「みんなが好きになっちゃうような二人に」柿澤勇人、矢崎広、桜井玲香、海乃美月らが出演!ミュージカル『ボニー&クライド』製作発表会見レポート

2025.2.1
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瀬戸山美咲

ーー瀬戸山さんにお伺いします。犯罪に手を染めた2人がアンチヒーローとしてどのように人気者になって、背景をどのように描きたいかを教えてください。

瀬戸山:もともと犯罪者として生まれているわけではなく、他の人より少し欲望が大きかったり、もしくは持って生まれた人を惹きつけるような才能があったり、そしてそれをちょっと持て余していたり。求めているものは違うけれど、生きている体温、求めているものの大きさが似ている2人。そういう2人が出会ってしまったからどんどん増幅し、こういう風になってしまった。それをまずしっかり描きたいなと思います。

その2人が何が魅力的だったかというと、2人が対等な関係だったこと。最初はクライドの方が犯罪を始めたかもしれないけども、ボニーがそれを引っ張っていった瞬間もある。アメリカの人たちが熱狂したのは、そんな2人なんですよね。それぞれが欠けもせず主導もせず、2人が合わさったときに圧倒的に格好よく見えたんです。今回は2人のそういう過程をしっかり描きながら、周りの人たちがどういう風に熱狂していったかということ、その民衆のパワーのようなものも、きちんと段階を踏んでお見せしできたらいいなと思っています。

――ご登壇が4名の俳優としての魅力だったり、演じているときの魅力を教えてください。

瀬戸山: 柿澤さんは、もう本当に爆発力がすごいなと感じています。まだ前半の方の明るいシーンの稽古をしている段階なんですけども、怒りとか悲しさとか寂しさとか、すごくヒリヒリする感情が瞬間瞬間垣間見えて、そこがとても魅力的だなと今思っています。

矢崎さんは、実は10年前に1度ご一緒したことがあって。そのときからとても楽しい俳優さんだったんですけども、すごく大人になられて。そして今もまた楽しい俳優さんなんですけど(笑)、今回の作品の背景だったり、クライド像をすごく掘り下げて考えていらっしゃる。常に稽古場でちょっと面白いことをトライしようという気概で溢れていると思います。

桜井さんは、ボニー的というか、こういう役がお得意だなと前から思っていました。なんか満たされない感じとか、 世の中に対する反発心とか、そういう精神が真ん中に実はあって……今やってもらっていても、彼女のなんとも言えない、もがいてる感じがすごく魅力的だなと思っています。

海乃さんは最初に歌を聞いたときに、明るさにびっくりして!それがすごくいいなと思ったんですね。なぜクライドはボニーに惹かれたんだろうと思ったら、やっぱり輝いていたからで、この明るさに惹かれたのかなと思いました。で、その一方で、稽古をしていると、突然殺気みたいなものを感じるときもあって。ボニーの残酷さみたいなものが一瞬見えたりして、面白いと思ってます。海乃さん自身が今新しい入口に立たれてると思うので、それがボニーがまた新しい扉を開けるというのとうまくシンクロしていったらいいなと思っています。

(左から)ボニー役の桜井玲香、クライド役の柿澤勇人

(左から)クライド役の矢崎広、ボニー役の海乃美月

ーーすでに稽古始まっているということで、稽古場ではどう過ごされているんですか?

矢崎:僕が本当のことを言いましょうか(笑)。カッキーはもうめっちゃ自由です。さすが柿澤勇人だなというぐらい稽古場のいろいろなところにいる。気づいたらストレッチしていたり、気づいたら芝居に打ち込んでたり。本当に掴みどころがない。地面にいたり、高いところにいたり、お猿さんみたいだよ?(笑)

柿澤:よく言われる(笑)

矢崎:で、僕はこんな感じでマイペースで、アゲでもサゲでもない。そして、桜井さんはまだ多分様子見ている感じで、海乃さんは、今のところクソ真面目です。

柿澤:僕が思うに、ぴろし(※矢崎さんの愛称)は本当にクソ真面目ですよ。いろいろなシーンをやるんですけど、とにかく新しいことをトライする姿勢。それは本当に真面目だなぁと思うし、正解を決めないで、何が自分にフィットするんだろうと常に考えている。クライドに関しても、この時代のアメリカのことに関しても、ものすごく勉強をされていて。2人になると、ぴろしは芝居のことしか僕に言わないんですよ。「そこのシーンはこうだよね?だからここでこうコントロールして、こうだった」みたいな。で、僕は一切そういう話しないんですね(笑)。僕は「もう今日帰ったら何するの?」とか、「どこかいいサウナない?」とか、芝居以外のことばかり喋っている。ま、和気藹々としてますね。同い年ですし、本当に気を遣うことなくやってます。

海ちゃんはね、 本当真面目ですけど、とにかく明るいですね。僕がすごく驚いたのは、宝塚を退団されて初めての舞台で、今回の稽古場には、瀬戸山さんのご要望でインティマシー・コーディネーターさんが入ってくださっているんですね。ボニーとクライドですから、キスシーンや密接なシーンが何個かあるんですけど、それがどういう風に見えるのかとか、どうやったら効果的なのかなみたいなことを、ちゃんと僕らだけの時間をとってくれて、ディスカッションして細かく決めながらやっている。海ちゃんは、男性と芝居をすることも初めてでしょう?

海乃:はい、初めてです。

柿澤:だから多分、僕は全然想像もできないですし、実感もできないんですけど、絶対緊張するというか、違和感みたいなものを感じていたりすると思うんです。でも、それでもニコニコ、ポジティブに向き合っている。その姿はとても美しいですし、格好いいなと思いますね。で、玲香ちゃんは共演の回数は結構多いんですけど、確かにいつもよりニコニコしている(笑)

(左から)上演台本・演出の瀬戸山美咲、出演者の桜井玲香、柿澤勇人、矢崎広、海乃美月

ーー最後に観客の皆さまに一言お願いします!

瀬戸山:『ボニー&クライド』というと、映画でも描かれたように、死んだときの状況がすごく有名だと思うんですけど、 死んだときの状況よりも、生きた彼ら彼女たちの姿をしっかり届けたいなと思っています。時代は全然違いますが現代と通じるところもあって、彼ら彼女らが、私にとっては友達みたいに感じる瞬間があって。ご覧になった皆さんにも友達の姿を見ているような、そういう感覚になってもらえるような作品にしたいと思っています。劇場でお待ちしております。

海乃:とても楽しくお稽古させていただいておりますが、私もボニーを自分にもっと落とし込んで、ボニーに近づくというよりかは、お互い寄せ合って、すごくリラックスした状態で、身近に感じて演じられたらいいなと思っております。今回のこの舞台では、ボニーとクライドが培ってきた、生きてきたものをすごく丁寧に描いてくださっているので、そこの部分をしっかりお客様にお見せできるように稽古をしっかり頑張っていきたいと思います。どうぞ楽しみにご覧になってください。

桜井:ミュージカル版『ボニー&クライド』は、特に人間味のある2人を描いている脚本になっているかなと思います。なぜギャングになったか、ちゃんと理由があって、いろいろな気持ちがあって……というのを丁寧に描いている作品になっているので、ぜひ皆さんにこの2人のことを知ってもらいたいです。私が強く思うのは、とても悲しいストーリーではありますが、とにかく楽曲やビジュアルが格好よくて、憧れられるような、好きになっちゃうような、そんな2人を演じられたらということ。最後、観終わった後に「スカッとしたな〜!」「最高に気持ちよかったな〜!」と思ってもらえるような作品にできたらいいなと思いますので、皆さん、ぜひスカッとしに劇場に来ていただけたら嬉しいなと思います。

矢崎:ボニーとクライドのこの刹那的な物語を本当に丁寧に描いていて。悪いことはしたんですけど、それでも皆さまに愛していただけるような2人になっていければいいなと思います。作品自体もすごくポップな曲もあり、素敵なバラードもあり、作品自体が、僕はすごく格好いいなと感じるんですね。それをお客様にもぜひ劇場で体感していただきたい。「すげえ悪い奴らだったけど、すげえなんか好きになったわ!」と思って帰っていただきたい。それを目指して、今、一生懸命稽古を頑張りたいなと思っています。劇場でお待ちしてますので、ぜひ来ていただければなと思います。

柿澤:ボニーとクライドは本当に犯罪を犯した悪人ではあるんですけれども、史実では、ボニーの葬儀にはファンの人たちが2万人?3万人?そしてクライドの葬儀には1万5000人?……なんでクライドの方が少ないんですか?(笑)。いや、その数はいいとして、それくらいの人たちがアンチヒーローとして、「暴れてくれてありがとう!」ではないけど、多分ポジティブな意味で、いろいろな感情を抱いていた。それは矛盾していることではあるんですけどね。僕たちもシアタークリエで皆さんに観ていただいた方に「なんか悪いことばっかやっているけど、頑張れ!」とか「なんか死なないでほしい」とか、そういういろいろな感情を持っていただけるように、これから稽古して頑張りたいと思います。

2025年3・4月上演! ミュージカル『ボニー&クライド』プロモーション映像

取材・文・撮影=五月女菜穂

公演情報

ミュージカル『ボニー&クライド』
 
<キャスト>
クライド・バロウ:柿澤勇人/矢崎広(Wキャスト)
ボニー・パーカー:桜井玲香/海乃美月(Wキャスト)
バック:小西遼生
ブランチ:有沙瞳
テッド:吉田広大/太田将熙(Wキャスト)
エマ:霧矢大夢
シュミット保安官:鶴見辰吾
 
石原慎一/彩橋みゆ、池田航汰、神山彬子、齋藤信吾*、社家あや乃*、鈴木里菜、焙煎功一、広田勇二、三岳慎之助、安田カナ
*=スウィング
 
<スタッフ>
脚本:アイヴァン・メンチェル
歌詞:ドン・ブラック
音楽:フランク・ワイルドホーン
 
上演台本・演出:瀬戸山美咲

【東京公演】
日程:2025年3月10日(月)~4月17日(木) [49回公演]
会場:シアタークリエ
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座席表>>
 
料金>
・平日:13,500円
・土日祝日/Wキャスト初日・千穐楽:14,000円
(全席指定・税込)
 
ツアー公演詳細
【大阪公演】
日程:2025年4月25日(金)~30日(水)
会場:森ノ宮ピロティホール
主催:キョードーエンタテインメント
お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(11:00~18:00、日祝休み)
https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/9706
 
<アフタートークイベント>
4月28日(月)13:00
登壇者:柿澤勇人、矢崎広、桜井玲香、海乃美月
 
【福岡公演】
日程:2025年5月4日(日祝)~5日(月祝)
会場:博多座
主催:博多座/インプレサリオ
お問い合わせ:博多座電話予約センター 092-263-5555(10:00~17:00)
【博多座】 http://www.hakataza.co.jp
【インプレサリオ】 https://www.impresario-ent.co.jp/
 
【愛知公演】
日程:2025年5月10日(土)~11日(日)
会場:東海市芸術劇場大ホール
主催:メ~テレ/メ~テレ事業
お問い合わせ:メ~テレ事業 052-331-9966(平日10:00~18:00)
https://www.nagoyatv.com/event/
 
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