『MINAMI WHEEL 2024』をFM802 DJハタノユウスケが振り返るーーCLAN QUEENやTRACK15、学生オーディションで勝ち抜いた幻想痛らがミナミに集結【初日編】

インタビュー
音楽
19:30
FM802 DJハタノユウスケ

FM802 DJハタノユウスケ

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『Eggs presents FM802 35th Anniversary “Be FUNKY!!” MINAMI WHEEL 2024』2024.10.12(SAT)大阪ミナミエリア一帯ライブハウス

大阪のラジオ局・FM802が毎年10月におくる、日本最大級のライブショーケースフェスティバル『MINAMI WHEEL 2024(以下、ミナホ)』が、今年も10月12日(土)・13日(日)・14日(月・祝)の3日間で行われ、総勢450組以上のアーティストが大阪ミナミに集結した。今年はFM802開局35周年で、『ミナホ』は26回目の開催。スタンプラリーや、パスを見せるとお得な特典が受けられる「PASS得WHEEL」など、街全体がお祭り状態になる特別な3日間だ。今年は初の学生オーディションで出演権を獲得したアーティストが出演する「MINAMI WHEEL 2024 -New Age-」という、新たな試みも行われた。まずは初日をFM802 DJのハタノユウスケが振り返り。担当番組『RADIO∞INFINITY(毎週木曜24:00〜27:00)』にゆかりのあるアーティストや、出演してほしいアーティストを中心に細かく回ったという彼の動きとともに、ライブの感想を語ってもらった。

ハタノの『ミナホ』は朝10:30、日本財団「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」プロジェクトの一環で行われた「ミナホdeごみ拾い」からスタートした。参加者の中には、VARONのトッパーに出演したマックジャックの姿も。11:30までごみを拾い、ミナミの街をクリーンにした後は、BIGSTEP前で4ピースロックバンド・からあげ弁当のメンバーとともに、焼きそば(Vo.Gt)の「魂」タトゥーステッカーを12:00まで配布。ハタノはライブ以外にもMCに挨拶にトゥクホイールでの宣伝(13日・14日のみ)にと、主にミドルエリアを飛び回っていた。

【13:00】ちたへんりー(Pangea)、カニバル(AtlantiQs)、mogari(BRONZE)

そんな彼のライブ始めは、Pangeaに出演した兵庫県在住のシンガーソングライター・ちたへんりー。ハタノはデビュー間もない頃からライブに足を運んでいたそうで「当時は弾き語りで、お客さんと対話する感じでやってたけど今回はバンドセット。1曲目から2〜3曲目まで全部アッパーな曲で「『MINAMI WHEEL』ここから始めるぞ!」みたいなMCもあって、1組目に選んで正解だったなと思えるぐらい、めっちゃテンションアガりながら次のステージに行きました」と笑顔を見せた。

なるべく多くのライブを観たいと、この時間帯だけで3会場をハシゴしたハタノ。急ぎ足で向かったのはAtlantiQs。お目当ては5人組バンド・カニバルだ。実はカニバルの成り立ちには『ミナホ』が大きく関わっている。柿内六甲(Gt.Vo)が昨年の『ミナホ』にお客さんとして訪れた際、606号室のゆうあ(Ba)と偶然話して仲良くなり「バンドやってみたら?」と勧められてカニバルが結成された。「1年前の『ミナホ』で結成して、1年後の『ミナホ』に出るというストーリーがあったので、絶対に見たいなと思って。行動力もすごいし、たった1年で出るのがさすがだなと思います」と語る。柿内はChevonのMVをはじめとする映像ディレクションも手がけるマルチクリエイター。「しかも関西のベテランアナウンサー・桑原征平さんのお孫さんです。ストーリーのあるライブは普段の何倍も輝かせてくれると思うけど、MCでも『ミナホ』への想いが溢れていて、すごく良かったですね」と回顧した。

続いては、802wannabesの学生に「絶対見てほしい」とオススメされたという、大阪発 4 人組バンド・mogari。「思った以上に熱い想いを内に秘めているステージでした。BRONZEという場所も想いを吐き出すのにすごく良い場所だったなと思います」と、熱きギターロックに胸を焦がした様子だった。

【14:00】yutori(BIGCAT)、おとなりにぎんが計画(DROP)、the paddles(SUNHALL)

yutori

yutori

小休憩を挟んだ後は『ミナホ』でも1番大きなBIGCATへ。「yutoriは去年SUNHALLで見ていたので、今回BIGCATに立ってすごく嬉しかったです。『ミナホ』直前の番組にも出ていただいたり「#ミナホ私ならこう回る」企画も一緒にやってもらったので、絶対外せないなと思って見に行きました。始まる前から人がいっぱいいて、yutoriを良いと思って集まってくれてる人が、こんなにいるんだなとわかりましたね」としみじみ。

数曲を見守り、名古屋の4ピースバンド・おとなりにぎんが計画を観にDROPへ。「新曲が聴きたいなと思って行ったら、ちょうど新曲の時に入れて。ボーカルの初音さんは本好きで言葉の端々にセンスを感じますし、4人集まった時のゆったり時間が流れるような雰囲気がいいですよね」。存分に世界観を堪能した模様だった。

the paddles

the paddles

the paddlesの柄須賀皇司(Vo.Gt)は4月にハタノの代打DJをつとめ上げたことがキッカケで、番組内のコーナー「ネヤドラ BLUEBERRY GUYS」にも繋がるなど、ハタノが「寝屋川のお兄ちゃん」と慕っているというthe paddles。「もう絶対見に行かないと」という存在。「SUNHALLの後ろまで人がいてめっちゃ嬉しかったです。「カーネーション」という曲で、ステージ上からその日思いついた人に声をかけるんですけど、この日は僕でした。「ハタノくん」と声をかけられて、ステージに出たりはしないですけど、舞台袖まで走っていきました(笑)。the paddlesは盛り上がってないところを見たことがないですね。すごいです」と絶賛していた。

【15:00】TRACK15(BIGCAT)、35.7(SUNHALL)

TRACK15

TRACK15

続いても、非常に関わりの深いバンドの元へ。「ポップスの解釈が広くて、歌詞に地元大阪のバンドならではの固有名詞が入っていて共感できる。めっちゃ推してます!」と太鼓判を押すのは、BIGCATの3番手に登場した、高槻出身の4人組ロックバンド・TRACK15だ。実はメンバーの高橋凜(Ba.Cho)がハタノの高校の同級生。「軽音楽部でコピーバンドをしてた時から知っていて、京都MOJOでのTRACK15の初ライブもノルマで友達を連れて観に行ったら、まさかこうしてBIGCATに立つとは。これまで3回出た『ミナホ』は全て追っているし、今年「FM802 DJ」と「『ミナホ』のBIGCATに立つミュージシャン」として観れたのは、すごく感慨深いですね。『レディクレ』でも観たいな」と嬉しそうに顔をほころばせていた。

盟友の活躍をしかと目撃し、移動したのはSUNHALL。東京の4ピースバンド・35.7は最初にハタノが802で担当した番組『LNEM』でも曲をかけたり、ゲストに迎えたりと交流があったそう。「ボーカルのたかはし ゆうさん(Gt.Vo)は歌に感情を込めるのが上手くて、SUNHALLの後ろまで巻き込んでいました。下北のバンドの風を感じましたね。あとドラムのこなくんがめっちゃふざける子なんですよ。でもライブではすごく真剣で。彼は現役音大生で、音楽理論的なセンスを持って楽曲にも携わっていて、メンバーが作った曲を良い形で型にハメていく。すごく重要なピースなので、カッコ良くてちょっと嫉妬しますよね。年下やけどめちゃくちゃ尊敬します。好きなバンドです」と素直な想いを語っていた。

【16:00】幻想痛(BEYOND)

そして今年から新たな試みとして始まった「MINAMI WHEEL 2024 -New Age-」。関西の学生限定でオーディションを行い、100組の応募の中から音源審査を経て、6月の実演審査と、8月にBIGCATで行われた最終審査を勝ち抜いた3組が『ミナホ』出演権を獲得した。ハタノは一次審査からMCとして関わっていたため、彼らの歩みを間近で見ていたことになる。初日のNew Age枠のBEYONDに出演したのは、西宮発の4ピースバンド・幻想痛。

幻想痛

幻想痛

「一次審査から光るものを感じてて。幻想痛というワードも造語で、自分たちの世界観を表現するのに長けたバンドだと思います。New Ageの初日1組目でプレッシャーもあったと思うけど、自分の表現したいものを表現することに専念して、全然緊張も感じなかった。予選からこの日に至るまでに新曲を書き下ろしてきたり、気合いと歩みを感じることができました。すごく良いステージでしたね」と絶賛。『ミナホ』当日にはサポートメンバーのユキノ(Ba)と小谷和矢(Gt)が新規メンバーになるとの発表もあり、「メンバーにとっても大事なライブになったと思います。来年も『ミナホ』に戻ってきて、もう1つ大きいステージに立ってほしいですね」と期待を滲ませた。

【17:00】すりぃ(BIGCAT)

すりぃ

すりぃ

続いてはBIGCATで、すりぃをがっつり堪能。ボカロPがルーツにあるというハタノは「すりぃさんが大好きで、ライブも毎回行かせてもらっています。すりぃさんがサーキットイベントに出るのも『ミナホ』ならでは。CLAN QUEENやカニバルのメンバーも見に来ていて、『ミナホ』に現役で出ているバンドがボカロネイティブ世代で影響を受けていること、まさにその第一線で走ってる人を『ミナホ』で見れることの嬉しさを感じていました。僕も「すりぃさんや! 本物や」みたいな、ちょっと違う目線で見てましたね」と学生時代に戻ったようだった。

【18:00】komsume(BEYOND)、チョーキューメイ(SUNHALL)

18時台は、神戸の3ピースバンド・komsumeを観にBEYONDへと駆け込んだ。「思ったより衝動的でしたね。『RADIO∞INFINITY』にリクエストが来て聴いたんですけど、今回初めてライブを観れて良かったです」と感想を口にした。

さらに、9月におすず(Ba)が加入して新体制となったチョーキューメイの元へ。「後ろの方までパンパンで「人気だな」と思いました。おすずさんの加入によって、良い意味で彼らの「絵本に出てきそうなバンド感」を新生チョーキューメイが加速させてる気がしました」と印象を更新した。

【19:00】CLAN QUEEN(BIGCAT)

CLAN QUEEN

CLAN QUEEN

ハタノの初日の『ミナホ』締め括りは、初出場でBIGCATに立った3人組クリエイティブユニット・CLAN QUEEN。「僕の大学のゼミの先輩が好きで、聴いてみて良いなと思って番組で曲をかけたら802が初OAだったらしく、メンバーが反応してくれて。2回ゲストに出てくれました。この日はすごく期待されていたと思いますし、それを上回っていくライブでした。11月11日(月)の『GLICO LIVE“NEXT”SPECIAL』も楽しみです」と充実感と期待感を露わにした。

ハタノはFM802 DJになって約2年半。徐々に『ミナホ』との関わりも深くなっていると話す。「1年目はMCもさせてもらいながら、自分の見たいところを回る『ミナホ』だったけど、今年は『ミナホ』公式TikTokや「#ミナホ私ならこう回る」などの企画にも携わらせてもらって、802の人間として1個深く関われたと思います。アーティストとの繋がりも目に見えて出来てきた。『ミナホ』は僕にとって同窓会みたい。アーティストの成長も見れますし、1年に1回現在地を確認できる場所というか。「サーキットライブイベント」ではなく「ショーケース」と言う由縁があると思います。そしてラジオやアメリカ村という文化や土地とも繋がっている。ただのサーキットじゃないところが好きですね」と想いを語り、「今年は「-New Age-」が印象的でしたし、ネヤガワドライビングスクールの「ミナホライナー」が走っていたり、毎年少しずつ顔を変えて、同じようで全く違う景色を見せてくれた初日でしたね」と総括した。

取材・文=久保田瑛理 写真=FM802提供

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