力お化けみたいなことをやっていて、もちろんすごいんですけど、本当に大事なクラシカルな、プロレスリングのベースとなるものが、あまりにもなくなりすぎていると思うので。今一度、道場論が根底にあるプロのレスリングを試合で見せたいですね。そんな試合がしたいです。今は二の次のことをやりすぎているのでね。運動神経のいい人がすごいのはわかるんですけど、もっとなんか大事な勝負論だったり、強さだったりを追求したプロレスを、もともとそうだったんだ、っていうのをやりたいですね。自分がこうだろって思うものを見せたいです。それしかないかなと思ってます。
記事提供:INOKI BOM-BA-YE 巌流島事務局