TVアニメで描かれたMyGO!!!!!の軌跡がLIVEで甦る『BanG Dream! 12th☆LIVE』DAY2:『ちいさな一瞬』レポート
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(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)
むき出しの感情がぶつかり合うストーリー展開が話題を呼んだ次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』の最新TVアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』。その主人公を務めたMyGO!!!!!による過去最大規模の単独ライブが11月4日に東京ガーデンシアターにて開催された。これまでリアルライブを積み重ねてクオリティを高めてきたMyGO!!!!!が、テレビアニメを経てどんなステージを作り上げたのか? 熱く盛り上がったライブの様子をレポートしよう。
(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)
■正体を隠す演出の復活から始まったMyGO!!!!!の歩みを見せるステージ
11月3~5日にかけて東京ガーデンシアターでの3DAYS開催となった『BanG Dream! 12th☆LIVE』。DAY2公演を務めるのは、TVアニメ最新シリーズも大きな反響を呼んだMyGO!!!!!だ。満員札止めとなった東京ガーデンシアターは開演前からファンの熱気で盛り上がり、開演間近になるとBGMに合わせたクラップの音やコンサートライトの光に包まれるなか、いよいよライブの幕が開いた。
「問われることは何故か将来のことばかり 目の前に居る僕の今はおざなりで」
「遠くにある理想よりも たった今に敏感に」
「わからない わからないまま チクチクと時間だけがただ過ぎていく」
「脆くても逃げそうでも 今必死でここに立ってる」
「このパンクロックの中で 同じ熱になれるいまがすべて」
「迷いながら 戸惑いながら歩く めいろの中で 僕らは居合わせてた」
「名前のない感情 ああ 抱きしめてる ちいさな一瞬 あつめたい」
ステージ前には巨大なスクリーンが貼られ、そこに映し出される羊宮妃那による 燈のモノローグで語られる感情を絞り出すようなの言葉たち。それはすべてMyGO!!!!!のナンバーで紡がれた、「今」にフォーカスを当てたフレーズだ。そして、ファンがそれに聴き入ることで生まれた静けさを打ち破るような重低音の演奏が場内に響き渡る。
そうして始まったオープニングナンバーは、1st Albumに収録の「無路矢」と、MyGO!!!!!の始まりの曲でもある1st Single収録の「名無声」。気持ちを込めたこの二曲を、激しい演奏と共に力強いボーカルで歌い上げていく。
スクリーンには歌詞のフレーズが曲に合わせて様々な演出で映し出されていき、キャストの姿は会場ではスクリーン越しに見えるのみでその表情などは窺い知れない。4thLIVE『前へ進む音の中で』までは、その姿や正体を明かさない形で活動していたMyGO!!!!!。単独LIVEとしてはこれまでで最大規模で、TVアニメで自分達を知った新しいファンも多い今回のLIVEで、改めて自分達の原点を見せようとしているのだ。
(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)
オープニングを終えてのMCでは、ファンの声援にハイテンションな愛音(立石凛)を見た立希(林鼓子)が「あまり愛音を甘やかさないでください」とファンを諫めたり、それぞれのキャラクターならではのコール&レスポンスなど、TVアニメを経た後の彼女達らしいやりとりに場内も盛り上がる。
そしてDAY1を盛り上げたPoppin'Partyから受け取ったバトンをがんばって繋いでいこうと気合いを入れ、早く演奏したいという楽奈(青木陽菜)に即されて再びLIVEがスタート。
リズミカルなメロディと共に始まったリスタートを飾るのは、必死で切ない生き様を唄い上げた「Henceforth」「猛独が襲う」とボーカロイド曲のカバー二連発で、感情を叩きつけるような燈のボーカルと迫力の演奏が場内の熱を上げていく。
「東京ガーデンシアター、もっともっと盛り上がっていけますか?」
そんな愛音のかけ声から、長崎そよ(小日向美香)のベースソロと共に始まったのは、軽やかでダンサブルなメロディで人気の2ndSingle収録の「影色舞」。さらに畳み掛けるように04 Limited Sazabysのカバー曲「swim」と、激しいロックのメロディの中で燈が朗読のように感情をこめて歌うボーカルが印象的な2ndSingleの表題曲「音一会」と続き、LIVEは後半戦へと突入する。
(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)
■TVアニメで描かれたMyGO!!!!!の軌跡がLIVEで甦る!
「僕は歩く ひたすらに続く平行線の上を」
「一緒に泣けること 一緒に笑えること」
「かつて結ばれていた僕たちの線は、いまはほどけてもう交わらないけど」
場内には燈のモノローグと足音が響く。それに合わせるようにスクリーンには暗闇に広がる波紋とモノローグ、そして彼女が歩く先を示すように線が延びていく。
「手繰り寄せようとあがいたその手がどんなに歪でも」
「誰がそれを笑えるだろう」
やがて線と足音の波紋は二つとなるが、それは交わることなく離れていき、こんがらがってまた一つに戻る。
「僕は 求め続けたい」
「積み上げるには時間がかかり」
「それを失うのは 一瞬」
「その一瞬を取り戻すことはもう出来ないかもしれないけど」
「ずっと癒えない傷となって」
「一生残っていくんだ 無くなりはしないんだ」
「その一瞬を繋ぎあわせて僕たちはすすむ」
二つの線は交わらないまま伸び続けていく。
「平行線でいい ずっと隣をあるいていて」
「歩幅をあわせて 視線を交わして」
「交わらない道でも 一緒にすすもう」
(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)
そして初めてスクリーンが上がり、スポットライトが佇む燈を照らし出す。そしてピアノの旋律と共に始まったのは、TVアニメ第3話の劇中歌「人間になりたいうた」。しかも本編で祥子が即興のピアノ演奏で歌ったシーンを思い出させるPiano ver.だ。
歌詞に合わせた身振り手振りも交えながら歌い終え、一瞬の暗転の後に再び燈が照らし出されると、その手には彼女が想いの言葉を綴り続けてきたア・テンポノートが。
「僕は詩をうたいます
かつて手を引いてくれた人がいて
一緒にうたう人がいて
僕が壊してしまった
迷子になって回り道してそれでもすすむ人がいて
僕が手を離してしまった
忘れたくなくて、失くしたくなくて
僕の中に残っているかけらを拾い集めて
それが詩になって
そうだこれは詩なんだ」
ノートに綴られたむき出しの想いを語り続ける燈。それに合わせてギターやドラムのソロが重なり合っていく。
「正しいうたいかたなんて知らないけど
この詩を聞いてほしい
この詩をうたってほしい
もう一度僕の隣で
もういない君
変わってしまった君
僕だけおいて
届いてこの詩
叫んでるこの声が掠れて涸れても
この詩が届くその時まで
うたい続けるって決めたんだ」
「傷つけたくなかった 手を離したくなかった
ごめんなさいたいせつなひと
伝えたい思いはいつも喉に張り付いてこえにならないから
せめて残したいこの詩を」
(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)
そんな燈の叫びに他のキャストの演奏が重なって「詩超絆」へと雪崩れ込んでいく。演奏に乗せて燈は想いを語り続け、そしてステージに背を向けて仲間に伝えるように唄い紡ぐ。そしてクライマックスでは再び客席に向き合うと、全員でもう一度一緒に歌い続けようという気持ちを込めたハーモニーを重ねていった。
そして再び、楽奈のアルペジオに合わせて燈が語りはじめる。
「私達は迷子です。戸惑いながら歩いて、はみ出して、すれ違って、傷つけたことに傷ついて。
それでも、迷っていたから出会えて。
諦めなかったしるしがここにあるから。
この一瞬一瞬を忘れない。それが、一生になるまで。
一生、離さないから。」
一生みんなとバンドをしたいという気持ちのこもった言葉を絞り出す燈を、愛おしげに見つめる立希。そして重なった5人の気持ちがはじけるように「迷路日々」がスタート。今回のLIVEタイトル「ちいさな一瞬」も歌詞に盛り込まれたナンバーを情感たっぷりに唄い上げていった。
歌い終えて、握りしめた拳を掲げる燈を大きな声援が包み込む中、激しい演奏と共に「迷星叫」がスタート。迷いながらも自分だけの明日に向かって歩いて行く5人の気持ちを込めた歌を、燈は振り返りながら共にステージに立つ仲間を見つめ、想いを込めて拳を静かに掲げながら、自分の気持ちを仲間とファンへと届けていった。
(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)
そしてステージが暗転し、メンバーそれぞれにスポットライトが当たる。そしてそれぞれが、かつて心が「迷子」だった日々を語っていく。
「確かにそこにあったすべての一瞬が今に繋がっている
たとえ華やぎの道が見えなくとも、進み続ける」
そして「これが最後の曲です」という燈の言葉と共に、ライブはラストナンバー「碧天伴走」へと雪崩れ込んでいく。
「迷子でもいい、迷子でも進め───」
TVアニメではMyGO!!!!!の初ライブで披露されたこのナンバーを、燈の叫びや、楽奈&愛音のポジションチェンジしながらのお立ち台での演奏なども交えて力強いパフォーマンスで奏でていく。そしてラストは全員が円陣のようになってキメてみせ、ステージと場内が一体になっての最高の盛り上がりでライブは幕を閉じた。
ステージの照明が落とされると同時に、場内からは間髪を入れずアンコールの声が響き渡る。しばらくしてスクリーンにMyGO!!!!!のバンドロゴが映し出されると、何と来年2月~4月にかけて東京・福岡・大阪・名古屋で開催されるMyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」がサプライズ発表されて、場内は大歓声に包まれた。そして待ちに待っていたアンコールもスタート。
アンコールの一曲目は、TVアニメのエンディングテーマ「栞」からスタート。全員がステージ中央に座り、楽器組がアコースティックギター&ベースとカホンで奏でる優しいメロディと共に、自分を信じて生きていこうという優しい感情を涼やかに唄い上げた。
歌い終えてのMCでは、会場の上の方までコンサートライトの輝きで満たされた場内がプラネタリウムみたいだとファンの応援に感謝を述べた。
そして改めての自己紹介を経て、先程発表されたツアーの他にPoppin'Partyとの合同ライブ、4th Single、TVアニメのBlu-rayやコラボギターの発売決定など、来年に向けての様々な情報について盛り上がる。
最後の挨拶では「他のBanG Dream!バンドと絡めるようになって嬉しい」(林)「今だからできるMyGO!!!!!のライブで色々な演出ができて嬉しかった」(小日向)「やりきったと胸を張って言えるライブでした」(青木)「アニメが始まってMyGO!!!!!のファンが増えたのを実感できた。今年最後の単独ライブでこんな素敵な景色を見ることができて幸せ」(立石)「燈がこんな素敵な景色の中でライブが出来て嬉しい。迷子なので後ろを振り返りながらみんなと歩んでいきたい」(羊宮)と、それぞれがライブを完走できた嬉しさを語った。
そして「まだやってない素晴らしい曲があるんじゃないんですか?」という言葉と共に、最後のアンコールナンバーとして「壱雫空」「焚音打」が激しいビートと感情を叩きつけるようなボーカルと共にスタート。「焚音打」では燈の「拳を上に上げてください!」のかけ声を合図にメタルテープが発射され、最後は燈からの
「大丈夫 僕たちは進もう 迷うことに もう迷わない」
というメッセージと共に、全員で腕を突き上げてライブはフィナーレとなった。
(C)BanG Dream! Project (C)Craft Egg Inc. (C)bushiroad All Rights Reserved. Photo ハタサトシ、池上夢貢(GEKKO)
曲を終えた後は客席にピックを投げたり、全員でステージを横断してお礼の挨拶にまわり、そして最後は生声で「本日は本当にありがとうございました!」とファンに感謝の気持ちを届けてMyGO!!!!!最大のライブは大団円となった。
正体を隠しての結成から、テレビアニメを経て辿り着いた最新のMyGO!!!!!の姿を、濃厚に詰め込んだライブとなったBanG Dream! 12th☆LIVEDAY2。来年からは他のバンドとの共演も増えることで、MyGO!!!!!がどんな道を歩んでいくのか楽しみになる一夜となった。
取材・文:斉藤直樹
セットリスト
2023.11.4BanG Dream! 12th☆LIVEDAY2 :
MyGO!!!!!『ちいさな一瞬』@東京ガーデンシアター
03.Henceforth
04.猛独が襲う
05.影色舞
06.swim
07.音一会
08.人間になりたいうた Piano ver.
09.詩超絆
10.迷路日々
11.迷星叫
12.碧天伴走
EN1 栞
EN2 壱雫空
EN3 焚音打