日韓合同公演『焼肉ドラゴン』の上演が25年に決定 金 時生役のオーディションも開催

2024.8.26
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2011年上演『焼肉ドラゴン』         撮影:谷古宇正彦

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2025年に日韓国交正常化60周年を迎えることを記念し、10月より日韓合同公演『焼肉ドラゴン』を新国立劇場 小劇場ほかにて上演されることが決定した。

『焼肉ドラゴン』は、2008年に芸術の殿堂(ソウル・アート・センター)とのコラボレーション企画として、鄭 義信が新国立劇場に書き下ろし、制作された。万博に沸く1970年前後の関西の地方都市に暮らす在日コリアン一家と、彼らが営む焼肉屋に集う人々を生き生きと描いた本作は、初日が開けるとあっという間に評判が口コミで広がり、東京・ソウル公演では、毎回スタンディング・オベーションとなる熱狂的な支持を受け、この年の演劇賞を多数受賞。また2018年には鄭 義信が自らメガホンをとり、映画化もされた。日韓の過去、現在、未来を、音楽入り芝居でおかしく、そして哀しく切なく描いたこの物語が、2008年、2011年、2016年に続き、2025年に四度目の上演を果たす。

そして今回の上演にあたり、焼肉屋を営む金家の一人息子「金 時生」役の公募オーディションが行われる。作・演出の鄭 義信より応募者に向けてコメントが届いたので紹介する。

作・演出 鄭 義信 コメント

鄭義信

『焼肉ドラゴン』時生オーディションを受けようと思っている君へ

僕は正直言えば、オーディションが嫌いだ。君も、たった数分の面接や、短い台詞の読み合わせで、「おれのなにがわかるんだよぉ!」と、憤懣の声をあげたくなるだろう。
たしかに、慌ただしい遭遇では、君の得意とすることはなんなのか、君の美点はどこにあるのか、わかるはずもない。
今回のオーディションも、君の要望に応えられるものでないだろう。でも、僕が求めているのは、輝くような才能でもなく、飛びぬけた演技力でもない。『焼肉ドラゴン』という物語の中、家族の浮沈みを静かに見守る、時生という魂がほしいのだ。上手い、下手ではない、この在日コリアンの家族と寄りそい、ともに笑い、ともに涙する魂がほしいのだ。
僕がオーディションが嫌いな最大の理由は、たった一人を選ぶために、君たちの大勢をふるい落とさなければならないことだ。残酷で、とてもつらい作業である。けれど、君かもしれない、他の誰かかもしれない時生と出会うために、僕は今回、真摯に立ちあおうと思っている。
まだ見ぬ時生君、僕に会いに来てください。僕に君の思いを伝えに来てください。

【ものがたり】
万国博覧会が催された 1970(昭和45)年、関西地方都市。高度経済成長に浮かれる時代の片隅で、焼肉屋「焼肉ドラゴン」の赤提灯が今夜も灯る。
店主・金 龍吉は、太平洋戦争で左腕を失ったが、それを苦にするふうでもなく淡々と生きている。
家族は、先妻との間にもうけた二人の娘、静花と梨花、後妻・英順とその連れ子・美花、そして、英順との間に授かった一人息子の時生…ちょっとちぐはぐな家族と、滑稽な客たちで、今夜も「焼肉ドラゴン」は賑々しい。ささいなことで泣いたり、いがみあったり、笑いあったり…。
そんな中、「焼肉ドラゴン」にも、しだいに時代の波が押し寄せてくる。

 

公演情報

2025年10月公演 『焼肉ドラゴン』 

【日程】2025年10 月~12月 東京公演~最大 12月28日までの全国公演の可能性あり
【会場】新国立劇場 小劇場 ほか
【作・演出】鄭 義信 【芸術監督】小川絵梨子 【主催】新国立劇場 

オーディション概要

2025年10月公演 『焼肉ドラゴン』オーディション
 
 
【募集内容】 男性役1名
●金 時生(きん・ときお)
15歳。在日コリアン二世。異母姉二人と異父姉一人がいる四人姉弟の末っ子であり、金家の長男として可愛がられている。いい教育を受けさせたいという父親の方針で私立の中学校に通っているが、いじめにあい、失語症となり、学校もさぼりがちな状態である。

 
【応募期間】2024年9月2日(月)12:00~11日(水)23:59 まで   ※オンライン受付のみ
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