愛する横浜、ゆず横浜アリーナ公演回数記録更新の第一歩をレポート

レポート
音楽
12:00
ゆず

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『YUZU ARENA TOUR 2024-2025 図鑑 Supported by NISSAN SAKURA』
2024.02.19(wed)横浜アリーナ

2024年7月31日に発売されたアルバム『図鑑』を引っ提げて行われた『YUZU ARENA TOUR 2024-2025 図鑑 Supported by NISSAN SAKURA』。2024年10月19日の長野ビッグハット公演を皮切りに各地を巡り、2月24日の神奈川・横浜アリーナ公演まで、30公演が開催された。FLOWER BANDの豊かな表現力、FLOWER PERFORMERSの華麗なダンスパフォーマンス、アルバム『図鑑』のアートワークを手掛けたフラワーアーティスト・東信とのコラボレーションによる映像と演出が融合したステージは、全編が唯一無二の表現の結晶。ゆずの横浜アリーナでの公演回数がファイナル公演を以て84回に達したツアーでもあった。この公演数は、同会場のステージに立った歴代アーティストの第1位。記録更新の第一歩となった81回目、2月19日のライブの模様をレポートする。

ゆず

ゆず

恒例となっている準備体操・ラジオ体操第一で身も心も完璧にほぐしてから迎えた開演。オープニングムービーが大型スクリーンに流れた後、「Overture -harmonics-」を経て「図鑑」がスタート。ギターを弾きながら歌い始めた北川悠仁と岩沢厚治のシルエットが幻想的に浮かび上がった。歌声、FLOWER BANDの演奏、フラワーアーティスト・東信⽒が主宰するクリエイション集団「AMKK」によるドキュメント作品『EXOBIOTANICA3 -Botanical space flight-』とのコラボレーション映像(ドキュメント作品の撮影が行われた同時期、北川は単⾝渡米。その際に砂漠などで撮影した映像が素材として使用されていた)が融合しながら作り上げる空間が神々しい。続いて「かける」に突入すると、FLOWER PERFORMERSのダンスパフォーマンス(振り付けを手掛けたのはTAKAHIRO)も加わり、明るいエネルギーが広大な横浜アリーナの隅々にまで一気に広がった。そして観客の大合唱と軽快な手拍子で彩られた「RAKUEN」も披露された後で迎えた最初の小休止。北川は「僕たちにとってなんと81回目の横浜アリーナ公演です。歴代ナンバーワンです。ありがとう。みんなのおかげです。これから僕たちは、図鑑をめくるように1ページずつ音楽で表現をしていきます。思いっきり僕たちの図鑑の世界を楽しんでいってください!」と力強く観客に呼びかけた。

北川悠仁

北川悠仁

「今回のツアーは冬を越えるツアーです。というわけで、懐かしい冬のナンバーをお届けしたいと思います。知ってる人は歌詞も出るんで一緒に歌ってください。知らない人は知ってるふりをして(笑)」――北川の言葉が和やかな笑いを誘ってからスタートしたのは、2002年リリースのアルバム『ユズモア』に収録された「みぞれ雪」。まだ寒い日々が続いている中、この曲に耳を傾けるのは至福のひと時だった。続いて届けられた「いつか」も懐かしい曲。アルバム『ゆずえん』がリリースされた1999年頃を思い出しながら耳を傾けた観客もたくさんいたのだと思う。

岩沢厚治

岩沢厚治

「第81回目のこの横浜アリーナには、1万人以上の方々が集まっています。満員御礼、ありがとうございます!」と改めて感謝してから、観客とのコミュニケーションを楽しんでいた北川。「どのタイミングでファンになってくれたんですか?」「どこから来たんですか?」「どなたと一緒に来たんですか?」など、直接言葉を交わしながら笑顔を輝かせていた。そんなMCタイムを挟んでから再開された演奏。ストリングスのメンバーたちによる素朴なリコーダーの調べ、観客の大合唱が穏やかな空間を作り上げた「シャララン」を経て、『図鑑』の3曲が連続披露された。北川と岩沢がアコースティックギターをストロークしながら歌い、エネルギッシュなビートを躍動させた「つぎはぎ」。そして、その後の2曲には深く引き込まれずにはいられなかった。行き交う地下鉄の映像がスクリーンに流れる中、歌声が瑞々しく響き渡った「SUBWAY」は、自然な展開を遂げながら「十字星」へ突入。宇宙を旅する銀河鉄道と煌めく星々の映像を交えながら壮大な展開を遂げた。間奏に差し掛かった時、花道の先端にあるセンターステージへと移動した北川。メインステージで歌っている岩沢と北川が花道を挟んで向かい合いながら交わした歌声が神々しかった。

北川悠仁

北川悠仁

観客が一斉に拳を突き上げ、熱く大合唱した「青」が幕切れると、北川、岩沢、FLOWER BANDは一旦、バックステージに戻った。するとスクリーンで流れ始めた『YUZUご当地図鑑』。この幕間映像は、日産の軽自動車・サクラを運転してゆずが各地の名所に行く。北川はこの企画を通じてサクラが気に入って購入。プライベートでの愛車になったのだという。そんなことをのんびりと話しながら2人が到着したのは、横浜港の大さん橋だった。続いて、ゆりやんレトリィバァが寿司職人に扮した映像がスタート。「伏線回収」のMVに出演した彼女による振り付けのレクチャーが繰り広げられた。観客は映像を観ながら一生懸命に練習。成果を発揮できる場面は、おそらくこの後に用意されているのだろう。

ゆず

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ライブの後半は、「スミレ」からスタート。ステージ上手端に岩沢、下手端に北川――大きく広がったフォーメーションでアコースティックギターを弾きながら届けられた歌声は、温かなハーモニーを響かせていた。ストリングスとピアノのイントロで幕開けた「花言霊」は、あらゆる要素が融合した総合芸術。アルバム『図鑑』のジャケットアートワークを使用した映像、北川と岩沢の歌声、FLOWER BANDが奏でた音色、FLOWER PERFORMERSのダンスパフォーマンスから片時も目と耳を離せない。「ワンダフルワールド」に突入すると、ステージ上で咲き誇った赤いヒナゲシの花。『図鑑』を彩ったアートワークの数々、ゆず、FLOWER BAND、FLOWER PERFORMERSによるコラボレーションに息を呑まずにはいられなかった。

岩沢厚治

岩沢厚治

耳を傾けた1万人の胸の鼓動が肌で感じられるような気がした「栄光の架橋」。観客の大合唱が起こった時、北川と岩沢がとても嬉しそうだったのが思い出される。歌い終えた直後、この曲を書き上げた時のエピソードが語られた。「たしか家のキッチンで完成して嬉しくなっちゃって、そのまま伊勢佐木町に行って、バレないようにできたばかりの新曲を1人で歌ったんです。あれから20年以上経ちますが、またこうして横浜で、みんなの前で歌えて本当に幸せです」――ゆずの2人にとっても大切な曲の1つなのだと再確認させられるMCだった。そして「横浜ってゆずのホームタウンだよな? 盛り上がっていくぞ!」と北川が観客に呼びかけて、ライブは佳境に突入。FLOWER BAND:磯貝サイモン(Bandmaster)、真壁陽平(Guitar)、前田恭介(Bass/androp)、河村吉宏(Drums)、松本ジュン(Keyboards)、佐藤帆乃佳(Violin)、亀田夏絵(Violin)、菊池幹代(Viola)、結城貴弘(Cello)、FLOWER PERFORMERS:HONOKA、HINANO、ASUKA、SHIORI、KOHARU、KAREN、CHISATO、RIOの紹介、各々のソロプレイ、ソロダンスパフォーマンスを経て、「Frontier」がスタート。北川と岩沢の後ろに旗を手にしたFLOWER PERFORMERSが続いて花道をパレードする中、ライブ参加グッズ「図鑑フラッグ」を観客が一斉に振る風景が壮観だった。

「タンバリンで参加してください。持ってなくても大丈夫ですよ。手拍子でも参加できます。冬真っ盛りですが……」と言いつつ歌い始めた「夏色」。北川はFLOWER PERFORMERSと一緒にアリーナ席エリア内の通路をゆっくりと歩きながら花を配り、メインステージにいる岩沢と歌声を響かせた。この曲が生む爽やかな昂揚感は、やはり格別なものがある。観客が鳴らすタンバリンのシャンシャンという音色も心地よい。「もう1回!」というコールに応えながら延長戦を重ねて、スピードアップの末にエンディングを迎えた時、横浜アリーナを満たしていたのは無上の幸福感。純度100%のポジティブなエネルギーが会場の隅々にまで広がっていた。

ゆず

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「AMKK」の監修による演出で、ステージ上に花畑が突如作り上げられた「Chururi」の後、「Interlude -harmonies-」を挟んで「flowers」に突入。「AMKK」の映像作品『Drop Time』シリーズとのコラボレーションとなったこの曲は、舞い踊ったFLOWER PERFORMERSがまるで妖精のようだった。そして「ビューティフル」では、この曲のOfficial Visualizer で使用されたユリの花が登場。ゆずの歌声と観客の手拍子が生んだ波動が、絶大な生命力を放っているのを感じた。

「1999年、僕たちは初めて横浜アリーナでコンサートをしました。たしかライブの前日、通しリハーサルがあって、夜に会場に来たんです。“こんなに大きな会場で俺たちできるのかな?”ってドキドキしたのを今でも覚えています。相変わらず本番が始まる前は楽屋で“今日、大丈夫かな?”ってドキドキしちゃったりして。でも、ステージに立ってみんなの顔を見た途端、“今日は最高の夜にしてやろう!”って思います。毎回、そんな風に重ねて辿り着いた81回目のステージ。ありがとな!」――観客に感謝の言葉を届けた北川は、今後の活動への意欲にも溢れていた。「ゆずはデビューして28年目を迎えました。これからも図鑑のページをめくるように好奇心の赴くまま、“みんなに届けたい”という想いの赴くまま、いろんな音楽と表現に挑戦し続けていきたいと思います。そんな僕たちの走る姿が少しでもみんなの勇気になりますように。そして作り出す音楽が少しでもみんなの支えになりますように。そんなことを願ってやまない今日この頃です」――抱える想いを語ったMCを経て、「伏線回収」がライブのラストを飾った。振り付けを全力で踊りながら観客が浮かべていた笑顔が明るい。途中でセンターステージに移動した北川は、スタンドマイクに向かって歌いながらキレの良いダンスを披露。「ゆずはまだまだ走り続けるぞ!」と叫んだ彼がジャンプをしてエンディングを迎えた直後、爽快な余韻が漂っていた。

ゆず

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FLOWER BANDとFLOWER PERFORMERSのメンバーを改めて紹介した後、「気をつけ! 礼! ありがとうございました!」という生声による言葉を響かせた北川と岩沢を大きな歓声が包んだ。あらゆる客席エリアに向かって何度も手を振った彼らが名残惜しそうにしながらステージを後にした後、スクリーンに映し出された「愛する横浜 またあおう ゆず」というメッセージ。観客の拍手の激しさが楽しい時間を過ごせた喜びを示していた。こうして終演を迎えた2月19日の横浜アリーナ公演。ツアーファイナルの2月24日は、この会場での84回目の公演となった。記録は今後も着々と更新されていくのだろう。

一旦はファイナルを迎えたツアーだが、追加公演『YUZU ARENA TOUR 2025 図鑑 spring has come』がすぐに開催される。3月1日(土)・3月2日(日):神奈川・Kアリーナ横浜、3月8日(土)・3月9日(日):愛知・Aichi Sky Expo、3月18日(火)・3月19日(日):大阪・大阪城ホール、全部で6公演が行われるが、セットリストを再構築する旨が発表されている。新たな見どころが満載となるに違いない。


取材・文=田中大 撮影=SENHA

ゆず

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セットリスト

『YUZU ARENA TOUR 2024-2025 図鑑 Supported by NISSAN SAKURA』
2024.02.19(wed)横浜アリーナ
M01. Overture -harmonics- ※アルバム『図鑑』収録
M02. 図鑑 ※アルバム『図鑑』収録/日本生命 CM ソング
M03. かける
M04. RAKUEN
M05. みぞれ雪
M06. いつか
M07. シャララン
M08. つぎはぎ ※アルバム『図鑑』収録
M09. SUBWAY ※アルバム『図鑑』収録
M10. 十字星 ※アルバム『図鑑』収録/「氷艶 hyoen2024 -十字星のキセキ-」主題歌
M11. 青
M12. スミレ
M13. 花言霊 ※アルバム『図鑑』収録
M14. ワンダフルワールド
M15. 栄光の架橋
M16. Frontier ※アルバム『図鑑』収録/「NBA Japan Games 2022」公式ソング
M17. 夏色
M18. Chururi ※アルバム『図鑑』収録/日産サクラ CM ソング
M19. Interlude -harmonies- ※アルバム『図鑑』収録
M20. flowers ※最新曲/スマホゲーム『モンスターストライク』コラボレーションソング
M21. ビューティフル ※アルバム『図鑑』収録/日本生命 CM ソング
M22. 伏線回収 ※アルバム『図鑑』収録/テレビ朝日系ドラマ「南くんが恋人!?」主題歌
 
【FLOWER BAND】(バンドメンバー)
Bandmaster 磯貝サイモン
Guitar 真壁陽平
Bass 前田恭介(androp)
Drums 河村吉宏
Keyboard 松本ジュン
Violin 佐藤帆乃佳
Violin 亀田夏絵
Viola 菊池幹代
Cello 結城貴弘
 
【FLOWER PERFORMERS】(パフォーマー)
HONOKA / HINANO / ASUKA / SHIORI / KOHARU / KAREN / CHISATO / RIO
振付:TAKAHIRO

ツアー情報

『YUZU ARENA TOUR 2025 図鑑 spring has come Supported by NISSAN SAKURA』追加公演
2025年3月1日(土)神奈川県 Kアリーナ横浜
2025年3月2日(日)神奈川県 Kアリーナ横浜
2025年3月8日(土)愛知県 Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
2025年3月9日(日)愛知県 Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
2025年3月18日(火)大阪府 大阪城ホール
2025年3月19日(水)大阪府 大阪城ホール
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