クロノヴァ、初ワンマンを満員御礼で完遂 KT Zepp Yokohama公演をレポート

レポート
音楽
2025.1.6
Chrono▷◀Reverse 1st One Man Live『Momentum』

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Chrono▷◀Reverse 1st One Man Live『Momentum』
2024.12.28 KT Zepp Yokohama

いれいすを擁する2.5次元アイドルグループ事務所・VOISINGが2023年に主催した歌い手オーディション『VOISING THE NEXT PLAYERS』。このオーディションを勝ち進めば、VOISINGの代表にして、いれいすのリーダーでもあるないこのプロデュースのもと、その先にはデビューが控える。当然審査は熾烈さを極めたが、ここをくぐり抜けた6人がクロノヴァとして2024年3月16日に1stシングル「Antitype」でデビューを果たした。メンバーはかなめ、甘夢れむ、しゃるろ、ARKHE(アルケー)、しの、うるみやで、いずれも強烈にして異なるキャラクターを持つ。そして、クロノヴァの面白いところは白組(=かなめ、甘夢れむ、しゃるろ)、黒組(=ARKHE、しの、うるみや)の2グループに分かれていること。これは決して分断ではなく、より化学変化を生みやすい形態であることを意味している。配信でも6人はトークで個性を磨き合い、多くのリスナーの心を掴んでいるようだ。

そして去る12月11日には1stアルバム『Momentum-White-』『Momentum-Black-』(アルバムは白組&黒組の1タイプ)をリリースし、そのアルバムタイトルを掲げた初のワンマン公演『Chrono▷◀Reverse 1st One Man Live『Momentum』』が12月28日、KT Zepp Yokohamaにて実現した。アルバム曲をライブで歌唱するのが初となるこのライブは、1部・2部の2ステージ制だったが、いずれも満員御礼の大盛況! ここでは18時半スタートの2部の模様をお伝えしよう。

さすがにこの時間帯になると、日も暮れて非常に寒い……のだが、会場に集結したクロノメイト(彼らのファンの総称)たちの熱気に圧倒される。メンバーと初の生対面が実現するとなればテンションも上がろうというものだ。そんな期待感が充満する会場は、開演時間を迎え場内が暗転。ステージを覆う紗幕には宇宙空間を思わせる絵が浮かび、そこから地球がフォーカスされていったりと、壮大な映像が展開する。続いて各メンバーのキャラクタービジュアルが映し出されていく。クロノメイトたちの声援のボリュームが一気に上昇し、客席では推しのメンバーカラーが光るペンライトがカラフルに瞬く。ステージには演出上、紗幕がかけられているが、ステージにはリアルな6人の姿が浮かび上がった。ここでデビュー曲の「Antitype」へ。冒頭からエネルギッシュなパフォーマンスで、瞬く間に観客を引きつけていく。続く「6 Clock Wise Men」もドープなHIPHOPチューン。様々なフォーメーションを見せつけてくる6人は、衣装も白を貴重とした白組、黒を貴重とした黒組とで分かれている。それぞれの絡みでもバチバチ感が滲んでいて刺激的だ。2曲目が終わったところでMCへ。もちろん、トークでもそれぞれの個性が炸裂。

Chrono▷◀Reverse 1st One Man Live『Momentum』

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白組のリーダー、かなめはそつなく優等生的なキャラで安心感を漂わせ、甘夢れむはキュートネス全開の愛らしさをふりまき、しゃるろは優しいトーンの話しぶりで癒しの空気を醸し出した。一方の黒組は「闇の支配者、魔王ARKHEだ……」と、独自の世界観全開のARKHEに、黒組の中ではセンシティブな雰囲気を持つグループ最年少のしのが、末っ子らしく初々しさをアピール。そして、関西人ならではのエンターテイナーぶり発揮するのがうるみや。「みんな、よう見えてるよ! べっぴんさんを探さしてもらっていいですか?」と、客いじりにもそつがない。

さて、トークタイムのあとは再びライブパフォーマンスへ。白と黒の対決を彷彿とさせる「Order × Chaos」で緊張感のある世界を作り出したり、パーティーチューン「MEGA FUN!!」でハッピーな時間を演出したり。メンバーも自由に動いて会場をのせていく。「MEGA FUN!!」では観客からコールが起こる部分もあったが、すでにメンバーとクロノメイトの息はバッチリの様子。前半ブロックのシメとなる「CARPE DIEM」は、クロノヴァらしいヘヴィーなハードナンバー。テンションが上がるRAPパートもヒリヒリするカッコよさだ。アグレッシブな魅力を見せつけたあと、ライブはインターバルへ。このインターバルでは紗幕にAIキャラクター“Axel”が映し出される。“Axel”は「ライブシステムをアップデートします」と進行。クロノメイトたちのスキャンやペンライトのチェック……など、まるでアトラクションのような仕掛けでワクワク感を煽っていく。この没入感は新しい!

Chrono▷◀Reverse 1st One Man Live『Momentum』

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“Axel”のアップデート完了後、ここからはメンバーのソロコーナーに突入。それぞれの色を活かしたステージに期待が高まる。まずは白組リーダーのかなめから。場内のペンライトは一気にグリーンが点灯する。かなめはステージ中央に設置された椅子に座り、バラード曲「fake idea」を歌唱。甘い声でうっとりするように歌い上げ、クロノメイトを悩殺した。ソロ2番目は甘夢れむ。彼のイメージカラーであるピンクのペンライトが、彼が歌う「宵闇のMagic」を彩る。激甘の歌声がピッタリのポップチューンをかわいいダンスでしっかりアピール。フロアからは「かわいいよ~!」との声が飛んでいた。続いてはしゃるろ。「みんな楽しむ準備はできてる?」と優しく問いかけ、ペンライトをブルーに変えた。歌ったのは、広がりのある爽やかなロックナンバー「shine」。曲中にはアクロバティックなアクションも見せ、クロノメイトをシビレさせる。3人のソロが終わると、白組3名による「On Fire」へ。躍動感のあるダンスチューンで爽やかに白組ブロックを締めくくった。

ここで再び“Axel”が登場。ペンライトの動作確認や点灯チェックなどが行われ、来たる黒組のパフォーマンスに向けて空気を整える。黒組の一番手はもちろんリーダーのARKHE。赤いペンライトに迎えられ、「EX RANK」をワイルドに熱唱。自身も好きなHIPHOPチューンで激アツなRAPを披露し、攻めのステージを展開した。続いてはしの。もちろん、ペンライトは紫に染まっていく。そんな彼が歌う「Core」は、彼自身の想いを綴ったような楽曲だ。それだけに、聴く者に刺さるものがある。繊細なしののステージに続き、ガラッと空気を変えたのがうるみや。いきなり「オ~イェ~!」と声を荒げて登場すると、場内は瞬く間にオレンジのライトで埋め尽くされる。曲は「Destination」。疾走感のあるロックナンバーはまさにうるみやならではだ。この高い沸点の流れから黒組曲「Endsville」へ。ステージにはARKHE、しのがうるみやに加わり、ハードなビートで場内をヒートアップさせていった。

白黒合戦ブロックが終わると、本編は残すところあと1曲に。ここでアルバム『Momentum』と同名の「Momentum」が披露された。この曲では白黒関係なく、メンバーの6人が一丸となって歌をぶつけてくる。クロノヴァのメンバーパワーがより高まった時間帯となった。

Chrono▷◀Reverse 1st One Man Live『Momentum』

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アンコールでは本編の緊張感から開放されたのか、メンバーはリラックスした表情でタオルを手に「CHERRY SUMMER」で会場を鼓舞。もう何度もやってきたよね!と言わんばかりの一体感を出す。デビューから間もないクロノヴァだが、クロノメイトとの絆が着実に育っているのを感じさせた。このあとのMCでは、メンバーがそれぞれ今の思いを伝える場面も――。

ARKHEは「俺はずっとクリエイティブで世界を変えたかった」とアツさマックスで語り始める。さらには「お前らの人生に見たことがないものを刻んでみせる! 俺たちについてくるがいい……以上だ!」と、断言してみせた。彼の強気発言は、ハッタリとは思えない。むしろ、自分自身に語りかけているような決意も滲む(きっとメンバーにもクロノメイトにも伝わっているだろう)。

Chrono▷◀Reverse 1st One Man Live『Momentum』

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しゃるろは下積みが長く、いろんなことがうまくいかずに落ち込んだ時期を回想。さらには「喉の病気で歌えなくて」と、まさかの逆境を体験したと告白。しかし、メンバーやリスナーに支えられ、ステージに立てるまでになったという奇跡を起こした。それこそが逆境を乗り越えるというクロノヴァらしさの体現に他ならない。

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しのもまた、クロノヴァで活動することは「大きな決断だった」と振り返り、「今後悩むこともあると思うけど、この道が正しかったと証明してくれたのは君たちです!」と、クロノメイトへの信頼を語った。

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あざと可愛さがキャラの甘夢れむだが、実は自称“社畜”。メンバーの意見をまとめたりする業務を引き受けている。「社畜なのでお仕事は得意です。だからメンバーそれぞれのことをよく知っています。誰ひとり欠けちゃいけないメンバーです」と、6人の絆の強さを断言した。甘えん坊に見えて、実はしっかりメンバーを支えている姿が垣間見えた。

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うるみやは「1部ではうるみやになるまでの話をしたんで、2部はうるみやになってからの話をしようかな。あのね~、ライブまでの道のりが大変やってんな。苦手なんですよ……ダンスが」と、彼も衝撃告白。ダンスの先生にも助けられ、ライブパフォーマンスを迎えたという。「俺らが逆転させるんや!ってやってきた」……そう、彼もまた逆境をひっくり返したというわけだ。

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最後にかなめがMCを締める。「俺は本当にずっと刺激を求めて探してたの」と、クロノヴァ参加前を語り、「今日は感動できました! 俺はもっともっとメンバーとみんなと高みを目指したい! 今、人生の中で初めて夢中になって高みを目指したいと思った」と、自身に起きた化学反応を激白した。

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もはや、メンバー自身にもクロノメイトにも、クロノヴァは大切な居場所になっているに違いない。最後に彼らはクロノヴァの真髄を表現したようなバラード「BigBang」を披露して、初ワンマンを大成功に導いた。ただ、彼らはここで満足しているわけではなく、すでにさいたまスーパーアリーナでのワンマン公演が目標だと公言している。今はまだひとつの目標だとしても、初ワンマンのエネルギーと、白組黒組がお互いに切磋琢磨することで、その夢を大きく引き寄せることになりそうだ。今後の急速な成長とアップデートが予想できるクロノヴァ。逆境を跳ね返すその成長ぶりに期待したい。


文=海江敦士

セットリスト

Chrono▷◀Reverse 1st One Man Live『Momentum』
2024.12.28 KT Zepp Yokohama

01. Antitype
02. 6 Clock Wise Men
03. Order × Chaos
04. MEGA FUN!!
05. CARPE DIEM
06. fake idea(かなめソロ)
07. 宵闇のMagic(甘夢れむソロ)
08. shine(しゃるろソロ)
09. On Fire(白組曲)
10. EX RANK(ARKHEソロ)
11. Core(しのソロ)
12. Destination(うるみやソロ)
13. Endsville(黒組曲)
14. Momentum
[ENCORE]
15. CHERRY SUMMER
16. BigBang
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