バケツ、デッキブラシ、ショッピングカート……日常にある何気ないモノたちが宙を舞い “歌う”?! まもなく開幕『STOMP』の魅力をきく

インタビュー
舞台
2023.8.14

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100分間、ノンストップで展開されるパフォーマンスショー『STOMP ストンプ』が、2023年8月16日(水)~ 8月27日(日)東急シアターオーブで開催される。13年ぶりの来日公演を前に、史上2人目となる日本人ストンパーの櫻井多美衣ら、5人のパフォーマーに見どころや、意気込みを聞いた。

――13年ぶりの来日公演が目前ですね。ステージでは8人でパフォーマンスをされますが、今日は5人のストンパーのみなさんにお話をうかがっていきます。それぞれ国籍も、キャリアも異なるみなさんですが、それぞれの経歴を教えていただけますか。

Jamie Welch(ジェイミー・ウェルチ):僕は英国出身です。8歳の頃からダンスや歌、そして演技などあらゆるパフォーマンスをしていました。バンドでライブをして、劇場ではミュージカルなどに出演していましたが、一時期は音楽活動に没頭していました。『STOMP』は音楽、パフォーマンスなど僕が好きなものが全て詰まっている場所。2016年から、ロンドン・ウエストエンド公演と、海外公演の両方に出演しています。

Jasmine Joyner(ジャスミン・ジョイナー):私はアメリカのニューヨーク出身です。実家がクイーンズでダンススタジオ『Jenn’s Studio 1』をしていたので、そこで4歳のときからバレエやジャズ、タップダンスを学びました。大学を卒業して、初めて受けたのが『STOMP』のオーディション。2017年から、オフブロードウェイ公演と海外公演に出演しています。

Jamie Welch(ジェイミー・ウェルチ)

Jamie Welch(ジェイミー・ウェルチ)

Jasmine Joyner(ジャスミン・ジョイナー)

Jasmine Joyner(ジャスミン・ジョイナー)

John Gavin(ジョン・ギャビン):僕はアメリカのフロリダ出身です。僕は食料品店でアルバイトをしていた高校生のときに、お給料でドラムセットを一式揃えて、独学で叩くようになったのが始まりでした。ニューヨーク大学に進学してからは、マリンバやティンパニーなども習い、パーカッショニストとして、ディズニーランドや、ユニバーサルスタジオなどのテーマパークでも演奏しました。音楽修士号を取得した後、ジャスミンと同じ2017年にオーディションを受けて、同年からオフブロードウェイ公演と海外公演に出演しています。

櫻井多美衣(さくらい・たみい):私は日本出身です。タップダンサーだった祖父の影響で、ダンスを習い始め、16歳のときにニューヨークに単身で渡米しました。言語も全く分かりませんでしたが、言葉を使わないダンスを通じてなら友だちを作れるかもとチャレンジしました。大学では数学を専攻していたのですが、ダンスを教えてくれていた先生がSTOMPに出演していたこともあって「受けてみたら」とアドバイスされ、2016年にオーディションを受けました。現在はオフブロードウェイ公演と海外公演に出演しています。

Alan Asuncion(アラン・アスンシオン):僕はアメリカのニューヨーク出身です。13、14歳頃からプロのドラマーとして活動していて、大阪でも公演があった『De La Guarda デ ラ ガルーダ』にも出演したことがあります。『STOMP』に参加をしたのは、2017年に受けたオーディションがきっかけでした。オフブロードウェイ公演と、海外の公演に出演しています。

John Gavin(ジョン・ギャビン)

John Gavin(ジョン・ギャビン)

櫻井多美衣(さくらい・たみい)

櫻井多美衣(さくらい・たみい)

Alan Asuncion(アラン・アスンシオン)

Alan Asuncion(アラン・アスンシオン)

――このインタビューが行われる前、NHKの朝の情報番組で生パフォーマンスを披露していましたね。ゴミ箱のフタ、デッキブラシやポールなど、さまざまなものを鳴らしながら動く楽しさに引き込まれました。普段何気なく目にしているものを楽器に変えてしまう様子は魔法のようでした。

櫻井:5人が持っていた長いポールは木製なので、同じもののように見えても(木目など)細かな部分が違うため、叩く場所や力加減によって音に変化が生まれるんですよ。

ジョン:僕らは持っている小道具を“歌わせる”ことを大事にしているんです。タイヤのチューブでも、グラスでも必ず“スイートスポット”があって、そこに当てるととてもいい響きが生まれます。スイートスポットがどこにあるのかは、叩いてみないと分からないので、物を持ったときに叩きたくなるのは、職業病だと思います。

アラン:そうだね。日本に来てから入ったカフェで、コーヒーとエスプレッソのカップが出て来て、思わず叩いてしまいました。指で弾くのと、スプーンなど物を使って鳴らすのとでは、また響き方が違うので、いろいろ試していたら、近くの席にいたお客さんも、真似して鳴らしていました。高いカップだったかもしれないから、お店の人をドキドキさせてしまったかも。

――ものを鳴らすだけではなく、『STOMP』というタイトル通り、両足を踏み鳴らすなど全身を使った動きにも圧倒されました。ステージに立たれていて感じる『STOMP』の魅力はどのようなことですか。

ジャスミン:物を持って鳴らす『STOMP』は、身体の動かし方で個性が出るところがとても面白いなと思っています。言語がないので、幅広い世代に楽しんでいただくことができるショーだと思います。

ジェイミー:手拍子をしたり、観客の方も身体を一緒に動かして楽しめることも魅力だと思います。

――日本公演では『ポルターガイスト』、『スーツケース』など新しいナンバーも加わっていますね。見どころを教えてください。

ジェイミー:新しい2つの演目以外はもちろんですが、既存の演目も更新されているので13年前とは違うショーをお見せできると思います。キャストも違いますし音楽も新しいものに変わっています。僕は忍者ヘッドバンド(ハチマキ)をして臨む予定です。

ジャスミン:私は『ペンキ缶』という演目をおススメしたいです。大小のペンキ缶を投げるので、やっている私たちもいつもハラハラします。キャッチできれば良いのですが、ペンキ缶が身体に当たると痛くて、針で縫うケガに繋がることもあるんです。

ジェイミー:僕はいつも流血してる。ケガがたえないよね。

ジョン:僕が見てほしいのは、『ポルターガイスト』です。この演目は1980年代にヒットしたスティーブン・スピルバーグ監督の映画にインスピレーション受けて考えられたもので、自宅の中にあるアイロン台やスツール、バケツ、中華なべなどが空中を移動する“怪奇現象”を楽しんでもらえると思います。

――日本では夏に死者の魂が帰って来ると言われているので、『ポルターガイスト』はぴったりですね。

櫻井:そうですね。『ポルターガイスト』を観た後、家にあるものを投げたくなる衝動に駆られると思いますが、お母さんを困らせてしまうので、良い子はマネしないでくださいね!『STOMP』は、その日その日のお客さんの反応によってもパフォーマンスが変わるので、そのときにしかない空気も楽しんでほしいです。

ジェイミー:そうだね。拍手がたくさん来るとうれしいよね。お客さんの笑顔を見ると、頑張ろうっていう気持ちになるよね。

櫻井:うん。拍手に応えたい!っていう気持ちが、やる気を倍増させてくれます。やっていて楽しいのは、ソロのパフォーマンスですね。スポットライトを浴びて、大きいオレンジ色のドラムを叩いているときは、「やっていて良かったな」と感じます。8人で一緒にドラムをたたく『リンズ』は、『STOMP』の“団体芸”を楽しんでもらえるはず。それぞれがアイコンタクトをしていたり、細かい動きが次のアクションに繋がっているので、色々な所を見てもらいたいです。

――みなさんずば抜けた身体能力をお持ちですが、自分でも自分の能力に「驚いた」という経験はありましたか。

ジャスミン:実は3カ月くらい休みを取っていたので、テレビ番組は久しぶりのパフォーマンスだったんです。始まる前は「大丈夫かな」と思ったのですが、ブラシを持って動き始めたら想像していた以上にアドレナリンが出て、良いパフォーマンスができました。久しぶりでも、身体に染みついているんだ!と驚きました。

ジェイミー:僕は1つの演目の中で、5本デッキブラシを壊したことがありました。自分の熱さにビックリしました。

ジョン:僕はパフォーマンス中は思考を止めて動いているので、後から映像を観て「こんな風に動いていたんだ」と驚くことがあります。本番中は夢中なので、うまくいったときのステージを思い出して、次の公演に臨む…というようなことはできなくて、でもメロディーを聞くと勝手に身体が動き出して、そのときのベストと思う動きになるからすごいなと思います。思うようにいかないことがあっても、それも楽しんでいます。

ジェイミー:そうやって、人は成長するんだよね。

櫻井:そうだね。私は自分が即興が得意だと思っていなかったのですが、『STOMP』を始めてから、思っていた以上に動くことができていることに驚きがあります。発見の連続なので、見つけたものをふくらませていく過程が楽しいです。

アラン:僕も即興をしている自分に驚くことがある。コメディーやユーモアを引き出せるときもあれば、全然うまくいかないこともあって。面白いでしょう!とやったけど、誰にもウケないときもあって。

櫻井:あえて、滑ったりもしているでしょう?

アラン:うん。滑ったときは、残念だなと思うし、次にチャレンジするのが怖いと感じるときもあるんだけど、「もっとやれるかも」という思いが、自分を奮い立たせてくれるよね。誰も笑わなくて、「サーッ」とひいていくのを感じても、また次って。

――激しい動きは爽快さもありますが、そういう心情を読み取りながらステージを見るのも楽しいですね。最後に日本滞在で楽しみにしていることはありますか?

ジョン:富士山を見たいです。僕は日本の“ワビサビ”が好きで、暮らしているニューヨークのアパートで、盆栽を育てているんです。僕が持っているのはジェイドツリー(カネノナルキ)ですが、色々な種類を見に行ってみたいです。

ジェイミー:僕はラーメンが大好きなので、日本のラーメンを食べたいです。ロンドンで日本食を食べると、とても高いので日本にいる間に、おいしいものをたくさん食べたいです。

アラン:僕は寿司を食べに行きたいな。あとは、へびを飼っているので爬虫類を飼っている人と交流したいと思っています。

ジャスミン:昨日はみんなで東京タワーに行ったのですが、あちこち観光したいです。日本で暮らしている友だちもいて、2年ぶりに会うことになっているのでその時間も楽しみにしています。

櫻井:私は夏祭りが大好きなので、時間を見つけて出かけたいです。みなさんも夏の思い出を作りに、ぜひ会場にいらしてください。一緒に『STOMP』を楽しみましょう!

取材・文=翡翠 撮影=taro

公演情報

『STOMP ストンプ』

■日程:2023年8月16日(水)~ 8月27日(日)
■会場:東急シアターオーブ 

■出演:STOMP ストンプ カンパニー
Philip Batchelor、Dominik Schad、Adrien Rakotondrajao
、Joshua Cruz、Molly Wallace、櫻井多美衣、Andrew Patrick、Jamie Welch、John Gavin、Jasmine Joyner、Alan Asuncion、Riley Korrell、Sean Perham、Shae Carroll
 
■一般発売日:5月20日(土)
■料金:
平日公演 S席¥9,800、A席¥8,800、B席¥7,800(税込・全席指定)
土日公演 S席¥10,800、A席¥9,800、B席¥8,800(税込・全席指定)
*3歳以下入場不可
※出演者は予告なく変更になる場合があり、変更によるの払い戻しは致しません。
 
■主催:キョードー東京/ぴあ
■キョードー東京: 0570-550-799(オペレーター対応/平日 11:00~18:00 土日祝 10:00~18:00)
https://kyodotokyo.com/pr/stompjapan.html

■公式サイト:https://stompjapan.jp/
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