高嶺のなでしこ 寸劇あり、ゲームあり、華麗に魅せるライブパフォーマンスあり、3rdファンミーティングで届けた9人の覚悟
高嶺のなでしこ 撮影=林晋介
3rd ファンミーティング~私たちの宣言式~
2025.8.7 豊洲PIT
8月7日、豊洲PITにて高嶺のなでしこ『3rd ファンミーティング~私たちの宣言式~』が開催された。ここでは第一部の模様をレポートしたい。
場内の雰囲気は開演前から和やかだった。なぜなら、開演前の諸注意の影アナを東山恵里沙と涼海すうが担当したからだ。真面目に原稿を読み上げる東山と、原稿を逸脱して観客にガンガン呼びかけるなど、緩さが際立つ涼海のコントラストが楽しい。
客電が落ち、オープニングムービーが終わると、場内には楽しげな祭り囃子が響き、最初にステージに現れた東山に続き、浴衣姿のメンバーが続々と登場。“センパイ”と2人きりで夏祭りを楽しもうと企む9人、という寸劇が繰り広げられる。どのメンバーも意外と演技が上手い。そして、「センパイ、私と一緒にお祭りまわってくれませんか?」という言葉を合図に「東京サマーセッション」のイントロが鳴った。軽快なビートながらも、懐かしい夏を思わせるエモ曲だ。9人は軽やかに舞う。しかし、その所作には浴衣らしい上品さが漂い、この日ならではの特別感が感じられるのがうれしい。
「初恋のこたえ。」では、「みなさん、こんにちは! 高嶺のなでしこです! ファンミーティング、スタートしました! 最後まで楽しんでいきましょう!」という東山による明るくキュートな挨拶によって、場内の熱気がもう一段階高まるのを感じた。青を基調とした照明もあいまって涼しげな印象を与えるが、そこにかぶさるファンのMIXが9人のパフォーマンスを熱く支える。
3曲目「可愛くてごめん」まではノンストップ。楽しげにパフォーマンスしているように見えるが、彼女たちが新体制で活動をはじめてからまだ1週間程度しか経っていない。不安もあっただろうが、ここまで仕上げてきたのは9人のプロ根性にほかならない。
メンバー一人ひとりによる挨拶のあと、本日のMCとして流れ星☆のちゅうえいが甚平姿で登場。去年開催したファンミーティングの評判がよかったからまた呼んでもらえたとうれしそうだ。うれしさのあまり早速何度かスベっていたが、「ウケる・ウケないは人それぞれだけど、(ギャグが)終わったら拍手をしよう!」とすかさずポジティブな笑いに変えるところはさすが日本随一のギャガーだ。
さて、ここから企画が続く。日向端ひなとちゅうえいが進行役となって進めたのは「たかねこ借りファン戦争 2025」。これはお題に当てはまるファンをメンバーがステージまで連れて来る早さを競うというもの。勝利チームには3000円分のAmazonギフト券を一人ひとりにプレゼント、ということでメンバーの目の色が変わる。ゲームは、「高嶺」チーム(日向端、涼海、松本)、「の」チーム(城月菜央、橋本桃呼、東山)、「なでしこ」チーム(籾山ひめり、星谷美来、葉月紗蘭)に分かれて行われた。各チームを代表して、松本、東山、星谷が挑んだお題は、「最前列から10列目までに座っている方の中で高嶺のなでしこ1stファンミーティングのグッズを持っているファン!」。これは2列目にいた女性ファンをすぐさまステージに連れてきた松本(「なでしこ」チーム)の勝利。ファンへのインタビューでは、ちゅうえいが 「すごいでしょ? 俺、さっき、ここでスベったんだよ?」と笑いをかっさらった。
涼海、橋本、葉月が参加した次のお題は、「11列目から最後列までに座っている方で高嶺のなでしこへの愛を120db以上の大声で叫ぶ事ができるファン!」。結果は以下の通り(※<>内は叫んだ言葉)。
「高嶺」チーム<すぅちゃん大好きだー!>=125.9db
「の」チーム<なおちゃん、結婚しようなー!>=126.2db
「なでしこ」チーム<えりさのポニテは世界一!>=123.0db
よって、僅差で「の」チームの勝利となった。
そして、日向端、城月、籾山が挑んだ最後のお題は、「この会場の中で高嶺のなでしこLARME 065特装版book coverを持っているファン!」。ハードルの高いお題に場内はざわめく。涼海も「本持ってきた人なんているの!?」と不安げだ。残念ながら、このお題をクリアしたファンはいなかったので、高嶺のなでしこが現在コラボしているROUND1でゲットできるオリジナルコースターを持っているファンにお題変更。これもなかなか大変かと思われたが、ケースに入れて大事に携帯していた女性ファンを籾山がエスコートし、「なでしこ」チームの勝利。最終的には、2勝した「なでしこ」チームが優勝。女性ファンのグッズ所有率が高いことがよくわかる企画となった。
ちゅうえいが座席番号を引き、当選者に各メンバーのサイン入りグッズをプレゼントする「勝手にちゅうえいのちゅう選会」を行ったあとは(余談だが、笑いを交えたちゅうえいの進行が見事だった)、ピンクを基調とした衣装へと装いを新たにした9人が登場し、「ライフクエスト」と「メランコリックハニー」をハッピーに歌い上げた。この2曲の歌唱中は撮影可能タイムとなり、フロアへ降りたメンバーをファンが一斉に撮影。しかも、9人はただフロアを歩いていくだけでなく、同じ場所にしばらく留まってみたり、ファンサービスたっぷり。しかし、最後はステージ上でビシッとダンスをキメる。このギャップがクールでいい。
続く企画は「TAKANEKO IDOL FESTIVAL (TIF)」。星谷とちゅうえいが進行を務めたこのコーナーでは、メンバーがJOYSOUNDのカラオケを使用し、とっておきのアイドルソングを歌唱。ファンにとっては普段はなかなか聴けない曲を堪能できる時間となった。FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」(葉月、星谷、籾山)、AKB48「ヘビーローテーション」(涼海、日向端、松本)、=LOVE「とくべチュ、して」(城月、橋本、東山)と3チームに分かれて歌ったのだが、他のメンバーも合いの手を入れたり、踊ったり、自由に楽しんでいる姿が印象的だった。最後はメンバー全員で小泉今日子「学園天国」を歌い上げた。
最後の企画は、城月とちゅうえいの進行による「この夏、もっと好きにさせちゃうよ。」。企画タイトルだけだと伝わりづらいが、これは「この夏、好きになっちゃえばいいのに。」をテーマに掲げて駆け抜けてきたたかねこにちなんだもので、メンバーがあの手この手を使って、まだ夏を好きになっていないファンを夏好きにさせるという内容。城月が「この夏をまだ好きになってない人は挙手!」と呼びかけると、いくつか手が挙がる。埼玉から来た、暑いから夏は好きじゃないという男性ファンには橋本が目の前まで迫り、「桃呼のこと見て? かわいい? 好き? 好きだよね? じゃあ、もっと好きになってくれる? 大好き!」と夏好きに翻意させた。この強引な手法に刺激されたのか、もはや本当に夏が嫌いなのか疑わしくなるくらい客席から手が挙がる。セミが嫌いだから夏が苦手だという女性ファンには籾山が挑んだ。「セミなんか見てないで、私のことをちゃんと見てよ。セミ、私が取ってあげるね」。何がすごいって、籾山が最初にセミを捕る仕草をするのと同時に、BGMとして鳴っていたセミの鳴き声が止まったのだ。これは音効とメンバーの見事な連携プレイ。最後は、冬が大好きで、夏は冬まで遠いから嫌いという男性ファンには、星谷がこんなふうに問いかけた。「美来ね、寒がりで、手がすぐかじかんじゃうの。温めてほしいんだけど、誰かいないかなあ?」「あっためます」「じゃあ、夏も好きになって?」この謎理論で冬を愛するファンはあっさり陥落し、ちゅうえいからも「ちょっと待って、あっという間に夏好きになっちゃったじゃん」とツッコまれる始末。こうして全企画が楽しくゆるゆると終了したのだった。
衣装チェンジのためにメンバーが舞台袖にはけている間に、スクリーンにはたかねこのメンバーオーディションからこれまでを追ったVTR「たかねこの宣言」が流れた。華々しい面ばかりではなく、メンバー脱退のシーンにも迫った内容は非常に生々しく、ファンミーティングの雰囲気を徐々に変えていった。
VTRが終わり、シリアスな表情で再登場した9人が歌ったのは、8月20日にデジタルリリースされる新曲「この世界は嘘でできている」。《優等生じゃない 綺麗じゃない ぐちゃぐちゃだよ》《フィクションじゃない 嘘じゃない 間違いもある》と歌われる歌詞は、“アイドル”と“自分”の間で揺れる心情をリアルに表現していて、胸にグッと迫る名曲だ。
ここで、キャプテン籾山からファンへ、グループ結成3周年を迎えるにあたってのメッセージが届けられた。彼女は、緊張からか時折言葉に詰まりながらも、これまで支えてくれた感謝を伝え、新体制になったことで不安にさせたことをファンへ謝罪した。しかし、「何度も心が折れる瞬間があった」し、「言葉にできないくらい不安」だけど、「この9人で絶対に次のステージに向かっていきたい」とメンバーを代表して籾山は明るく、堂々と宣言したのだった。
そして、「いつもの感謝の気持ちを込めて、そして私たちの覚悟を皆様にお届けしたいと思います」という籾山の言葉とともに「アイドル衣装」と「美しく生きろ」を披露した。華麗に歌い、美しく舞いながらも、9人のパフォーマンスに強靭な意志が宿っているのが見えた。
《アイドルよ 全力を見せろ アイドルよ 答え続けろ 泣いたって止まるな 僕らにそんな暇はない》
ステージに届けられるファンの歓声はこの日一番力強く、真摯なものだった。頼もしいファンからパワーを受け取ったたかねこの9人は、9月7日の幕張イベントホールまで一気に駆け抜ける。
取材・文=阿刀 “DA” 大志 撮影=林晋介
リリース情報
M1. この世界は嘘でできている
ライブ情報
日 程:9月7日(日) OPEN 16:30/START 18:00
会 場:幕張メッセ 幕張イベントホール(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
たかねこフェス vol.5〜ハロウィンSP〜
日 程:10月29日(水)
会 場:豊洲PIT(東京都江東区豊洲6-1-23)
※詳細は後日発表
たかねこクリスマスパーティ2025
日 程:12月25日(木)
会 場:KT Zepp Yokohama(神奈川県横浜市西区みなとみらい4-3-6)
※詳細は後日発表