【2.22大会 見どころコラム】ストロングスタイルプロレス真霜拳號のレジェンド王座に間下隼人が再び挑む! “風林火山”タイガー・クイーンに“極彩色に翔る傾奇者”ウナギ・サヤカがケンカ売る!
初代タイガーマスク率いるストロングスタイルプロレスが2月22日(木)、東京・後楽園ホールにて「初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.21」を開催する。
今大会は、ストロングスタイルプロレス(SSPW)にとって2023年最初の大会。昨年度最終戦の12・8後楽園では10月1日に逝去されたアントニオ猪木さんに追悼の“20カウントゴング”が捧げられたが、今大会は猪木さんの誕生日から2日後にあたる。
存命なら80歳の誕生日だったというだけに、団体は「猪木会長に満足していただけるような、燃える闘魂に恥じない闘いを披露したい」と意気盛ん。それはすなわち、SSPWファン、プロレスファンに喜んでもらえることにほかならない。23年の闘いはじめとなる今大会は、男女合わせて全6試合をラインアップ。今年の流れを占うであろう各試合の見どころに迫ってみよう。
《第1試合シングルマッチ30分1本勝負》
藪下めぐみ(CRYSIS/フリー)vs ダーク・パンサー(DarkerZ)
大会のオープニングを飾るのは、薮下めぐみvsダーク・パンサーの女子シングルマッチ。ジャガー横田率いるCRYSIS(クライシス)とタイガー・クイーンをつけ狙うDarkerZ(ダーカーズ)の図式である。
この日、CRYSIS vs DarkerZはシングルとタッグマッチの2試合がおこなわれ、まずは先鋒同士の一騎打ちだ。
Jd’時代からジャガーとは師弟関係にもある薮下はCRYSISの参謀的存在か。SSPWへの参戦は昨年12・8後楽園に続いての参戦となる。薮下はプロレスの経験はもちろん、柔道をベースに格闘技でも実績があるだけに、今後もジャガーの軍団で重要な役割を担うことが予想される。切れ味鋭い関節技に期待したい。
対するパンサーは2度目のシングルマッチ。DarkerZでタイガー・クイーンとシングルマッチをおこなったのはまだパンサーのみとあって個としての実力はまだまだ未知数だが、この試合からパンサーの秘めたる力が垣間見えるかもしれない。
CRYSISvsDarkerZの第2ラウンド(第3試合のジャガー横田&KAZUKI組vsダーク・タイガー&ダーク・チーター組)に向けて、弾みをつけるのはどちらのユニットか!?
《第2試合タッグマッチ30分1本勝負》
日高郁人(ショーンキャプチャー)&阿部史典(フリー)vs鈴木鼓太郎(フリー)&SUGI(Milgracias)
第2試合は日高郁人&阿部史典組vs鈴木鼓太郎&SUGI組のタッグマッチ。ジュニア戦士の華麗な空中殺法に鋭い打撃戦が加わるであろう、期待値の高いカードである。
この試合で注目は、なんといっても鈴木鼓太郎の参戦だ。鼓太郎のSSPWマット登場は、2008年12・4後楽園以来、実に14年2カ月ぶり。初参戦では、故・三沢光晴さんとの師弟タッグで初代タイガーマスクのリングに乗り込んできた。当時、初代と2代目タイガーマスクの初遭遇ということで話題沸騰、会場は超満員となり、団体史上最大級の熱狂に包まれた。
試合は初代タイガー&ウルティモ・ドラゴン組vs三沢光晴&鈴木鼓太郎組で、最後は三沢さんがエメラルド・フロウジョンでウルティモからフォール勝ち。翌年6月に三沢さんが逝去されたため、結局これが最初で最後の“初代vs2代目”となったわけだが、今回、三沢さんの遺志を引き継ぐ鼓太郎が久々の参戦。ジュニアのレジェンドとなった鼓太郎の登場で、SSPWマットのジュニア戦線活性化が期待されるところである。
図式としては初参戦のSUGIとのタッグでSSPWレギュラーとの対戦。鼓太郎と組むSUGIは空中殺法の天才と言っていいマスクマンで、以前から注目していたSSPWにとっては待望の参戦となる。
日高、阿部ともジュニアであってバチバチの打撃戦もこなす万能ファイター。鼓太郎、SUGIとの遭遇で何が生まれるか、楽しみだ。
また、ジュニア戦線では槙吾もSSPWでの闘い継続を虎視眈々と狙っていると聞く。今年のジュニア戦線を占う意味でも見逃せないカードとなりそうだ。
《第3試合タッグマッチ30分1本勝負》
ジャガー横田(CRYSIS/ワールド女子プロレス・ディアナ)&KAZUKI(CRYSIS/PURE-J女子プロレス)vsダーク・タイガー(DarkerZ)&ダーク・チーター(DarkerZ)
オープニングマッチの薮下めぐみvsダーク・パンサーに続き、CRYSIS vs DarkerZの第2ラウンドがおこなわれる。タッグとなるこの試合ではジャガー横田がKAZUKIと組んで、ダーク・タイガー&ダーク・チーター組と対戦。ジャガーとタイガーのリーダー対決も実現する。
昨年12・8後楽園ではKAZUKIとダーク・タイガーが第1試合で一騎打ち。シングルマッチながら実際にはセコンドの介入が多く試合は大荒れ、ノーコンテストに終わってしまった。遺恨が残るKAZUKIとダーク・タイガーには再戦となるのだが、ここはシングルではなくあえてタッグマッチで決着をつけることに。というのも、リマッチにおいても両軍が入り乱れることは間違いないだけに、シングルよりタッグの方が白黒つけやすいのでは?という判断なのだ。
現在、SSPWマット女子部ではタイガー・クイーン、CRYSIS、ダーカーズの3軍抗争が勃発。ジャガーは教え子のクイーンにあえて牙をむき、CRYSISはクイーン潰しを目的にSSPWマットに乗り込んできた。
大ベテランの2人と、正体不明のマスクウーマン。勝った方がクイーンとの頂上決戦となるのだろうか。それとも、さらなる混沌か…。
《第4試合タッグマッチ60分1本勝負》
スーパー・タイガー(SSPW)&竹田誠志(フリー)vs船木誠勝(フリー)&関根“シュレック”秀樹(ボンサイ柔術)
第4試合はSSPWのエース、スーパー・タイガーがデスマッチファイター竹田誠志とタッグを結成。船木誠勝&関根“シュレック”秀樹の強力タッグと対戦する。
昨年のSSPWマットでは船木とシュレックが非常にエモーショナルなドラマを紡いできた。遅咲きながらも警官から格闘技、プロレスの世界に足を踏み入れたシュレックが、SSPWのリングで憧れの船木にたどり着き、タッグマッチでの遭遇から一騎打ちを実現させ、タッグも組んだ。
レジェンド王座挑戦まで上り詰めたシュレックは、今回再び船木とのタッグを結成。これはもう、SSPWのリングでは意外となかった正タッグチームと言ってもいいのではなかろうか。しかも相手にエースのスーパーが含まれているだけに、シュレックにはまたもやビッグチャンス到来となるはずだ。
また、デスマッチファイターながらも格闘技のバックボーンを持つ竹田との対戦も興味深い。竹田は21年7・29後楽園で船木と一騎打ちをおこない、腕十字で敗れている。船木は竹田の実力を認めたものの、負けた竹田にとっては待ちに待ったリベンジのチャンスである。
船木との対戦はもちろん、船木、SSPWへの思いを胸に「RIZIN」や「INOKI BOM-BA-YE」など格闘技での実績も作ってきたシュレックとの遭遇もまた、何か新しいものが生まれるのではないかとの期待がかかる。
シュレックが人間凶器と化して竹田と対峙するのか、それともデスマッチルールではない試合で竹田が秘めた実力を見せつけるのか。スーパーが本来の実力を存分に発揮し、竹田が船木とのリベンジに臨み、シュレックと刺激的遭遇を遂げる。
SSPWのリングでしか見られない、重厚なストロングスタイルを堪能したい。
《セミファイナル3WAYマッチ60分1本勝負》
タイガー・クイーン(SSPW)vs本間多恵(フリー)vsウナギ・サヤカ(初参戦)
初代タイガーマスク40周年の2021年7月に鮮烈デビューを飾った女性版タイガーマスク、タイガー・クイーンが、初の3WAYマッチに臨む。相手は本間多恵と、これがSSPW初参戦となるウナギ・サヤカだ。
本間はSSPWには昨年6・9後楽園以来2度目の参戦、“初代タイガー”佐山サトルとともにクイーンを誕生させたジャガーの抜擢によるものだ。アクトレスガールズ出身の本間はメキシコ遠征も経験し、団体のプロレス活動終了宣言後もいち早くプロレスラー継続を表明、フリーとしてさまざまな団体で活動している。
アクトレスガールズ出身でジャガーの評価を覆しお眼鏡にかなった選手は何人かいるが、本間はその筆頭格と言っていいだろう。その本間にとって、クイーン、ウナギとも初遭遇。目移りしそうな相手に囲まれて、いったい何を見せるのか。
また、大会全体からしても最注目のひとりがウナギ・サヤカである。他団体にケンカを売りまくる“極彩色に翔る傾奇者”がSSPWも視野に入れていたとは意外といえば意外だった。しかしながら、ここに至る伏線はしっかりと敷かれている。
昨年10月、SSPWと協力関係にあるディアナ後楽園にウナギが参戦。8人タッグマッチということもあり接触時間こそ短かったものの、クイーンをおいしい相手と考えたのは想像に難くない。
今回の参戦にあたり、ウナギ・サヤカはビデオメッセージで佐山サトルを名指しで挑発、「査定してやる」とクイーンとの直接対決を要求した。本間が正統なライバル候補なら、ウナギ・サヤカはDarkerZとは別の意味で厄介な敵になるのだろうか。
現在のSSPW女子部においてクイーンが軸であることは間違いないものの、3軍抗争でクイーンが軍団化していないのが現状だ。CRYSIS、DarkerZ、さらにウナギ・サヤカのターゲットにもなれば、いつまでも孤高の存在でいるわけにもいかなくなるだろう。今後クイーンが誰と組んでやっていくのかも興味深い。
いまだ自身のフォール負けは喫していないクイーンだが、ウナギ・サヤカの侵略は彼女にとってデビュー以来最大の危機になるかもしれない。
《レジェンド選手権試合60分1本勝負》
[第16代王者]真霜拳號(2AW)vs[挑戦者]間下隼人(SSPW)
メインはレジェンド選手権試合。間下隼人がSSPWの至宝奪還に挑むタイトルマッチだ。現王者は2AWの真霜拳號。
真霜は、昨年8・25後楽園でスーパー・タイガーを破り一発奪取の快挙をやってのけた。10・30には2AWのリングで間下を退け、2AW無差別級王座との2冠戦を制してみせた。
また、12・8後楽園では関根“シュレック”秀樹に2度目の防衛。そして今回、3度目の防衛戦で再び間下を迎え撃つ。このタイトル戦を前に、王者は挑戦者に辛辣なコメントを残している。
「正直言っていまの間下隼人が、3ヶ月前から何が変わったのか全く分かりません。本当に強くなったのか? 肉体が、精神が、技術が、あの時より強く、あるいは鋭くなったのか? もしあの時と変わっていないなら、結果もあの時と同じでしょう。仮に変わっていたとしてもオレを凌ぐところまで達しているかというと、とてもそうは思えません」と。
2007年のデビュー以来SSPW一筋でストロングスタイルの看板とともに闘ってきた間下にとっては屈辱以外の何物でもない。実際、プロレスの実績では真霜と間下の間で大きな差が開いている。数多くのタイトルを手中にしてきた真霜からすれば、無冠の間下が格下に見られるのも仕方ないか。
だからこそ、この屈辱をバネにベルトを奪うしかない。兄弟子のスーパー・タイガーに反旗を翻すようにして佐山総監の評価も勝ち取った間下。3月18日にはアクロス福岡大会が控えており、団体の初進出であると同時に間下には地元凱旋。果たして間下は初のレジェンドベルト戴冠で故郷に錦を飾ることができるのか、それとも真霜が間下を返り討ちにして3度目の防衛に成功、“我こそがストロングスタイル”を証明するのか。
この試合の結果いかんで今後の団体の方向性が定まると言っても過言ではないだろう。絶対に負けられない闘いで、間下の真価が問われる。
レジェンド王座を頂点とするヘビー級、個性豊かに陣容が整ってきたジュニア、そしてタイガー・クイーンを軸に展開される女子の闘いと、ストロングスタイルの3本柱がガッチリと形成されてきたSSPW。今大会ももちろん、“初代タイガーマスク”佐山サトル、“過激な仕掛人”新間寿会長が来場し、アントニオ猪木さんから受け継がれたストロングスタイルのプロレスを見守る、絶対に見逃せない大会となった。
2023年のSSPWで、最初に飛び出すのはいったい誰だ!?
(文:新井宏)