春野、Haruy、dawgss、注目アーティスト3組が大阪に初集合『YOUNG POP CLUB vol.10』ライブレポート

レポート
音楽
2023.4.21
『YOUNG POP CLUB vol.10』 撮影=松本いづみ

『YOUNG POP CLUB vol.10』 撮影=松本いづみ

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『YOUNG POP CLUB vol.10』2023.3.31(FRI)大阪・心斎橋Live House ANIMA

3月31日(金)、心斎橋Live House ANIMAにて『YOUNG POP CLUB vol.10』が開催された。2017年から大阪で定期的に開催されている、注目のニューカマーが集う本イベントは、これまでにDENIMS、カネコアヤノ、SUSHIBOYS、Mega Shinnosuke、eill、どんぐりず、Chilli Beans.、Laura day romance、Bialystocksなど、現在の音楽シーンを席巻しているアーティストが多数出演してきた。今回の出演者はdawgss、Haruy、春野の3組。フレッシュで新進気鋭、注目株のアーティストばかりだ。DJには大阪堀江のレコードショップ・FLAKE RECORDSのDAWAが登場。大阪でのライブ経験が少ない3組が揃う貴重な機会となった、記念すべき一夜の模様をレポートしよう。

FLAKE RECORDS DAWA

FLAKE RECORDS DAWA

dawgss

dawgss

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オープンからFLAKE RECORDSのDAWAがフロアを心地良い雰囲気に高めていく中、トップバッターで登場したのはdawggs。森光奏太(Vo.Ba)と上原俊亮(Dr)のリズム隊の2人からなるdawgssは、2022年10月に前身ユニットから改名、4月5日に1stフルアルバム『INORI』をリリースしたばかり。改名後のライブは今年から始まったため、この日が4回目、そのうち大阪が最多で2回目となる。サポートに盟友と言える和久井沙良(Key)とイシイトモキ(Gt)を迎えた4人編成だ。

dawgss

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ライブはアルバム1曲目と同じく「Rude」からスタート。森光と和久井の共作のインスト曲だ。音源よりも長いアレンジでじわじわと空気を盛り上げてゆく。続いて「あいこ」をゆったりと、しかしグルーヴィに響かせてゆく。森光の丸い歌声は耳に心地良く伸びやかで、上原のドラムはまるで体の一部のようにしなやかで力強くビートを刻む。

MCでは森光が「dawgssとしては2度目の大阪で、先日ららぽーと堺に行ってきまして、そこがdawgss初舞台だったんです」と大阪でライブができることを喜び、「この2人がなくてはdawgssはできません。とても頼もしい2人です」と和久井とイシイを紹介。その言葉を実感するように、「Kindness」で森光のギターストラップが外れてしまうというハプニングもありつつ、全員が冷静に対処してライブを続行した。さすがのチームワークだ。

dawgss

dawgss

中盤はやや加速して「MAJIC」「夢中」というアーバンな楽曲を投下。即興を得意とする和久井の技巧が垣間見えるソロもバッチリ決まる。そして森光のボーカルの美しさが際立った「祈り」をしっとりと響かせて会場を魅了した。

2度目のMCでは上原が挨拶し、大阪のオーディエンスの反応について「曲中も拍手が飛んできて、こっちもすごいバイブス上がる。本当にありがたいです」と話す。事実、曲中のセッションやソロパートが終わるたび、フロアから自然に拍手が発生していた。思わず拍手喝采を贈りたくなるほどのグルーヴを作り出していたのだから、そうなって然るべき。大阪の観客はとても正直だ。

dawgss

dawgss

「FINALE」と「ORANGE」を披露して上昇感と多幸感で極上のサウンドスケープを描き出したあと、ラストソングの「enemy」を投下。透明感のある歌声とグッドメロディに耳が喜ぶ。1人ひとりの見せ場もありながら、森光と上原のリズム隊の実力もしっかり提示してライブを終えた。2人ユニットだが、4人で音を奏でることの喜びがステージに溢れていて、お互いへの信頼感を感じさせる素敵な空間だった。サポートミュージシャンやプロデューサーとしての視点・経験に裏打ちされた実力は一目見ればわかる。これからどんどんライブを重ねて、dawgssとして独自のステージを作っていくのだろう。本当に今後が楽しみだ。この場に立ち会った観客は、ある意味今しか見ることのできない姿を目撃したといえよう。また大阪に来てくれることを心待ちにしていよう。

Haruy

Haruy

Haruy

続いて登場したHaruyは、2000年生まれのシンガーソングライター。サポートにTAIHEI(Suchmos、賽/Key)、市川仁也(D.A.N/Ba)、水野雅昭(Dr)という実力派メンバーを揃えた編成で、ライブでは初となる大阪へやって来た。

スモークと紫色のライトに照らされたステージにTAIHEIのピアノが響き渡り、「Snake」でゆらゆらとライブをスタート。ラフな出立ちでナチュラルな雰囲気だが、とにかく存在感が半端ない。スモーキーで伸びやかな歌声と佇まいに惹きつけられる。続けて、「Swimmer」では、まさに波をたゆたい、サーフするように浮遊感のある歌声を響かせる。

Haruy

Haruy

MCでは「初めましてHaruyです。今日が初めての大阪でのライブで、呼んでいただいてありがとうございます」と挨拶。話しているとあどけない表情を覗かせるが、歌うと一気に纏う空気が変わる。変幻自在の歌声の中に、しっかりと芯を感じるボーカル力はさすが。新曲「Frozen」では清涼感と情熱が融合したような音の波に会場全体が飲み込まれる。

Haruy

Haruy

さらにどこまでものぼっていけそうな上昇感、瑞々しい歌声で会場を包み込んだ「Ryan」、重く跳ねるサウンドに重なる低音ボーカルで表現の幅を見せつけた「Don’t catch the now」、ロマンティックでメロウな「Lovely」。曲ごとに変化する表情に脱帽する。観客はただ没入して聴き入るのみだ。

Haruy

Haruy

「次で最後の曲になります」との言葉にはフロアから「えー!」と惜しまれる声が上がり、Haruyは嬉しそうに笑顔を見せた。「今日はご覧いただきありがとうございました。また大阪に来れたらなと思います」と述べて、最後はTAIHEIと2人で新曲「Landscape」を披露した。日本語詞を柔らかく、丁寧に歌い上げる。質感と透明感が同居する歌声、そこに絡み合うTAIHEIのピアノの音。放たれる音そのものが光のように輝いて、本当に美しかった。Hayata Kosugi(Suchmos)がプロデュースした最初で最後の作品のEP「MAO」の全楽曲と新曲をしっかりと届けたHaruy。最高の余韻を残して大阪での初めてのライブを終えた。観客の心を震わせた様子で、その証拠にいつまでも拍手が鳴り止まなかった。

春野

春野

春野

トリは昨年のワンマン以来、2度目の大阪となる春野。作詞・作曲・トラックメイキング・ミックス・マスタリングまで自身で手がける、ネット発の次世代シンガーソングライター。アーティストのプロデューサーも行う一面も。昨年7月にNOON+CAFEで行われた初の大阪ワンマンのは即完。このことからも注目度の高さを伺わせる。

完全に真っ暗になったステージにSEが流れ、春野が静かに登場。キーボードの前に座り手を挙げると、会場からは待ってましたの歓声と拍手が沸き起こった。1曲目は「Kidding Me」をソウルフルに響かせる。

春野

春野

1曲目の伸びやかな歌い方とは打って変わり、「Dance At The Moonlight」では歌声もビートの一部のように、低音ボーカルを1音ずつ置いてゆく。上半身を大きく動かしながら歌う姿とダンサブルなナンバーに牽引されて、フロアも体を揺らす。さらに「Love Affair」を美しく響かせた。この3曲だけでも様々な表情が感じられる。

MCでは「去年ワンマンを大阪でやらせていただいて。大阪はすごいイケイケガイで、ノリがめっちゃ良い。東京と全然雰囲気が違う。僕はね、こっちでライブする方が好きかもしれない。良い人多そう(笑)。そんな良い人の君たちに良い日だったなって思ってもらえるようにやってくんでよろしく」と優しく述べて「Limbo」へ。ムーディな照明とスモークに包まれて、また観客をゆらり踊らせる。

春野

春野

じわじわと高まるフロアに投下された「Venus Flytrap」では「踊れるなあこれ。ミラーボールだなあ」と言うと同時にANIMAのミラーボールが輝きを放ち、「次のサビ一緒に歌いたい」との言葉でフロアを巻き込み、一体感を作り出す。もちろんオーディエンスは一斉にハンズアップ! そんな様子を見て「やるじゃん。最高じゃん君たち」と満足そうに呟き、続く「D(evil)」でさらにギアを上げる。1番を歌い終えると「1回聞いたってことは次のサビ歌えますよね?」とフロアを煽る。そんなの踊るしかないだろう。高まった熱量とビートで自由に体を揺らすオーディエンス。曲を終えると「ワンマンみたいなノリ」と言わしめた。

春野

春野

2度目のMCでは「今日ほんとは、とあるお知らせを持ってこれる予定だったんですよ。……持ってこれませんでした!(笑)。締めは甘々なんですけど作る曲はカッコ良いんで、今後ともよろしくお願いします」とお茶目な一面をのぞかせながら、「KID」と「U.F.O」で良質なサウンドスケープを描き出す。春野は一見クールなようで、心理的な距離が近く感じるフランクさとあたたかさがある。目深に被ったキャップで表情が見えにくいことからミステリアスさも感じられるが、それも独自の雰囲気を生み出している。

春野

春野

そんな彼のラストチューンは「Angels」。最高に繊細で優しいミディアムバラードが会場に広がってゆく。最後は「良い人生を」と述べてフロアにも拍手を贈り、ステージを去った。落ち着いた佇まいで、包容力たっぷりのステージを見せてくれた春野。短い時間ながら、その魅力を遺憾なく発揮した素晴らしいライブだった。

『YOUNG POP CLUB vol.10』

『YOUNG POP CLUB vol.10』

こうして『YOUNG POP CLUB vol.10』が閉幕。そして6月18日(日)大阪城音楽堂にて、イベント開催5周年&vol.10の到達を記念して『YOUNG POP CLUB -SPECIAL-』が開催されることが発表された。出演は、Bialystocks、Chilli Beans.、Laura day romance、Mega Shinnosuke、みらん、ぜったくんが決定(後日追加発表あり)。過去の出演アーティストが集結して、野外でのスペシャル編を盛り上げるので要チェックだ。そして、今後もイベントを通して、まだ見ぬ新星に出会える日をお楽しみに。

6月18日(日)@大阪城音楽堂『YOUNG POP CLUB -SPECIAL-』開催決定!

6月18日(日)@大阪城音楽堂『YOUNG POP CLUB -SPECIAL-』開催決定!

取材・文=久保田瑛理 撮影=松本いづみ

セットリスト

『YOUNG POP CLUB vol.10』
2023.3.31(FRI)大阪・心斎橋Live House ANIMA

dawgss
1.Rude
2.あいこ
3.Kindness
4.MAJIC
5.夢中
6.祈り
7.FINALE
8.ORANGE
9.enemy

Haruy
1.Snake
2.Swimmer
3.frozen
4.Ryan
5.Don’t catch the now
6.Lovely
7.Landscape

春野
1.Kidding Me
2.Dance At The Moonlight
3.Love Affair
4.Limbo
5.Venus Flytrap
6.D(evil)
7.KID
8.U.F.O
9.Angels

イベント情報

YOUNG POP CLUB
-SPECIAL-
日程:2023年6月18日(日)
会場:大阪城野外音楽堂
時間:OPEN 11:00/START 12:00
出演:Bialystocks / Chilli Beans. / Laura day romance / Mega Shinnosuke / みらん / ぜったくん ……and more

詳細(税込):全自由 ¥3,000
ONP × YPC セット券 ¥5,000
※6/17(土)「OSAKA NIGHT PARADE(大阪城音楽堂)」との2日間共通
※小学生以下無料(保護者同伴のみ入場可能) ※入場整理番号付
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