10周年を迎える『AnimeJapan』に見る 広がり続けるアニメの世界
2014年に初開催から、今年で10周年を迎える世界最大規模のアニメイベント『AnimeJapan』。毎年3月に開催されている本イベントの第10回が2023年3月25日(土)~28日(火)で開催された。新作アニメの制作発表や、まもなく公開となるアニメの追加情報、懐かしの作品の最新グッズリリース情報に至るまで、アニメに関わるありとあらゆるインフォメーションが集い、世界中に広がったアニメファンから注目を集める本催し。その様子をレポートする。
会場に到着すると、新作アニメのパネルの数々が私たちを出迎えてくれる。そのビジュアルの一つ一つは各々違う、個性あふれる魅力を放っていた。これだけ多様な作品が存在できるほどに、アニメの市場は広く、大きくなったのだ。その事実はアニメファンの気持ちを大いに昂らせるものがあった。
高鳴る期待を胸に会場に入ると、まず目に飛び込んできたのは4月公開となる作品の情報たち。大画面いっぱいに最新PVを公開する作品もあれば、作品世界を体感できるジオラマを展開している作品もある。その一つ一つから作品の魅力がひしひしと伝わり、公開への期待値を上げてくれるから不思議だ。来場した人の中にも今回の展示を通じて、これまであまり興味がなかった作品に急激に惹きつけられるものもあるはずだ。多くの人が情熱をかけて制作するアニメ、どの作品も多大なる魅力に溢れていることに改めて気付かされるのだ。
さらに深く足を踏み入れると、そこには各社が展開するブースが軒を連ねる。ブース内には現在制作中の作品や、近年の話題作の展示を見ることができる。その魅力が最大限伝わるように作られた展示の数々、作中に登場したアイテムのレプリカが展示される作品もあれば、制作資料や書き下ろしイラストを公開する作品もある。作品ファンなら、いや、作品ファンでなくても足を止めずにはいられない。
『TO BE HERO X』コンセプトムービー
「あれ、このアニメ知らないな……。」
そんなことを思わせる作品の展示もところどころに見られる。それもそのはず、中には『AnimeJapan』にて初お目見えとなる作品もあるのだ。公開や放送が待ち遠しい新作アニメとの出会い、そこには常に大きな喜びが溢れているものだ。そんな幸せな瞬間の数々を創出してくれた本イベントに改めて感謝の念を送らずにはいられなかった。
近年放映されたアニメ関連の情報が圧倒的な分量を占める本イベントだが、旧来からのアニメファン必見のブースも所々に見られた。長い歴史を持ち、これまで多くの作品が生み出されてきたアニメというコンテンツ、今年がアニバーサリーイヤーにあたるという作品も多数存在している。そんな記念すべき瞬間を祝うために設けられたブースの数々、記念グッズの発売情報も多く発信され、長年のファンがそれを喜ぶ。愛する作品の記念すべきアニバーサリーに立ち会えた喜びはひとしおではないだろうか。そんな作品の展示の前で記念撮影をする人の姿も多く見られた。
この場に集積されているのは、アニメの情報だけではない。フィギュアやケミカルライトといった、アニメを楽しむ者にとって馴染み深いアイテムの展示もされている。その光景には、改めてアニメというコンテンツの多大な影響力を感じずにはいられない。今やアニメは、視聴によってのみ楽しむものではなくなったのだ。周辺商品がさらにアニメの楽しみ方を広げ、アニメ業界の市場全体をさらに大きくしてきたのだ、そのことに改めて気付かさせられる。
多くの人に愛され、制作される作品数も膨大なアニメ。その人気はここ数年で飛躍的に高まり、今や市場規模は2兆円を超えているとも言われる。しかし、視聴者がその規模感を実感する機会は意外に少ない。作品数や市場規模を数字上で知ることこそできても、それが実際には結びつきずらいのだ。
それを肌に感じることができるのが『AnimeJapan』だ。もちろん商談の場ということもあるが、『AnimeJapan』はよりアニメファンへの周知を、楽しさの提供に力を入れており、この場にあるブースの数、クオリティ、そして来場者の数を見れば、今アニメの世界の盛り上がりを肌に感じることができる。
一人のアニメ好きとして、この盛り上がりは実に喜ばしく思うと同時に、今後のさらなる発展に期待させられてしまう。アニメ業界の趨勢を肌に感じるためにも、来年の『AnimeJapan』も訪れたい、そう思わされた。
取材・文:一野大悟
イベント情報
『AnimeJapan 2023』