THE BONEZ、バンド史上最大規模の単独アリーナ公演のオフィシャルレポート到着

レポート
音楽
2024.5.17
『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Yoshifumi Shimizu

『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Yoshifumi Shimizu

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The BONEZが結成10周年を迎え、バンド史上最大規模の単独アリーナ公演『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』を4月6日に幕張メッセイベントホールで開催。ちなみにツアー名は、彼らの代名詞と言える曲「SUNTOWN」から付けられている。自由にフィジカルを動かしたいモッシュ&ダイバー、一方でじっくり観たい人や親子で楽しみたい人もいて、いろんな楽しみ方をみんなでシェアできる場所=“SUNTOWN”として選ばれたのが今回の幕張メッセなのだ。

2023年5月12日の恵比寿リキッドルーム公演を皮切りに、47都道府県50カ所に渡るツアーを走り抜けた彼ら。開演時刻18時を20分ほど回った頃、スクリーンに2014年からのライヴ映像が年ごとに流れ、「2024」の数字が浮かび上がった後、ZAX(Dr)、KOKI(G)、T$UYO$HI(B)、JESSE(Vo/G)と順番に紹介され、メンバー4人が舞台に立つと、「It’s time to let go」でショウはスタート。ド頭から「行くぞー!」とJESSEは雄叫びを上げ、観客を豪快に牽引していく。

『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Taka"nekoze photo"

『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Taka"nekoze photo"

「始まっちゃったけど、準備できてるのか?」と呼びかけ、次は「You and I」をプレイ。前のめりの演奏とリンクするように、スクリーンにはスケボーの映像が流れていた。「パーティーしに来た奴どんだけいるんだ? 踊ろうぜ!」と煽ると、次は「GIMCRACK」へ。エッジ漲るリフと骨太のリズムが特大のグルーヴを生み出し、早くも幕張メッセをThe BONEZカラーに染め上げる。

「俺らがこの日をどんだけ待ったか・・・一つのバンドが夢を叶える瞬間を観てください!」とJESSEは語りかけ、「Numb」では観客も両手を上げて大騒ぎ。その熱気を「Louder」がより一層膨らましていった。気づけば、アリーナはモッシュ&ダイバーで溢れ返っているではないか。「Adam & Eve」においてはJESSE自らアリーナに突入して「エブリバディ、セイ!」と内側から焚きつけ、濃密なコール&レスポンスを繰り広げる有様だ。そして、The BONEZ“songs medley”(「Rude Boy」〜「Moves」〜「Breath」〜「Revolution」〜「Rude Boy」)に移り、熱狂の渦を高めた後、少し長めのMCタイムへ。

『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Yoshifumi Shimizu

『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Yoshifumi Shimizu

「ようこそ”SUNTOWN”の住民の皆様、ほんといろんなところから来てくれていると思うし、感謝しかない。このバンドは一人の死から始まって、決して楽しい始まりじゃなかった」とJESSEはバンドの成り立ちに触れ、Pay Money To My PainのK(Vo)やRIZEの名前も出し、再びKについて言及する。「人の死は9.9割、悲しさしかないけど、Kに限っては0.1パーセントだけ、悲しみ以外のものがあっていいことがあって・・・それはこのバンドが生まれたってこと。を証明するために走ってきて全部がただマイナスじゃないって事を証明するために今日ここまで走って来ました。来れたので嬉しいっす。大逆転を最後まで見せるから!」と告げ、Kのことを綴った「Sun Forever」を披露。まるで幕張メッセで鳴らすことを想定したような、雄大なスケールを誇る曲調に感情移入せずにはいられなかった。それから「Remember」、「Friends」、「For You」と畳み掛け、「LIFE」をプレイ。エレクトロ色の強いダンサブルな曲調はライヴでも格段の映えっぷりであった。

『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Yoshifumi Shimizu

『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Yoshifumi Shimizu

「1曲目で出てきたときから感動が止まんなくて。The BONEZの10年間、俺のほかに2人のギタリストがいます、ZUZUくんとNAKAさん。縁あって、3人目のギタリストとして弾かせてもらってます。47都道府県回って、マジで腹括りました。10周年の節目だけど、今日が始まりなんで、どこまでもよろしくお願いします!」(KOKI)
「ほんまありがとう!それしかないわ。KOKI、JESSE、つよぽん(T$UYO$HI)、大好きです!」(ZAX)
「ぶっちゃけ緊張もなく、ただのライヴじゃんと思っていたけど。260人のスタッフが集まって、ステージを組んでくれて、そしたらスイッチが入っちゃって。19歳の頃にステージを組むバイトをして・・・いつか自分のステージでここに立ってやると思った。めちゃくちゃ幸せです」(T$UYO$HI)
「これが俺らです。単純にバンドマンの生きざま見せるんで!」(JESSE)

『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Yoshifumi Shimizu

『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Yoshifumi Shimizu

4者4様のMCを挟み、後半に向けてギアを上げていく。「We are The BONEZ」ではアリーナ、スタンド共に観客がジャンプする壮観な景色を見せ、「Love Song」、「Rusted Car」と続き、「New Original」ではT$UYO$HIのベースがうねりを上げる中、「真ん中、開けろー!」とJESSEは叫び、アリーナ最前に身を乗り出してウォール・オブ・デスを誘発する。その後、「47都道府県で作ったルールがある」とJESSEが切り出し、「ごめんと謝る気持ちとありがとうという気持ちを言える男の子、女の子がかっこいいと思ってます。モッシュ&ダイヴが好きな人/苦手な人を共存させないと、日本のライヴハウス・シーンが終わっちゃう。自由の国・ライヴハウスへようこそ!」と告げ、「Leaf」を皮切りに「Place of Fire」、「Thread&Needle」とアンセム曲を投下し、幕張メッセに特大級の合唱を轟かせた。それからJESSEはTOOLのTシャツを脱ぎ捨て上半身裸になると、本編ラストに「SUNTOWN」をプレイ。紙吹雪が舞う中、至福のパーティー空間を作り上げ、メンバー4人はステージ袖に消えていった。

『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Yoshifumi Shimizu

『10th Anniversary Tour 47 AREAS Grand Finale “SUNTOWN”』Photo by Yoshifumi Shimizu

アンコールではスクリーンに海外進出を匂わせるようなロンドン、ベルリンなど国名が映し出され、「重大発表」という文字の後に「特にありません(笑)」とオチを付け、メンバー4人がぞろぞろと登場。「ああいうのやってみたかった(笑)」と告げるJESSEの表情は、まるで少年のようだった。また、「47都道府県回って、The BONEZは強くなりました。太い幹になりました」とZAXが言った後、「1万人のライヴより、千人のライヴを10回やりたい」とT$UYO$HIによるバンドマンらしい発言も飛び出す。それを経て、ラスト・スパートはBONER(ファンの総称)に対する感謝の気持ちを乗せて「That Song」、「Zenith」、「Hey,You」と3曲プレイ。耳をつんざく爆音サウンドで駆け抜け、グラインド・ファイナルは盛大に幕を閉じた。アンコールを含めて全23曲、約2時間40分に及ぶショウをやり遂げた彼ら。ステージ上ではメンバー4人が肩を組み、キラキラした笑顔でお辞儀する場面も忘れられない。その清々しい表情からは、ここから再び豪放に走り抜けるThe BONEZの姿が透けて見えてきた。これほど汗臭くて、誰もが笑顔になれて、最高に幸せな気持ちになれる”SUNTOWN”。心の底からまた観たい!と思わせる楽園が、ここには確かにあった。


文=荒金良介

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