ROTH BART BARON 真夏の野音のオープニングに登場! クラシカルDJ水野蒼生がもたらしたものは。
(c)️Daiki Miura
2023年7月16日(日)ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)のライブイベント『BEAR NIGHT 4』が東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)にて行われ、クラシカルDJ水野蒼生がオープニングDJとして登場した。
2018年、音楽界史上初のクラシック・ミックスアルバム『MILLENNIALS -We Will Classic You -』でドイツ・グラモフォンからメジャーデビューした水野は、同レーベルが主催するクラブイベント『Yellow Lounge』や国内最大級のクラシック音楽フェス『ラ・フォル・ジュルネTOKYO』などでも注目を集めてきた。今回、『BEAR NIGHT』への出演は初。当日のレポートが到着した。
7月16日(日)、日比谷野外大音楽堂で開催されたROTH BART BARONの“夏の熊フェス”第4弾『BEAR NIGHT 4』。最高気温35.3°の野音はファンの更なる熱気で盛り上がり最高の夜となった。水野蒼生はオープニングをクラシカルDJとして盛り上げる。
17時40分、バンドの登場を待ちわびる夕暮れ時の野音に力強くリズミカルに響きだしたのは、「Tabulaturbuch auff dem Instrumente: Toden Tanz”」。 コパチンスカヤ(パトリシア・コパチンスカヤ)のヴァイオリンはロットの世界観と遠からず、しかし近すぎず、期待感をあおってくれる。いい選曲だ。
水野自身の最新アルバム『HYPER NEO POST ROMANTIC』(2023年5月24日発売)ではポストクラシカルならぬ、“POST ROMANTIC”を定義づけたが、この日のDJ Playではそれらを心地よくつないでいく。
クラシックにさほどシンパシーなくとも聞き覚えのある鮮烈なヴァイオリン、ヴィヴァルディの「夏」は、マックス・リヒターによる。その後もクラシック、ポストクラシカル好きなら“にやり”とする選曲が続く一方で、心地よく緩急ある選曲はクラシカルユーザーかどうかなどは必要としない。ただ音楽を愛して集まったオーディエンスのエモーションに訴えるだけだ。VANBURのアンビエントな空気感は蒸した都心の空気を少しだけ軽減させる。このひと時だけ心地良い風が通り抜けていったのも当然か。
アダムズ、ブリテン、水野オリジナルの「Spectacle」と続く高揚感を、「Pavane pour une infante défunte, M. 19」でチルさせると、ChamiのVocalをフィーチャーした最新オリジナル楽曲「In Paradisum」からのループでROTH BART BARONのメンバーを迎え入れた。水野は感謝と敬意の拍手をもってバンドの1曲目「HAKU」に受け渡し、そこから先は総立ちのライヴスタート!
美しいこの時間の役割を果たした水野。ライヴのオープニングをクラシカル音楽が奏でるとはなんと心地よくすてきなことだろう。
水野の前作アルバム『VOICE』(2021)では、小田朋美、君島大空、角野隼斗ら多彩なゲストを迎えて録音を重ねたが、三船雅也も「Nessun Dorma」で参加している。ジャンルを超越した音楽シンパシーが彼らをつないでいるのだ。
7月21日(金)にはアルバム『HYPER NEO POST ROMANTIC』の発売を記念した、自身の単独ライヴも控える。
全編その世界に浸ってみる良いチャンスだ。
文=N.S