加藤清史郎「コナンの生き方にはすでに僕も影響を受けています」 舞台『未来少年コナン』インタビュー

2024.3.14
インタビュー
舞台

──すでにワークショップも始まっているとお聞きしました。

今のメインはやはり身体表現ですね。インバルさんの作品って、身体が100%あったら、120%まで全部を使ってやるような動きを駆使して作品を構成しているものが多くて、今回も超人的な体力とか(笑)、筋力とか、一見普通の男の子なのにそういう高いポテンシャルを持っているコナンという少年と、荒廃している社会。そういった『未来少年コナン』ならではの世界観を具現化するにおいて僕もそういう動きが必要だよねってことで、トレーニングを始めています。コンテンポラリーダンス的な表現も多いのでそのレッスンも受けて、まずは自分の持っている本質的な部分を磨くことから始めさせてもらっています。

初めにも少しお話ししましたが、インバルさんの作品はこれまで映像でですが何作も触れさせていただいてましたし、色々な諸先輩からもお話し聞いていたりする中、いつかはそのご縁を手繰り寄せたいと思っていたクリエイターのひとりです。そして、宮崎駿さんも小さい頃からぜひ監督の作品に参加させていただきたいと思いながらもなかなか……しかも、映画も「もうこれが最後の作品かも」ということも言われていたりしましたから、「ああこれはもうご一緒できるチャンスはないかもしれない」と思いつつ過ごしてきたので、まさかこんな形で関わることができるとは思わなくて。本当に夢みたいな状況です。少し前にドラマの現場で宮崎監督の『君たちはどう生きるか』の眞人役をやった山時聡真くんと一緒になったんです。そこでこの舞台のことを伝えたら「まじかっ!?」ってすごく喜んでくれて。「招待してね!」って言われたので、「いや、買えよ」って言っておきましたけど(笑)、そういうのも嬉しいですよね。でもやっぱりただただ嬉しいって喜んでいる場合じゃないだろうなって……

──自分にとってでっかい山がそこに待ち構えている実感が。

もう初めて見たくらいにでっかいでっかい山だなって思います。でもこの山って越えようと思えば越えられるんだよなぁと。なんて言うんですかね、山って歩くことができれば絶対に越えられるものである。それに僕は歩ける。でも本当にこれを超える体力はあるだろうかと。

──自分で自分を測っている状態?

……まさに。だって本当にでかいですよ! でもその山を削り取って進みたくはない。小手先に頼ることなく、山の大きさそのものをそのままの状態でちゃんと登っていきたいので…だからこそきっと大変。そしてそれは自分の力だけじゃ絶対ダメ。モーゼみたいにぱ〜っと切り裂けちゃったらすごいんですけどね(笑)。あの山を登るにはやはりカンパニーのみなさんとも力を合わせていかなければ無理だし、そもそもそこで僕の力が不足していては登れないなぁと思うので、心身共にいかにその “体力”をつけるかが、僕の今の課題ですね。

──身ひとつで黙々と山を登っていく加藤さんのイメージと、裸足で大地を踏み締めて生きるコナンの姿が重なりました。

ハハハッ(笑)。でも本当にそう。コナン自体が身体表現の塊みたい。垂直でも登っちゃう、しかもラナを抱えてね。もう、なんなんだ!? 本当に身体の使ったことのない部分も使わないとやれないので、日々リハビリみたいな感じですよ。使わない筋肉、関節、線、をいかに引き出せるか。小手先で生きていないコナンだからこそ、体の柔軟性も大事ですし、自分のいろんなところと向き合ってコナンに近づいていかないと難しいよなぁ〜って思いますね。

──現実に現れたコナン、加藤さんにお似合いの役だと思います。

ありがとうございます! お似合いになれるよう頑張ります(照)。インバルさんの演出は身体表現のみならず、舞台のセットも照明も、舞台上のありとあらゆるものを使って……普通に椅子が宙に浮いていたりしますからね。そこで俳優が一回転したり、逆さにぶら下がっていたり。『100万回生きたねこ』の森山未來さんのようなことを、きっとコナンもやるはず。お芝居と共にテクニカルな部分も操らなくてはいけないので、なおのこと、まずは自分が自分の身体をちゃんと操れないと! とにかく本番へのイメージが広がれば広がるほど「ようし! 俺がコナンだ」と自分に強く言い聞かせていますし、自ずとそう言えるようにならないとこのステージには立てない、ので、そうなりますよ。「僕がコナンです!」。ハハハッ(笑)。

──“挑む心”が響いてきます。観客としてもますます本番への期待が膨らみますね。

この『未来少年コナン』は舞台の良さというものがより際立つ作品であり、スタッフ、キャスト陣だと思っていますし、そこに自分がいる現実をすごく実感しています。また、劇場に、本当に“そこ”に『未来少年コナン』の世界と空間があって、お客様も共にその世界に「入る」体験ができることを、すでに今、僕は確信しています。もう、すんっごいことになると思うし、すんっごいことにしなければいけないと思っています。……ほら、観たくなってきましたよね? フフッ(笑)。これをきっかけに、舞台と原作アニメ両方を行き来して楽しんでいただくのも面白いと思います。老若男女で楽しめる作品です。どうぞよろしくお願いいたします。5月なんて、もう、すぐです。(指折り数えつつ)……わ、本当にすぐじゃないですか!! ぜひ心の準備をしてお待ちくださいね。僕もめちゃめちゃしていますので(笑)。

<スタッフ>
スタイリスト:古舘謙介
ヘアメイク:Ken Nagasaka

<衣裳クレジット>
ブルゾン ¥41,800/Barbour
ジャケット ¥38,500、ネクタイ ¥8,580、パンツ 参考商品/ともにKent Ave.
シャツ ¥14,300/SENTINEL
靴 ¥44,000/42ND ROYAL HIGHLAND Navy Collection(42ND ROYAL HIGHLAND)
眼鏡 ¥48,400/金子眼鏡(オプティシァンロイド)
時計 ¥41,800/BRISTON(UNBY GENERAL GOODS STORE)
サスペンダー/スタイリスト私物

取材・文=横澤由香 撮影=岡崎雄昌 

公演情報

舞台『未来少年コナン』
 
<キャスト>
コナン:加藤清史郎
ラナ:影山優佳
ジムシー:成河
モンスリー:門脇 麦
ダイス:宮尾俊太郎
ルーケほか:岡野一平
レプカ:今井朋彦
おじい・ラオ博士:椎名桔平
 
<ダンサー> 五十音順
川合ロン、笹本龍史、柴 一平、鈴木美奈子、皆川まゆむ、森井 淳、黎霞、Rion Watley
 
<ミュージシャン>
トウヤマタケオ、佐藤公哉、中村大史、萱谷亮一/服部 恵

<スタッフ>
原作:日本アニメーション制作「未来少年コナン」
(監督:宮崎 駿 脚本:中野顕彰 胡桃 哲 吉川惣司)
演出・振付・美術:インバル・ピント
演出:ダビッド・マンブッフ
脚本:伊藤靖朗
音楽:阿部海太郎
作詞:大崎清夏
照明:ヨアン・ティボリ
音響:井上正弘
ヘアメイク:宮内宏明
通訳:石丸由紀
美術助手:大島広子
振付助手:皆川まゆむ
演出助手:陶山浩乃
舞台監督:足立充章

<東京公演>
日程:2024年5月28日(火)~6月16日(日)
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
主催・企画制作:ホリプロ
共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京芸術劇場
※大阪公演あり、詳細後日発表

料金>(全席指定・税込)
S席:平日11,000円/土日11,800円
サイドシート:平日・土日共通9,000円
 
<大阪公演>
期間 2024年6月28日(金)~30日(日)
会場 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
主催 梅田芸術劇場
お問い合わせ 梅田芸術劇場 06-6377-3888(10:00~18:00)
 
料金>(全席指定・税込)
全席 12,500円 
 
公式HP: https://horipro-stage.jp/stage/fbconan2024/
公式X: @fbconanstage
公式Instagram: @fbconanstage
  • イープラス
  • 加藤清史郎
  • 加藤清史郎「コナンの生き方にはすでに僕も影響を受けています」 舞台『未来少年コナン』インタビュー