大竹しのぶが伝説の歌姫を魂で演じる舞台『ピアフ』、その製作発表をレポート!
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撮影:原地達浩
大竹しのぶの当たり役にして演劇史に残る名作『ピアフ』がいよいよ二月開幕
1月初旬、製作発表が行われた東京の某ホテルの会場には、耳馴染みのあるシャンソンを歌うピアフの声が流れている。そこに、拍手で迎えられて会場に現れたのは主演の大竹しのぶを筆頭に梅沢昌代、彩輝なお、伊礼彼方、川久保拓司という4人のメインキャスト。大竹と梅沢、彩輝は初演、再演に引き続き3度目の『ピアフ』だが、伊礼と川久保は今回が初参加ということもあって多少緊張している様子だ。
3年ぶり3度目、この新カンパニーによる『ピアフ』に向けて語った、各自のコメントは以下の通り。
大竹しのぶ 撮影:原地達浩
まずは波乱万丈の人生を生ききったピアフを演じる大竹は、「ピアフの歌に私自身も勇気づけられて生きてきたこともあり、この芝居を観てたくさんの人が生きる勇気や喜びを味わってもらえたらすごくうれしいです。ただ、すごくハードな芝居でもあるので、身体には気をつけてがんばらなくちゃいけないなとも思っています。体力には自信あるんですが、前回から3年たっているわけですしね(笑)。それに今回は新しいメンバーの方も加わりますし、より細やかなところまで表現していきたい。2回目、3回目観る人に「前より良かった」「もう一度観られて良かった」と思っていただきたいので、ピアフと同じように私も全身全霊を込めてみなさんと一緒にお芝居を作っていきたいと思います」と力強く宣言。
また「ピアフを演じている約3時間の間は私もピアフとして生きるわけです。「あたしが歌うときは、あたしを出すんだ。全部まるごと」とセリフでも言っているように、彼女は本当にすべてを賭けて生きているんですよね。私自身もこの芝居をやるたびにピアフに会えるという感覚がありますし、私自身の人生にとっても最も大きな出会いになったなという感じがしています」と、ピアフの歌や人生を演じるにあたっての特別な思いを語った。
梅沢昌代 撮影:原地達浩
ピアフの生涯の友人・トワーヌ役の梅沢は、「ピアフとトワーヌは貧しかった少女時代を一緒に過ごし、戦時下を必死に生き抜いた親友であり、戦友でもあると思います。今、本当に戦争を身近に感じられる時代になってしまいました。そういうことも踏まえて、また新たな『ピアフ』を作り上げたいと思います」とにっこり。
そして「戯曲に関して思うことは、亡くなる時に人というのは走馬燈のようにいろいろなことがパラパラ~っと目に浮かぶと言いますが。この戯曲は本当に展開が早いのでまさにそんな感じで、やっていてもいろいろなことを考えながらそのまま役の人生を生きられるみたいな感覚になるんです。ぜひ、観ているお客さまも自分の人生を投影しながら観ていただけたらと思います。ただし気を抜くとしたらドッと気持ちが下がってしまう舞台だとも思うので、私の場合は年齢的にも体力がもつのかな?と少々心配です(笑)。そのくらい厳しい芝居だとは思うので気をつけつつ、みなさまに喜んでいただけるようがんばりたいと思います」と意気込んだ。
彩輝なお 撮影:原地達浩
ピアフの親友でもあったマレーネ・ディートリッヒ役の彩輝は、「これまでも毎回間近で大竹さんの迫力あるお芝居に刺激を受けつつ、緊張感を持って演じてきました。私が演じさせていただくマレーネは激動の時代を強く、愛を持って生きた女性だと思います。親友であるピアフを大きく受け止められるような、そんな雰囲気がにじみ出るようなマレーネ・ディートリッヒになるように、また奮闘したいと思います」とコメント。また、実はこの日がちょうど彩輝の誕生日だったそうで、この会見直前にサプライズで出演者たちからプレゼントをもらったことが司会者から明かされると「おかげで一気にテンションが上がりました! ありがとうございました!!」と、晴れやかな笑顔を見せていた。
伊礼彼方 撮影:原地達浩
ピアフが見出した歌手で恋人でもあったシャルル・アズナブール役の伊礼は、「このカンパニーは初共演の方ばかりで、僕が唯一知っているのは碓井将大くんだけなんですが、彼から「大竹さんはマジ、ヤバイよ! スゴイよ!! 」と聞かされているので、既に今から緊張しています。そんな大竹さん始め、先輩方のみなさんと一緒にやらせていただけるのは身に余る光栄でございます。僕としては、もうとにかくみなさんについていくだけなので、よろしくお願いいたします」と粛々と挨拶。
川久保拓司 撮影:原地達浩
そしてピアフのマネージャーであるルイ・バリエ役の川久保は、「初演を拝見させていただいた時には、ものすごく衝撃を受けました。あの世界の一員に自分がなれるのかと思うとドキドキが止まりません。ピアフを演じる“しのぴー”、いや大竹さんと、彩輝さん、そして今回初共演させていただく梅沢さんと同い年の伊礼くんとご一緒できると思うと、今からとてもワクワクします。僕も、あの世界にうまく溶け込んで、何かを残せるように精一杯がんばりたいと思います」と爽やかに語った。
続いて行われた質疑応答では、初演時から語られていた「中村勘三郎が20歳くらいの時に、ピアフの評伝本を大竹に貸した」というエピソードが、実はその前にたまたま泉ピン子がピアフの本を勘三郎に貸していて、どうやらそれを大竹に又貸ししたらしいという新事実が昨年末に発覚したという話を大竹が告白。また初参加の伊礼と川久保が巷で噂されている“大竹しのぶ”伝説(「大竹さんはヤバイ、セリフが完璧すぎる」等)を語ると、大竹自ら「全然怖くなんかないのに! にらまれたら石になるとか、嫌われたらセリフを減らされるとか、ないのに!!」と半ば自虐的に言い出したため、会場内は爆笑に包まれた。こうした温かな関係性が感じられる彼らのやりとりからは、大竹が会見中に何度か口にしていた言葉でもある“チームワーク”がまさに感じられ、この新カンパニーが綴る新たな『ピアフ』にますます期待が高まった。確実に演劇史に輝く名舞台となるであろう本作、ぜひとも大竹の魂が込められた迫力ある生の歌声を劇場で体感してほしい。
■日時:2016年2月7日(日)~3月13日(日)
<e+貸切>2月27日(土)13:00公演/3月8日(火)14:00公演
■会場:シアタークリエ
■作:パム・ジェムス
■演出:栗山民也
■出演:大竹しのぶ、梅沢昌代、彩輝なお、伊礼彼方、碓井将大、川久保拓司、大田翔、津田英佑、横田栄司、辻萬長、池谷祐子
■公式サイト:http://www.tohostage.com/piaf/