アントニオ・パッパーノが築き上げてきた成果の集大成 『英国ロイヤル・オペラ 2024年日本公演』が6月に開催

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2024.1.24


2024年6月に『英国ロイヤル・オペラ 2024年日本公演』が開催される。

英国ロイヤル・オペラは、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座、メトロポリタン歌劇場と並び世界の五大歌劇場と称されている。その中でも一番勢いがあるのがロイヤル・オペラだ。その歴史でみれば、1732年にコヴェント・ガーデンに最初の劇場が建てられたロイヤル・オペラはウィーンに次いで2番目に長い歴史をもっている。この長い歴史において、アントニオ・パッパーノの音楽監督在任期間は歴代最長。これほど長きにわたってひとつの歌劇場で音楽監督を務めた指揮者はほかにいない。2002年の就任以来、“劇場育ち”のパッパーノはさまざまなレパートリーに挑み、この劇場のポテンシャルを高めてきた。パッパーノの強いリーダーシップによって、ロイヤル・オペラに華々しい躍進と栄光がもたらされたといっても過言ではない。

アントニオ・パッパーノ

アントニオ・パッパーノ

そんなパッパーノが音楽監督としての掉尾を飾るべくパッパーノが日本公演に選んだのが、2017年よりオペラ・ディレクターを務めるオリヴァー・ミアーズ演出の『リゴレット』。

『リゴレット』    Photo:Helen Murray / ROH

『リゴレット』    Photo:Helen Murray / ROH

『リゴレット』    Photo:Ellie Kurttz / ROH

『リゴレット』    Photo:Ellie Kurttz / ROH

『リゴレット』はパッパーノが最後の日本公演で日本の観客に披露したいと固執して選ばれた演目。ヴェルディが16作目の題材に取り上げたのはヴィクトル・ユゴーの戯曲「王はお愉しみ」。人間的苦悩と父性愛の悲劇に惹かれたヴェルディは、自身が目指す「ドラマと音楽の合一」のために新しい表現方法に踏み出し、成功させた。リゴレット、その娘ジルダ、マントヴァ公爵といった登場人物は、それぞれが複雑な心情の持ち主。善悪含めたその心の動きが、ドラマのなかで否応なく迫ってくるのはヴェルディの音楽の力というべきもの。日本公演には、パッパーノ指揮はもちろん、タイトルロールにはその才能とテクニックにパッパーノが太鼓判を押すエティエンヌ・デュピュイ、ジルダ役にはこの役で世界的に活躍しているネイディーン・シエラが登場。マントヴァ公爵役がイタリア・デビューだった“驚異のテノール”ハヴィエル・カマレナによる「女心の歌」もけっして聴き逃せない。

エティエンヌ・デュピュイ

エティエンヌ・デュピュイ

ネイディーン・シエラ

ネイディーン・シエラ

ハヴィエル・カマレナ

ハヴィエル・カマレナ

そしてもう一本はロイヤル・オペラが誇る人気プロダクション『トゥーランドット』。プッチーニの最後の作品『トゥーランドット』は、ヴェルディの『アイーダ』と同様に、音楽性に加えて、スペクタクル性やエンターテインメント性を備えた作品として人気を集めている。このアンドレイ・セルバン演出の『トゥーランドット』は、1984年に初演、1986年の日本公演でも上演され大成功を収めた。階段状の回廊、豪華な玉座に座った皇帝、豊かなイマジネーションをあらわす陰影に富んだ照明などなど、美しく壮麗な舞台装置が人々を魅了した。

『トゥーランドット』    Photo:Tristram Kenton / ROH

『トゥーランドット』    Photo:Tristram Kenton / ROH

『トゥーランドット』     Photo:Marc Brenner / ROH

『トゥーランドット』     Photo:Marc Brenner / ROH

英国ロイヤル・オペラで愛され続けて40年、この間には演出が何度かバージョンアップされている。当初からの細部に至るまでのこだわりに、さらに、新鮮さや鮮やかさをもたらす色彩、さらにスピーディになりインパクトが強くなった振付など。印象的な変更は、オペラの開演前にカーテンが上がっており、深紅の吹き流しが滝のように下がっていることかもしれない。
パッパーノが『トゥーランドット』をオーケストラ・ピットで振ったのは2023年春が初で、その時にも「どの指揮者よりも優れている」と絶賛された。日本公演では、パワフルな声がトゥーランドット姫にぴったりのソンドラ・ラドヴァノフスキー、世界で最も有名なアリア「誰も寝てはならぬ」を聴かせるのはカラフ役で世界を席巻しているブライアン・ジェイド、そして現地ではすでに“リュー役の絶対的実力者”と認められているマサバネ・セシリア・ラングワナシャが登場する。

ソンドラ・ラドヴァノフスキー

ソンドラ・ラドヴァノフスキー

ブライアン・ジェイド

ブライアン・ジェイド

マサバネ・セシリア・ラングワナシャ

マサバネ・セシリア・ラングワナシャ

パッパーノが築いてきた成果が結実している本公演。〈パッパーノ+ロイヤル・オペラ〉の集大成を示す総力をあげた舞台を、劇場で体感してみてはいかがだろうか。

アントニオ・パッパーノからのメッセージ

日本のオペラを愛する皆様、
「音楽」、そして「劇場」という名の家族と共に、コヴェント・ガーデンで上演するように日本の劇場でオペラを
上演することは私たちにとってまさにハイライトともいうべき瞬間です。
それも今回は『リゴレット』と『トゥーランドット』という、とてもパワフルな物語があり、演劇的にも音楽的にも
明確な主張を持ったオペラを皆様にお届けします。
この2つのオペラは素晴らしい名作ですが、様式的には全く異なるものです。イタリア・オペラという名の万華鏡の中の二つの異なる色合い、そして私たちの異なる側面を皆様にみていただけるのは大きな喜びです。
来日する度に皆様が送ってくださる温かな反応は私たちにとって本当に特別なものです。
皆様と再びお目にかかり、願わくば、共に乾杯!を交わす日を心から楽しみにしています。

公演情報

『英国ロイヤル・オペラ 2024年日本公演』
 
■G.ヴェルディ作曲『リゴレット』 RIGOLETTO
 
日程:
2024年6月22日(土)15:00
2024年6月25日(火)13:00
会場:神奈川県民ホール(横浜)
 
日程:
2024年6月28日(金)18:30
2024年6月30日(日)15:00
会場:NHK ホール(渋谷)
 
上演時間:約3時間(休憩1回含む)
 
指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:オリヴァー・ミアーズ
 
[予定されている出演者]
マントヴァ公爵:ハヴィエル・カマレナ
リゴレット:エティエンヌ・デュピュイ
ジルダ:ネイディーン・シエラ
 
ロイヤル・オペラ合唱団
ロイヤル・オペラハウス管弦楽団

■ G.プッチーニ作曲『トゥーランドット』 TURANDOT
 
日程:
2024年6月23日(日)15:00
2024年6月26日(水)18:30
2024年6月29日(土)15:00
2024年7月2日(火)15:00
会場:東京文化会館(上野)
 
上演時間:約3時間(休憩2回含む)
 
指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:アンドレイ・セルバン
 
[予定されている出演者]
トゥーランドット姫:ソンドラ・ラドヴァノフスキー
カラフ:ブライアン・ジェイド
リュー:マサバネ・セシリア・ラングワナシャ
 
ロイヤル・オペラ合唱団
ロイヤル・オペラハウス管弦楽団

入場料(税込)
S:¥72,000  A:¥62,000  B:¥48,000  C:¥38,000  D:¥32,000  E:¥22,000
横浜平日マチネ 特別料金  ※6/25 のみ
S:¥49,000  A:¥42,000  B:¥35,000  C:¥30,000  D:¥25,000  E:¥20,000
オペラ・ロイヤル・シート:¥644,000
サポーター席:¥122,000  ※6/25 のみ¥99,000(S席¥49,000+寄付金¥50,000)
 
主催: 公益財団法人日本舞台芸術振興会/日本経済新聞社
共催: 神奈川県民ホール[ 指定管理者:公益財団法人 神奈川芸術文化財団](横浜公演)
後援: 外務省 / 文化庁 / ブリティッシュ・カウンシル / TOKYO FM
 
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