染谷俊之×愛加あゆ、互いの役の印象は「かわいい」? TRUMPシリーズ最新作『マリオネットホテル』を語る
「TRUMPシリーズ」の最新作 『マリオネットホテル』が2024年9月から10月にかけて東京、大阪で上演される。
TRUMPシリーズは劇作家・末満健一がライフワークに掲げ、舞台を中心にアニメ、漫画、小説など展開するシリーズ。初演から15周年を迎えた今年上演される『マリオネットホテル』は、2017 年上演の人気作『グランギニョル』の前日譚になるという。
今回、『グランギニョル』ぶりの共演となる染谷俊之と愛加あゆに話を聞いた。
お互いの役の印象は「かわいい」
――染谷さんは『グランギニョル』(2017年)、『COCOON星ひとつ』(2019年)ぶり、愛加さんは『グランギニョル』、『マリーゴールド』(2018年)、『ヴェラキッカ』(2022年)ぶりのTRUMPシリーズ出演となりますが、今はどんな気持ちでいらっしゃいますか?
染谷 また「TRUMPシリーズ」に関われるんだと思うとうれしかったです。これまで出演した作品も、毎回お客様が楽しんでくださいますし、すごい爪痕を残されて劇場を出るような、心に残る作品ばかりだったので。再び同じ役を演じさせていただくこともとても嬉しいです。
愛加 『マリオネットホテル』は、思えば何年も前にTwitter(現:X)で末満(健一)さんが「マリオットホテルをマリオネットホテルと読み間違えて、アイデアが浮かんだ」というようなことを書かれていたと思うんですよ。(▶「TRUMPシリーズ構想作の消化もままならないのに新作のアイデアを思いつく。『マリオネットホテル』という従業員や宿泊客が全員イニシアチブで操られている謎のホテルが舞台のミステリー。これはマリオットホテルをマリオネットホテルと読み間違えた弾みで思いついた。どこから湧いてくるかわからんね。」2020年7月23日のポスト)
染谷 へえ! すごい。
愛加 その後、「TRUMPシリーズ」の公演パンフレットに収録された「年表」にも『マリオネットホテル』の項目が加わっていました。それを見て、「いずれやるのかな」と思っていたので、今回「あの時の末満さんのひらめきがここに繋がったんだ」と思いました。それが実現できることはすごく不思議だしうれしいです。
――台本を読んでいかがでしたか?
染谷 「TRUMPシリーズ」では珍しいなと思いました。もちろん世界観や設定はしっかり「TRUMPシリーズ」なんですけど、内容的にはいい意味で“ぽさ”がない。以前出演した『グランギニョル』や『COCOON 星ひとつ』とはまた違う、同じ場所でいろんなことが起こる、ミステリーサスペンスっていうんですかね、そういう内容になっていて。こういうのもいいじゃん!と思いました。きっと楽しんでもらえるんじゃないかと思います。
愛加 『ヴェラキッカ』の時にも末満さんは「「TRUMPシリーズ」のイメージを逆に裏切りたい」というようなこともおっしゃっていたのですが、きっと毎回“型”のない新たな何かをつくられているんだろうなと思いました。「TRUMPシリーズ」だけど今までとはまた違うし、最近の「TRUMPシリーズ」ではミュージカルが続いた中で今回は会話劇。殺陣もあるので、また新たな気持ちで臨みたいです。
――染谷さんはダリ・デリコ役が3度目となりますが、今作のダリはどんな印象でしたか?
染谷 冒頭の一言からもう「はい、ダリ来ました」みたいな感じ、ありましたよね(笑)。そうやって「ダリっぽいな」と思う反面、「ダリにこういう一面があったんだ」という新しい発見もできておもしろかったです。
――新しく見たのはどんな姿でしょうか?
染谷 かわいいとこあるじゃん、みたいな(笑)。他にも、あるキャラクターに対してこういう思いがあったんだなとかも知ったりして。そういうのはすごく楽しいですね。
――愛加さんは今回演じるジョー・ヴェラキッカについては、どのような思いですか?
愛加 フリーダ・デリコ役だと思っていたので台本を読んで驚きました。楽しみでもありつつ色々考えて模索しています。
染谷 この作品のジョー・ヴェラキッカはめちゃくちゃかわいいよね。
――かわいかったですか。
染谷 すごくかわいいなと思いました。
――逆に『グランギニョル』でダリの妻・フリーダを演じた愛加さん視点で、『マリオネットホテル』のダリはどんな印象でしたか?
愛加 それはもうかわいい(笑)。
一緒に『グランギニョル』の前日譚の世界に戻れることがうれしい
――おふたりの共演は『グランギニョル』ぶり2度目だそうですね。既に息も合っている印象です。
愛加 同い年なんですよ。
染谷 そうなんです。
――お互い、どんな印象ですか?
愛加 染ちゃん(染谷)はですね、この通り美しくてかっこよくて。
染谷 ありがとうございます。
愛加 だけどおもしろい。お会いする度にまず「おもしろい人だな」という感想を抱きます。でもまだ隙を見たことがないので、今回の現場で染ちゃんの隙を発見していきたいです。
染谷 俺いま隙だらけだよ、口内炎が3つもあるから。
愛加 (笑)。もう見てしまった。
――隙がないと感じたのは、舞台でですか?
愛加 もちろん舞台に立たれている姿もですし、稽古場の居方もそうです。あと、稽古場でも髪型がいつもきれいなんですよ。
染谷 ははは! みんなもちゃんとしてるでしょう?(笑)
愛加 でもいつも完璧なんです。
――朝のルーティンとかあるんですか?
染谷 ないですよ(笑)。
――染谷さんから見た愛加さんはどんな印象ですか?
染谷 愛加さんは宝塚歌劇団出身なので、お会いする前は凛として美しい方だなと……今もそうですけど。
愛加 (笑)
染谷 でもだから仲良くなれるかなって心配もしてたんです。だけどいざ接してみたらすごく親しみやすくてうれしかったです。そして関わっていくうちに、「あ、この人ちょっと天然だわ」と気付いて。そういう一面はたまらなく愛おしいです(笑)。
――おふたりが揃ってTRUMPシリーズに登場するのは、楽しみにしている方も多いのではないかと思います。
愛加 これは個人的な話なんですけど、『グランギニョル』は「TRUMPシリーズ」で初めて参加した作品なので、自分の中で一番印象が強いし原点みたいになっているんです。だからこうやってまた染ちゃんと一緒に、しかも『グランギニョル』の前日譚の世界に戻れるということを本当にうれしく思っています。
染谷 こちらこそです。ダリとジョー・ヴェラキッカがどんな出会い方をして、どんなふうに展開していくかも楽しみですし、それを演じる愛加さんも楽しみ。今や「TRUMPシリーズ」でいえば先輩ですからね。
愛加 そんな(笑)。
染谷 「TRUMPシリーズ」ってやっぱり練度みたいなものがあるんですよ。たくさん出ている人ほど「あ、はいはいはい」ってわかる部分がある。そこはかなり先輩なので、頼りにしています。