石井琢磨、チャンネル開設5周年を記念したアニバーサリーツアーが決定! ツアーの構想、撮影裏話から今後の目標まで独占インタビュー
YouTubeチャンネル登録者数30万人以上、総再生回数1億2千回を突破するピアニスト石井琢磨のYouTubeチャンネル「TAKU-音 TV たくおん」。チャンネル開設5周年を記念して、『石井琢磨 ピアノリサイタルツアー 2025 たくおん 5th ANNIVERSARY』が開催されることが決定した。
2025年8月~9月にかけて9都市10公演を巡る本ツアー。2020年3月13日のYouTube初投稿に始まり、メジャーデビュー、サントリーホール公演、そして今年はベルリン・デビュー&海外オーケストラとの初ツアーと目まぐるしい勢いで躍進を続ける石井が、この5年を振り返り、周年記念に何を思い、次に何を目指すのか――。石井琢磨に話を聞いた。
喜びの瞬間を一緒に味わえることが一番の幸せ
――YouTubeチャンネル「TAKU-音 TV たくおん」開設5周年、おめでとうございます! まずは5周年を迎えた率直な想いをお聞かせください。
5周年を迎えられたこと、本当に嬉しく思っています。2020年3月13日に初投稿をしてから、あっという間の5年間でした。最初は家族以外は見ていなかったこのチャンネルが、今や(登録者数)30万人を超えて、再生回数も1億回を超えて……1億回再生ってすごい数ですよね。日本全国の方が、もしかしたら一度は見てくれているのかな?!なんて思うと、すごいことをやっているんだなあとしみじみ思います。多くの方に見ていただき、クラシック音楽やピアノの良さを感じていただけるチャンネルになれたことが本当に嬉しいです。
「30万人」「1億回」と表れてくるのは数字ですが、僕はそのなかにいる一人ひとりをいつも意識して、「誰も傷つけない動画」をコンセプトに作ってきました。1億回再生や5周年を迎えられたことは、いつも応援してくださっている方、見てくださっている方のおかげです。
そして僕がなにより嬉しいのは、動画を見てくださった方が、僕の生の音を聴きに来てくださることです。やっぱり動画では伝わりきらない瞬間芸術が生の音にはあって、直接お届けできる機会をとても大切にしているので、この5周年というタイミングで、絶対に、皆さんとともに「5周年ありがとうございます!」「おめでとう!」っていうのをやりたかったんです。なので、こうしてアニバーサリーツアーを行えることも、感謝と喜びでいっぱいです。
――この5年で特に印象に残っている出来事はありますか?
全部印象に残っているんですけど、やっぱり、100人登録達成、1000人、1万人……って節目節目のタイミングは印象に残っていますね。といいつつ、僕は数字を目標に掲げたことはなくて、節目の何が心に残っているかというと、皆さんと「おめでとう!」「ありがとうございます!」というやりとりができたことなんですよね。特に1000人や1万人の時は鮮明に覚えています。
あとは、メジャーデビューも。当時僕は、YouTubeで一生懸命動画をあげている一学生にすぎなかった。その学生が、皆さんのおかげでCD発売、メジャーデビューという境地にたどり着いた……あの日のことも忘れないですね。
……でもやっぱり、特に印象に残っているというと、登録達成みたいに喜びの瞬間を皆さんと一緒に味わえていることなので、今回の5周年のツアーも、特に印象に残る出来事になると思います!
5年間、319本の動画のなかで印象に残る一本は?
――チャンネル開設5周年ということで、これまでの動画のなかで石井さんご自身が一番お気に入りの動画はどれですか?
なんだろうなぁ、やっぱり海外ストリートピアノの「ティファニーで朝食を」は自分でもよく見ます。だから皆さんもあれだけ再生してくれているんじゃないかなと思いますね(※3/11時点で507万回再生を突破)。音楽のあるべき姿がそこにあるなって感じていて。
【ティファニーで朝食を】日本人がヨーロッパでムーン・リバーを弾いたら沢山の投げ銭が!【海外ストリートピアノ】
僕はクラシックピアニストとしてやっていますが、あの動画では「ムーン・リバー」(『ティファニーで朝食を』より)をクラシックの演奏技法に落とし込んで弾いているんです。それが自分の功績として……というとおこがましいですが、やっぱり音楽ってすべての人に開かれているべきだし、そうしたジャンルを超えたクロスオーバーの流れが加速しているなかで、2022年という早い段階からそういう動画を出せたというのは、僕にとってすごく自信につながっています。それから単純に、あの映像美と曲がすごくマッチしていて素敵だと思うので、一番好きといったらこの動画ですかね。
いやでも、「ウィーンの夜会」が……あっ、「ラ・カンパネラ」も……いや、「英雄ポロネーズ」のMVも好きだし、4台ピアノの動画も好きだし……。でもやっぱり、「ムーン・リバー」……? 迷いますね(笑)。「TAKU-音 TVたくおん」には、今日(3/11)時点で319本の動画を出しているんですが、僕にとってはその全てが光り輝くものであることは確かです。
――では、制作を振り返って思い出に残るものは? 収録が大変だったとか、思いがけないハプニングとか……。
ハプニング系は本当に、とんでもない数ありますよ!(笑)
例えば2021年に大鳴門橋(徳島)前にストリートピアノを設置して演奏するっていうとんでもない企画をやったんですけど(笑)、あれは自宅のピアノを外に持っていったんです。今あの動画を見ると、やっぱりあれば音響(PA)を入れるべきだったな、と当時のことをよく思い出します。あれだけ開けた空間で波の音も混ざりつつ皆さんに音を届けるためには、かなり強くピアノを鳴らさなければならない状況で、動画を見ていただくとわかると思うのですが、かなり男性っぽく、力強く弾いています。ああいうの見ると、懐かしいですね(笑)。
【ストリートピアノ】渦潮の前までピアノ運んで弾いてみた!!
あとは、これも2021年の「モンタギュー家とキャピュレット家」(プロコフィエフ『ロミオとジュリエット』)。あの時、月に10本くらい動画を出していて、今日撮影しないと絶対に編集が間に合わん!っていう状況で、夜11時とか演奏できるギリギリの時間まで12時間くらい続けて撮影と編集をわーっとやって、やり切って、床の上で倒れて寝ちゃうっていう(笑)。すごい懐かしいですね。
Sergei Prokofiev: Montagues and Capulets -Romeo and Juliet /プロコフィエフ: 「モンタギュー家とキャピュレット家」【ロミオとジュリエット】
あと印象に残っているでいうと、カフェピアノシリーズは全部ですかね。もうどれも毎回、手に汗握って行ってるんですよ(笑)。その中でも一番って言ったら、ドイツでエビが口の中で踊って「ラ・カンパネラ」を弾くっていうやつ。あの動画は本当は違う曲を弾く予定だったんですけど、なぜかいきなりカンパネラに変更して演奏したんですよ。今思い返すと、よく変えていきなり弾いたなって自分でも思います(笑)。
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これ本当に言い始めたらきりがないので、今回のツアー会場でも、こういう動画の背景や裏話、制作の大変さだったりを面白くね、お話ししたいなと思っています。
>ツアーの構想、次の5年の目標とは?