土屋太鳳、声優業の素晴らしさを宮野真守と関智一から学ぶ
「マンガ大賞」や「このマンガがすごい!」に2年連続でランクインするなど大注目を集めている三部けいの人気コミック「僕だけがいない街」(KADOKAWA刊)が、テレビアニメーションとなって登場する。主人公・藤沼悟の10歳の声を演じるのは、声優初挑戦となる土屋太鳳だ。土屋にインタビューすると、「声のお仕事は夢でした」と憧れの思いを明かし、「声優さんはすごく難しいお仕事で、訓練と才能の賜物」と声優業への責任感を噛みしめた。
自分だけの時が巻き戻る現象“リバイバル (再上映)”に悩まされる藤沼悟が、自らの過去と対峙し、もがく姿を綴る本作。ある事件を追うサスペンスフルな展開の中、命の重さに迫る物語だ。土屋は「すごいスピード感があって、ドキドキが止まらなかったです。一気に読みました」と息もつかせぬ展開に驚きつつ、「とても非現実的な設定なのにとてもリアルで。現代社会の問題に真っ直ぐに向き合ってさらけ出している。そしてその中にも、誠実な光を見失わない姿が描かれているので、たくさんの人が共感しているのだと思います」と原作の魅力を語る。
声優への抜擢となったが、「声優さんって本当に素晴らしい仕事」と目を輝かせる。そう実感したのはウルトラマンゼロシリーズで共演した宮野真守と関智一から受け取ったものが多いそう。「ウルトラマンでご一緒したことがきっかけで、宮野さんのライブに行かせていただくこともあって。宮野さんは何回も何回もファンの方に『ありがとう!』って言うんです。ファンの方々の宮野さんへの愛情もものすごくて、人に勇気を与えているんだということが分かります。声で伝えられることのすごさを知りました」。
関智一とは2013年のショートフィルム『力俥-RIKISHA-』でも共演を果たしている。「共演させていただいた時に、関さんから『リアルに感じない設定だとしても、自分がそこで共感すればリアルになるから』という言葉をいただいて。三次元も二次元も大事なのは心なんだと感じました」。
さらには「ウルトラマンゼロの時の宮野さんもすごかったですよ!スーツアクターの岩田栄慶さんも役のことを考えて動いて、宮野さんがその動きに合わせて声を入れてと二人で一人といった感じで、本当に素晴らしかったです。関さんはアドリブがすごい。私は今、絵に合わせて声を入れるのに必死ですが、関さんはそんな中、すごいアドリブを入れるそうなんです。あの限られた時間の中でアドリブを入れられるなんて!」と二人への尊敬の声を大にする。
「大事なのは心」との学びを胸に飛び込んだ本作。悟役については「10歳という年齢は、男の子も女の子もまだ子供でいられる時期。真っ直ぐな正義感を意識したいなと思います」と、正義感を柱に演じる意気込みだ。「声の演技はすごく難しい。本当に声優さんのお仕事は才能と技術、訓練の賜物だと思います。私はあまりにも未熟ですが、心をフル回転、フル活動させて、悟として生きたいと思っています。心の大切さを原動力に、全力で取り組んでいきたいです」
1つ1つの言葉に丁寧に心を込める土屋。初めての声優業への責任感と感謝の思いがひしひしと伝わるが、彼女の一番の魅力と言えるのが、このひたむきな真っ直ぐさだ。勇気と正義感で周囲を巻き込んでいく悟役とは相性もぴったりだろう。是非とも土屋太鳳の新たな挑戦を楽しみにしたい。【取材・文/成田おり枝】