三谷幸喜率いる東京サンシャインボーイズ、充電期間を経て今までにない作品を見せる 『蒙古が襲来 Mongolia is coming』が開幕
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東京サンシャインボーイズ『蒙古が襲来 Mongolia is coming』会見より
1983年に三谷幸喜を中心に旗揚げした東京サンシャインボーイズ。『12人の優しい日本人』や『ショウ・マスト・ゴー・オン〜幕をおろすな』、『彦馬がゆく』といった喜劇を上演して人気を博したが、1994年、『東京サンシャインボーイズの「罠」』を最後に “30年の充電”を発表した。2009年にホームグラウンドだった劇場シアタートップスの閉館イベントで『returns』を上演後、再び長い沈黙を続けていたが、2025年2月9日(日)、パルコ・プロデュース2025 東京サンシャインボーイズ復活公演『蒙古が襲来 Mongolia is coming』がいよいよ開幕する。
本作はファン待望の書き下ろし新作舞台。鎌倉時代、蒙古がやってくる直前の九州のとある漁村を舞台にしたコメディで、東京サンシャインボーイズの相島一之、阿南健治、伊藤俊人、小原雅人、梶原善、甲本雅裕、小林隆、近藤芳正、谷川清美、西田薫、西村まさ彦、野仲イサオ、宮地雅子に加え、劇団研究生の吉田羊が出演する。
開幕を前に行われたトークセッションでは、三谷が「この劇団は僕が大学生の頃に旗揚げし、一旦解散して再結成し、1994年にまた解散しました。僕自身が脚本家として俳優さんを売っていかなきゃいけない中で事務所の社長はできないし、劇団員はもっとステップアップしていくというタイミングで、解散するなら今だと。ただ、解散というマイナスイメージを避けたくて、冗談まじりに30年充電すると言いました。30年が近づき、冗談がとうとう本当になり、今回の上演となりました」と東京サンシャインボーイズの歴史を振り返り、梶原が「30年後にやるということを本気にした当時の制作スタッフが集まり始め、還暦を迎えた劇団員の誕生日を祝うために集まったりもしていて。そんな中コロナ禍となり、近藤さんから『12年の優しい日本人』を配信してみないかと提案がありました。そうしたチャンスが繋がり、この公演になりました」と今回の上演に至った経緯を説明した。
作品について、三谷は「過去にやっていたテイストの新作もできるし、昔の作品のリメイクもできるけど、新しいものをやりたいと思いました。みんなも歳をとってパワーやバイタリティは減っているけど、そのぶん経験という蓄積がある。今だからできるものを考えて、今までにない新たな物語を作りました。僕らにとっても冒険ですが、きっと楽しんでいただけると思っています。見どころとしてはこのメンバー。30年間、よく現役の俳優さんとして頑張ってくれたと思っています。伊藤(俊人)くんも、昔の舞台の録音を使って声で出演しますし、劇団研究生として吉田羊さんに出演してもらいます。また、ラストにみんなで歌うテーマ曲は甲本ヒロトさんに作っていただきました」と紹介。
吉田は「30年ぶりとは思えないテンポで稽古が進みました。皆さんさらに引き出しが増えていて、三谷さんの演出でみるみる面白くなっていく。非常に贅沢な気持ちで稽古を拝見しました。お互いに愛と思いやりがありつつ決して馴れ合わないのが東京サンシャインボーイズの魅力だと思いました」と語り、梶原は「とはいえみんな年も歳だから、稽古中は必死。セリフがどんどん抜けていく」と自虐混じりに話して笑いを誘った。
西村は「15年ぶりに仲間と演劇ができることに興奮しています。みんな随分変わっていますが、それに安心感を覚えている自分がいます。疲労が蓄積している中でも弱音を吐かずに日々作品を作ってきたことが自分の励みになっています」、甲本は「30年あっという間だった気がしますが、みんなで集まって一つの芝居をやることに精一杯です。若い劇団に負けないくらいのパワーでやりますので、ぜひ楽しみにしていてください」と意気込んだ。
三谷幸喜演出の場面風写真
三谷幸喜演出の場面風写真
三谷幸喜演出の場面風写真
フォトセッションでは、三谷がキャスト陣に「立ち位置はそこで、何か手に持って……」と指示を出し、華やかな婚礼のシーンを作っていく様子も披露された。流石のチームワークでワンシーンを見せた後、三谷は「本編にはこのシーンないです」と話して笑わせ、和やかな雰囲気で取材会が幕を閉じた。
三谷幸喜演出の場面風写真
三谷幸喜演出の場面風写真
三谷幸喜演出の場面風写真
なお、本公演は3月2日(日)まで東京・PARCO劇場にて上演。その後、岡山・京都・長野・宮城・北海道・大阪・愛知・福岡・沖縄にてツアー公演も行われる。
『蒙古が襲来 Mongolia is coming』舞台写真 撮影:細野晋司
『蒙古が襲来 Mongolia is coming』舞台写真 撮影:細野晋司
『蒙古が襲来 Mongolia is coming』舞台写真 撮影:細野晋司
『蒙古が襲来 Mongolia is coming』舞台写真 撮影:細野晋司
『蒙古が襲来 Mongolia is coming』舞台写真 撮影:細野晋司
キャストコメント
■相島一之
毎日がすごく楽しいです。顔合わせから1ヶ月、稽古場は笑いに溢れていました。確かに僕らは歳をとった。あちこちにガタがきて、みんな何かを抱えながら稽古に臨んでいる。でもなんだろうこの心地よさは。みんなが必死に役と向き合い全力で芝居を作ろうとしている。演劇はみんなで作るものなんだね。そんな当たり前のことを噛み締めています。劇団って良いもんだな。お芝居って楽しい! そう思ってもらえるよう全力を尽くします!
■阿南健治
私の役は、綺麗な派手目の着物を着て色々と楽しんでいて、より深く人間をとも思いつつ、三十年ぶりの新たな大舞台を大きく意気込んで大きなワンステップとして何かを刻みたいとも思っています。
お客さん達へは、蒙古が襲来した事を楽しみながらで、感じる事が出来るかもで、13人の俳優をそれぞれ色々と細かく観て楽しんでくださいませ。
■小原雅人
与えられた自分の役割をしっかりと熟し内に秘めた情熱はしっかり燃やし千秋楽までの日々に努めたいと思います。
大丈夫。スクラムはガッチリ組まれてます。
全国ツアーで30年振りの思いを劇場までわざわざ足を運んで頂いた皆様おひとりおひとりにお届けしたいと思います。どうぞお楽しみ下さい。
■梶原善
30年の時を経て、僕達の舞台の稽古が新年早々から始まった。
稽古場の雰囲気はみんな年を食ったせいかとても穏やかで
なんだかお互いいたわりの空気が流れていた。
笑い声もよく聞こえたように思う。
そんな中日々コツコツと稽古は続いた。コツコツとしかしウチの芝居は
ほぼ出づっぱりと言う事はずーっと稽古。
「じゃ―頭から」と演出の声…
「アタマからか…」と僕。
コツコツときづきあげた30年ぶりぶりの僕達の芝居、
楽しんで頂けると幸いです。
■甲本雅裕
30年の時を経て、この劇団の一員として舞台に立てる喜びをかみしめつつ稽古に通う毎日。
稽古場に着くと、そこは戦場。
苦しみ、もがき、ヘトヘトになりながら稽古に励んでいます。
でも不思議と皆んなの顔は笑ってる
三谷さんの脚本、演出、劇団員と今しかできない舞台を作る為、ほぼ60オーバー達が全力でぶっ飛ばして参ります!
ご覧になられる、お久しぶりや初めましての皆さん
30年ぶりに東京サンシャインボーイズはじめました。
■小林隆
復活公演開幕に向けて出演者一同、渾身の力を振り絞って稽古に励んで参りました。
いよいよ幕が上がります 。御声援の程よろしくお願い致します。
■近藤芳正
稽古は、連日発見がある日々でした。
懐かしい瞬間があったり、新しい刺激だったり、ほっとしたりワクワクしたり、成長を感じたり、変わらなさに笑ったり、 歳行って身体が動かなくなった分、お互いを労わる気持ちもあったり。
なんだろう、この感覚は初めてだし、もう2度と味わえないないであろう貴重な貴重な愛おしい日々でした。
さてさて本番では、どんな発見が? 長〜い航海に出る気分です。
■谷川清美
このメンバーで、この空間で、今ここにいる全ての人たちと過ごす、二度とない時間を心に刻みつけ、味わいつくしたいと思います。
東京サンシャインボーイズの復活公演を楽しみに待っていてくださったみなさんと創る『蒙古が襲来』。どんな作品になるのかわくわくします。
心震える舞台を届けられるようがんばります。
ご来場お待ちしてます。
■西田薫
稽古場にいる時間が幸福で、このままずっと稽古をし続けたいと思いましたが、この先にはもっと面白いことが待っているはずだと本番に向かいます。30年分の充電放出作品。楽しんで頂けたら嬉しいです。
今という時を大切に、勇気うたう人になりたい。新たな一歩を踏み出そう。
■西村まさ彦
30年振りに劇団のメンバーと一緒に演劇ができる事とても興奮しています。
見てくれはあの頃とずいぶん変わってしまいましたが、舞台に立つ時は、あの頃と同じ思いで舞台に挑みます。
■野仲イサオ
えー30年ぶりってことですからね。そりゃあまあ、自然と意気込みますな。
意気込みと言えば、
研究生の頃、シェイクスピアの[恋の骨折り損]のビローンと言う役をやることになったんですが、結構長いセリフがありましてね。
それで、あるイギリスの大スターが貧乏なころ、ひどい空腹で舞台に立ったところ、演技に思いもかけない凄みが出たと書いていましたから、私も真似して腹ペコで臨みました。凄い芝居をみせてやろうと。
結果は腹に力がはいらず、ヘナヘナ。凄みどころかシオシオノパー。
これを教訓に、45年間、意気込み方を模索中であります。
■宮地雅子
稽古場のあちこちから、「どっこいしょっ」が聞こえてきます(笑)
30年経って、パワーやスピード、骨密度は衰えました。
でも、違う何かは増えました。
間違い無く、今のみんなが、最強です。
私自身が、心から楽しみにしています。
劇場にて、お待ちしております!
■吉田羊
15年ぶりの稽古場では、ブランクを感じさせないスピードでみるみると舞台が立ち上がって行き、三谷さんの1に10で応える猛者たちが魅せるサンシャインワールドに、研究生の私はただただ口を開けて魅入る毎日でした。しかし楽しんでばかりもいられない、いよいよ開幕だ。お客様が入れば更に進化していくであろう先輩たちとのお芝居は、間違いなく毎日が一期一会となりそうです。舞台と客席が一体となる瞬間が、今から楽しみでなりません。皆様、劇場でお待ちしています!
『蒙古が襲来 Mongolia is coming』舞台写真 撮影:細野晋司
『蒙古が襲来 Mongolia is coming』舞台写真 撮影:細野晋司
『蒙古が襲来 Mongolia is coming』舞台写真 撮影:細野晋司
『蒙古が襲来 Mongolia is coming』舞台写真 撮影:細野晋司
『蒙古が襲来 Mongolia is coming』舞台写真 撮影:細野晋司
取材・文・撮影(会見・場面風写真)=吉田沙奈
公演情報
『蒙古が襲来 Mongolia is coming』
作・演出:三谷幸喜
出演:相島一之 阿南健治 伊藤俊人 小原雅人 梶原善 甲本雅裕 小林隆
近藤芳正 谷川清美 西田薫 西村まさ彦 野仲イサオ 宮地雅子 吉田羊
テーマソング「どんちゃんの歌」作詞作曲:甲本ヒロト
<日程・会場>
東京公演:2025年2月9日(日)~3月2日(日)PARCO劇場
岡山:3月7日(金)~9日(日) 岡山芸術創造劇場ハレノワ中劇場
京都:3月13日(木)~16日(日) 京都劇場
長野:3月21日(金)~23日(日) まつもと市民芸術館主ホール
宮城:3月28日(金)~30日(日) 電力ホール
北海道:4月3日(木)~6日(日) 札幌市教育文化会館大ホール
大阪:4月11日(金)~14日(月) SkyシアターMBS
愛知:4月18日(金)~20日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
福岡:4月25日(金)~28日(月) キャナルシティ劇場
沖縄:5月3日(土)~5日(祝) 那覇文化芸術劇場なはーと大劇場