松尾スズキと舞台芸術作品を創作する、リアルワークプロジェクト『命、ギガ長スzzz』 コメント、メインビジュアルなど公開
『命、ギガ長スzzz(ズズズ)』メインビジュアル デザイン:山川豹真(京都芸術大学 情報デザイン学科 ビジュアルコミュニケーションデザインコース1回生)
2024年2月25日(日)京都芸術劇場 春秋座(京都芸術大学内) にて、松尾スズキ・リアルワークプロジェクト『命、ギガ長スzzz』が開催される。この度、松尾スズキのコメント、メインビジュアルが公開となった。
「松尾スズキ・リアルワークプロジェクト」とは作家、演出家、俳優、映画監督、コラムニストとして活躍し、大人計画主宰、シアターコクーン芸術監督を務め、2023年に京都芸術大学舞台芸術研究センターの教授に着任した松尾スズキと共に舞台芸術作品を創作するプロジェクト。京都芸術大学全学科の学生に対して募集・選抜を行い、最終成果として作品を京都芸術劇場 春秋座で発表する。
作品は読売文学賞受賞作でもある『命、ギガ長ス』(作:松尾スズキ)で、場面ごとに演者を入れ替える形で上演を目指す。演劇創作における発想の仕方や身体論まで舞台芸術のみならず芸術全般を考察し、その特性について理解した上で、舞台芸術作品公演を行う実践的なプロジェクトとなる。
人間の儚さを描き切った、2人芝居『命、ギガ長ス』を、Z世代の京都芸術大学の学生とともに再々演。タイトルも学生からのアイデアで、『命、ギガ長スzzz(ズズズ)』となった。果たしてどんな公演になるのか期待が高まる。
80代で認知症気味の母親・エイコと、50になってもニートでアルコール依存症の息子・オサム。そんな彼らの貧しい生活を撮影しようと、ドキュメンタリー作家志望の芸大生・アサダがやってくる。カメラに映るのは、うまい棒ばかり食べる陽気なエイコと、母の少ない年金を頼りに、お酒ばかり楽しむオサム。アサダは2人の本心を掴めないことに悩むが、ある夜、教授キシとの関係を介して、この親子の実態に迫っていく———。
松尾スズキ コメント
松尾スズキ
35年ほど芝居をやってきましたが、初めて大学の学生たちと演劇を作りました。演劇を学んでいるものもいれば、文芸、映画、デザインを専攻しているものまで舞台にあげてしまいます。だから言ってしまえば純然たる素人と芝居を作ろうというのです。素人でもありZ世代でもある彼ら。初めはあまりの共通言語のなさに、戸惑い、あまりの体の弱さに心配し……気がつけば、東京に帰っても延々彼らのことを考え続けているのです。彼らがどうすればこの1年で「なにかをへて」「なにかをえて」くれるのか、ああだこうだと思い、試行錯誤の日々でした。正直、苦しかった。それでも、思えば自分もデザイン学科の身ながら、大学時代演劇に出会い、そのおもしろさにのめりこみ、今があるわけです。
ズブの素人でした。そう思えば、なにやら彼らが愛おしく、演劇のとてつもない魅力を少しでも感じてもらやあいいじゃないかと開き直り、なんとかここまで漕ぎ着けました。自分が彼らを成長させられたのか、彼らが自分を成長させてくれたのか。それは、きっとおいおいこの先、わかってくるのだと思います。
参加学生 コメント
一年前、専攻も学年も異なるメンバーが稽古場に集まった。……松尾スズキ?? あ、靴下かわいい。期待と不安が入り混じる私たちに、松尾さんは「素人の時間をいかに濃く過ごすかです」という言葉をかけてくれた。毎月、特別講師をお迎えし松尾さんと共に発声やパントマイムをひとつずつ教わる。また過去の上演映像の分析にも取り組み、稽古を重ねた。だんだん知る、松尾さんの凄さ。だんだん気付く、演劇の難しさ。観劇離れ世代の当事者にある私たちは、この「演劇」が詰まった作品にどう向き合えばいいのか。未だに正解は分からない。 しかし「分からない」に1年のたうちまわった結果、不思議に現実味をもつ光景が浮かび上がってきた。まだ夢半ばの私たちが、50代や80代の「命」を描こうとする。そんな葛藤と奮闘をぜひ観に来てください。
公演情報
『命、ギガ長スzzz(ズズズ)』