iaku『あたしら葉桜』が開幕 作:横山拓也、演出:上田一軒、出演:林英世、松原由希子コメントが到着
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『あたしら葉桜』舞台写真 撮影:木村洋一
2023年4月15日(土)三鷹市芸術文化センター 星野ホールにて、iaku『あたしら葉桜』が初日を迎えた。
岸田國士初期の名作「葉桜」をモチーフに、横山拓也が現代的な視点から母娘を描く「あたしら葉桜」を2本同時上演。
演出は、iakuで長く横山とコンビを組んできた上田一軒。キャストには第20回(2017年度)関西現代演劇俳優賞・女優賞の林英世と同・奨励賞の松原由希子の関西の実力派女優の2人が並ぶ。
このたび舞台写真と開幕コメントが到着した。
『あたしら葉桜』舞台写真 撮影:木村洋一
■作・横山拓也 コメント
岸田國士『葉桜』朗読との2本立てに、ある種の企画性や、番外公演的な印象をお持ちかもしれませんが、これこそiakuというものをふんだんに楽しめる公演になりました。iaku黎明期から演出家として関わり、この何年かは外側から見つめてきた上田一軒さんが、改めてiakuが目指してきたものを示してくれたように思います。
ともに2017年に関西現代俳優賞の女優賞と同奨励賞を受賞している林英世さんと松原由希子さんという、大阪を代表する二人の名優が、大正末期と現在の母娘を連続で演じる醍醐味。100年前の口語と、関西弁現代口語を見比べる面白さも浮かび上がりました。ストイックに稽古を積み上げきて、研ぎ澄まされた俳優二人が、シンプルで逃げ場のない空間に生き生きと立っている様を、どうぞご堪能ください。
■演出・上田一軒 コメント
和歌の世界に「本歌取り」という手法がありますが、横山拓也の「あたしら葉桜」は岸田國士の「葉桜」をこれ以上ないくらいみごとに本歌取りした、まさに本歌取りのお手本のような作品です。
母と娘、娘の結婚、母と娘の関係性やすれ違いなどの要素は本歌そのままに、ほぼ同じテーマを時代や社会背景を変えて描いています。また、横山拓也はこの作品で岸田國士の作劇の方法やセリフを書くアプローチ、ユーモアセンスまで本歌取りしているように見えます。が、同時にまごうことなき横山拓也独自の作品に仕上がってもいます。
どちらの戯曲も一場のみの30分~40分の2人芝居というシンプルな作りがゆえに、読めば読むほどセリフの構成の巧みさが際立って見えます。それを俳優と共に汲み取って舞台上に移し替える作業は大変繊細に行わなければならず、苦労しましたが、苦労の甲斐はあったと思います。
「あたしら葉桜」の上演をより楽しんでもらう為に、「葉桜」の方は〈朗読〉形式とし、いくつかの表現上の要素は削ぎ落としていますが、朗読の一形式として楽しんでもらえるのではないかと思います。
また、林英世さん、松原由希子さん、2人の女優の役の呼吸を皮膚感覚で追っていくような繊細な演技も素晴らしいです。是非、劇場で「あたしら葉桜」の本歌取りの巧みさを楽しんでいただきたいです。
■出演・林英世 コメント
初めまして、三鷹芸術文化センター。3年前、来るはずだった星のホール。前回、コロナで中止になった時、またいつかやらせてくださいと、横山さんにお願いしましたけど、正直、本当にやれるとは思っていませんでした。年齢的にもギリかな、次は私じゃないかなと思っていたので。
この機会を頂いて、一軒さん、松原さんとこの作品にまた取り組めて、本当に良かったです。初演から数えて3度目の稽古場は、いろんなものが広がって、繋がって、だからこそ迷路にはまって、見失って、見つけて、捨てて、拾っての繰り返しでした。俳優として、また生活者としての自分が試される稽古場でした。そして、そんな果てしない旅を、飽くことなく楽しみました。
横山さんの作品はとても柔らかくて、どんな形にもなります。だから関わる人達が違うと別の作品になるんでしょうね。同じような人生でも、ひとつひとつが違うように。
さて、私たちの「あたしら葉桜」がどんなふうに出来上がったのか…是非、劇場へ見届けにいらしてください。お待ちしてます。
■出演・松原由希子 コメント
コロナによって上演中止となってから3年。長い間待ち望んでいた作品を、やっと上演できて嬉しいです。この機会に感謝して、演じたいと思います。
岸田國士『葉桜』、横山拓也『あたしら葉桜』どちらも演じるには難易度の高い作品。苦戦しました。しかし、この2作を並べて演じることで、戯曲の面白さが何倍も鮮明になって、やっぱり楽しい。お客様とその面白さを共有していきたいなと思います。