新『スタミュミュ』2ndシーズン開幕、星谷ら元・team鳳&ライバルteam柊が送り出す、涙と笑顔の『卒業セレモニー』へ
『新ミュージカル「スタミュ」-2ndシーズン-』 2025.3.1(SAT)~3.9(SUN) シアターH
2025年3月1日(土)、東京・シアターHにて『新ミュージカル「スタミュ」-2ndシーズン-』が開幕した。ミュージカル学科で夢を追いかける男子学生たちを描いた青春ドタバタ・ミュージカルストーリーの本公演第二弾は、まぶしい笑顔と温かい涙にあふれていた。ここでは、初日前に行われたゲネプロ公演と囲み取材の模様をお伝えする。
原作は音楽芸能分野の名門・綾薙学園を舞台にしたアニメ『スタミュ』。2017年にミュージカル化され、2024年よりキャストを一新した新シリーズとして再始動。2024年1月に本公演第一弾となる『新ミュージカル「スタミュ」』が上演されており、本作は続編となる。
紆余曲折ありながら、無事に入科オーディションに合格した星谷悠太(三井淳平)。ともに「team鳳」を組んだ那雪透(田口司)、月皇海斗(司波光星)、天花寺翔(宮内伊織)、空閑愁(松井健太)とミュージカル学科生として充実した日々を送っていた。
時は流れ、3年生の先輩たちは卒業間近。ミュージカル学科だけに受け継がれてきた『卒業セレモニー』を控えていた。ミュージカル学科のトップとして率いてきた華桜会のメンバーが去る日、彼らの教え子たちが感謝を込めてパフォーマンスを披露する伝統の儀式だが、星谷たちには参加資格がない。星谷たちの才能を見出し、導いてきた鳳樹(吉原雅斗)は華桜会を脱退していたのだった。『卒業セレモニー』に参加するため、星谷たち“元・team鳳”はある行動を起こす。
『スタミュミュ』の魅力は、高校生たちらしいフレッシュな感情がぎゅっと詰まった芝居パートと圧倒的な楽曲数を誇るパフォーマンスの融合。落ちこぼれと揶揄されながらも邁進を続け、何度でも立ち上がる“元・team鳳”は今作でさらにパワーアップ。思わずクスッとしてしまうようなコミカルな日常パートはとびきり明るく、ミュージカルシーンでは5人それぞれの個性を全面に押しながらもチームとしてまとまった姿をまぶしく描き出す。
もちろん、星谷たちの良きライバルであり仲間である“team柊”の面々にもクローズアップされる。辰己琉唯(牧田一成)を筆頭に、申渡栄吾(小椋涼介)、戌峰誠士郎(中本大賀)、虎石和泉(藤岡勇成)、卯川晶(新谷聖司)が織りなすトップクラスの実力から「スター・オブ・スター」として君臨しながらも、裏には彼らなりの苦悩があり……。年相応にぶつかる姿と、完璧を突き詰めたパフォーマンスには心揺さぶられた。
卒業を控え、華桜会にも変化が。鳳と柊翼(丸山龍星)や暁鏡司(北澤優駿)との確執がどう終着するのか。優しく、時には楽しく見守る楪=クリスチアン=リオン(大隅勇太)や漣朔也(徳田皓己)とともに見届けてほしい。
可動式の階段セットやアンサンブルの活躍により多角的に展開されるシーンづくり、チームとしてだけではなくキャラクター同士の関係性にちなんだパフォーマンス、繊細な心情を的確に深く押し出す演出……見どころが多いパワフルな本作を牽引しているのは、間違いなく星谷演じる三井の底抜けの明るさだろう。星谷をはじめ、キャラクターたちが物語を生き抜く姿につられて笑顔になってしまうことが多々あった。『卒業セレモニー』の行方は、ぜひ公演で直接体感してほしい。
ゲネプロ公演前には囲み会見が行われ、“元・team鳳”のキャスト5名と鳳樹役の吉原が登壇した。
――見どころを教えてください。
三井:ミュージカルスターを目指す学生たちの熱いお話なので、役者としても自分の信念やプライドがお芝居に反映される部分がすごくあります。そういったところが『スタミュミュ』として舞台にした理由でもあると思いますので、注目していただけたら。
田口:(2018年に上演された)先輩たちの『2ndシーズン』では歌われていなかった曲が今回は入っています。追加シーンもぜひ楽しみにしていただきたいです。
司波:前作と比べて成長したり、チーム感や関係性が深まったりと前作とは違う部分があります。あとは、やはり華桜会の実力。「これぞ華桜会!」というパフォーマンスが見られるはずです。
宮内:バラバラだったキャラクターが鳳樹先輩によって“team鳳”になった。前作で生まれた絆を信じて、自分たちのパフォーマンスや先輩たちをどう送り出すかというところに繋がっていくのが見どころになっています。
松井:「星瞬COUNTDOWN」という曲がある通り、『スタミュ』は青春をテーマにした物語。今作も泥臭く、全力で青春を楽しむ僕たちの姿を楽しんでいただけたら。
吉原:司波くんも言ってくれましたが、華桜会である3年生が卒業するお話ということで……ポスターを見て「いいのかな?」と思いました。主演よりデカいんじゃない?
三井:デカいですね(笑)。
吉原:恐縮の極みだなと思いつつ(笑)、僕らとしても卒業を噛みしめながら、新しい道を示していけたら。
――自分以外のキャストの見どころ、好きなシーンは?
三井:まあ伊織演じる天花寺の猫ですね。すっごい猫が見られますよ!
宮内:やりづらい(笑)! ハードル上げすぎ!
三井:ちょうど裏でも話してたんです。ちょっと猫っぽいところをするシーンがあるんですが、通し稽古で「伊織の猫の声、SEと似すぎてる」とダメ出しがありまして。
宮内:もっと下手にやってくれと言われました(笑)。
三井:それくらい達者なので! 見てください。
田口:僕は鳳先輩のソロ曲です。ダンスが本当にカッコ良くて! 鳳先輩についてきてよかったって思えるシーンです。マジでカッコ良いんで!
司波:(田口と)まったく同じことを思っていました。僕はライバルチームのteam柊のチーム曲も見どころ。ライバルでもあり、仲間でもある。彼らのパフォーマンスを見ると心をギュッと掴まれますし、もっと頑張らなきゃってひしひし感じます。
宮内:僕はこのメンバー。どんなシーンでも言葉を掛けてくれるだけで気持ちが奮い立って、感動させられる。身震いするシーンが多くあったので、この6人が影響しあっているところを感じてほしいなと。
三井:俺らのこと好きじゃん。
宮内:うん、大好き。
松井:暁先輩と楪先輩と漣先輩の3人の曲ですね。華桜会といえば鳳先輩、柊先輩がピックアップされてきたことが多いんですが、この3人の曲がとても素敵なのでぜひ
三井:それでいうと、俺も柊先輩の好きなところがあって。team柊との師弟関係がすごく素敵なんです。柊先輩の苦悩があるけれど、team柊からもらう感情が現れるシーンがある。関係性を象徴している場面での(丸山)龍星くんのお芝居がすごく好きなんです。すみません、追加で言わせてもらいました!
吉原:華桜会ではない僕のために皆が奮起してくれるところ。もちろん、それを押してくれる華桜会の皆も。皆とは指導者と教え子たちという関係値だったのが、一つのチームなる瞬間がある。僕的には小っ恥ずかしながらも嬉しいなと思えるシーンなので、ぜひ見つけていただきたいです。
――役作りなどで苦労したことは?
吉原:(宮内に)どう? 苦労は多そうだけど。
宮内:えーっと猫です(笑)。今回は綾薙学園生としての生活感が見えるシーンがふんだんにあるんですけど、最初は苦労しながら作っていった。今となっては面白いシーンになっているはずです。
田口:前作とはまた違ったベクトルの作品だよね。今作はチーム感をより大切にしなきゃならない。僕たち自身もより仲良くなったし、話す時間が増えたから。難しくもあり楽しくもあったかな。
松井:今作は特に歌での表現が多い。team鳳の場合は歌で繋いでいかなきゃいけない。そこが最初から僕たちの課題であり、やらなきゃいけないことだった。やっと形が見えてきました。
司波:僕らは5位で試験を突破したグループ。成長した部分を明らかに提示しなければならないので、日々稽古では鞭打って頑張ってきました。他のキャストの皆さんにサポートしていただきましたし、一丸となって助け合って作り上げている作品。皆で作り上げたっていうのは大きなポイントです。
三井:雅斗くんは何でもそつなくこなすイメージがありますけど……?
吉原:鳳樹は鬼才で天才。ダンスも歌も、そこにアジャストしていくのが大変だった。ソロは特に今までのアーティスト活動でも1人でこれだけの長さの曲をやったことがなかった。ちゃんと皆さんをお届けしたい、絶対なんとか良いものにしたくて。ここが一番プレッシャーだったかな。
三井:楽曲が多くて物量が多い。初演と比べてアンサンブルさんは少数精鋭チームでやっていて覚える物量も僕たち以上に多いですし、皆で情熱を燃やして臨んだ稽古だった。約1か月、シンプルに大変な稽古期間でした。
――“元・team鳳”の集結は久しぶりですが、前作から変化はありましたか?
三井:第一印象から変わらないんです。
宮内:変わらないね!
三井:歳も近いし。司と伊織は二人でずっとくだらないことで笑っているし、俺とマツケン(松井)は考え方が似ているし。光星は輪にはいるんだけど……一匹狼?
司波:狼ではない!
田口:“一匹羊”くらいかな?
一同:(笑)。
松井:空気感は変わらないですが、それぞれがこの1年で培ってきたものは感じました。すごく良い方向に進んだと思います。
終始、笑顔の絶えない和気あいあいとした会見。最後に三井が「僕たち“元・team鳳”が、星谷が泥臭く頑張る姿が心を惹きつけるところなので、責任をもってやらせていただきます。上演時期的にも卒業シーズン。新しいことを始める人、何かを終える人たちの背中を押せるような作品を届けます」と意気込みを語っていた。
東京公演は3月9日(日)まで。大阪公演はCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて3月15日(土)~3月16日(日)に上演予定。
取材・文・撮影=潮田茗
公演情報
【 日程 】
<大阪公演>2025年3月15日(土)~3月16日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホール
那雪透 田口司
月皇海斗 司波光星
天花寺翔 宮内伊織
空閑愁 松井健太
辰己琉唯 牧田一成
申渡栄吾 小椋涼介
戌峰誠士郎 中本大賀
虎石和泉 藤岡勇成
卯川晶 新谷聖司
柊翼 丸山龍星
鳳樹 吉原雅斗
暁鏡司 北澤優駿
楪=クリスチアン=リオン 大隅勇太
漣朔也 徳田皓己
脚本:ハラダサヤカ
演出:吉谷晃太朗
振付:ただこ
主催:新ミュージカル「スタミュ」製作委員会