「何このライブ!? 」SAKANAMONがニューヨークと対バンーー漫才に物真似、レア曲にカバー披露、メンバー誕生日と特別すぎる夜に

レポート
音楽
2025.3.12

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SAKANAMON『UOOO!!~THE BIRTHDAY~』2025.3.6(THU)東京・キネマ倶楽部

「ト・モ・ダ・チ?トモダチッテウマイノカ???」と問いかけながら、昨年の10月から11月にかけ、6年ぶりに対バンツアー『SAKANAMON TOUR 2024 ト・モ・ダ・チ?トモダチッテウマイノカ???』を開催してみたら、よっぽどウマカッタのだろう。対バンツアーの成功にすっかり味を占めた(←言い方!)SAKANAMONは早速、さらなる対バンライブを企画した。それが藤森元生(Vo.Gt)の誕生日である3月6日(木)、鶯谷にある東京キネマ倶楽部で開催した『UOOO!!~THE BIRTHDAY~』。いくら対バンツアーが楽しかったからって、同じことを繰り返したってつまらないと考えるところに我らがSAKANAMONがSAKANAMONたる所以がある。

前掲の対バンツアーのファイナルで『UOOO!!~THE BIRTHDAY~』の開催を発表したとき、「普通とはちょっと違う対バンになる」と付け加えていたとおり、この日、SAKANAMONが対バンに迎えたのは、お笑いコンビのニューヨーク。大のお笑い好きというSAKANAMONの3人はお笑いとロックを混ぜ合わせたら、どんな化学反応が起きるのかかねてから興味津々だったという。その興味がこの日ついに対バンライブに実ったわけだが、その相手がなぜニューヨークなのか? それについては3人がSPICEのインタビューで語ってくれているから、ここでは音楽好きの芸人達が自分の好きな音楽について語るという、とあるトークイベントで顔を合わせたことをキッカケにニューヨークの嶋佐和也と木村浩大(Dr)が飲み友達として、親交を深めてきたことが大きかったということだけ書いておく。

「SAKANAMONさんと俺らのツーマン? 何このライブ!? 明らかにお客さんがルミネtheよしもとと違う!」ステージに登場するやいなや、客席を見渡しながら、そう声を上げた屋敷裕政とお客さんに対して「ドラムのキムと飲み友達だし、SAKANAMONのマネージャーの江森さんとたまたまキックボクシングのジムが同じだし」と対バンが実現した経緯を説明した相方の嶋佐も「満を持してのツーマンライブ。感慨深い」と興奮を隠さずに語る。

先攻はニューヨーク。「ドラムのキム!? キム? 見た目が一番おもろい人だろ? 明らかにキムって感じの」と屋敷が木村をイジりながら、早速、ふたりは漫才を披露する。「芸人になってなかったら、高校の教師になりたかったんです。悪そうなヤンキーがいっぱい集まってくる高校に赴任して、僕がそいつらに注意して更生させるっていうのをちょっとやりたいんで、学校でタバコ吸ってるヤンキーやってもらっていいですか?」と熱血教師を演じる屋敷に対して、嶋佐が窪塚洋介、市川隼人らの物真似を交えたボケをたたみかけ、屋敷を翻弄しながら客席をさんざん笑わせると、後攻のSAKANAMONは「ハロ」から演奏をスタートさせた。

木村が藤森と森野光晴(Ba)を煽るように手数の多いスティック裁きでビートを詰め込み、3人の演奏はぐんぐんと加速。そこから森野がスラップを閃かせるダンサブルな「アリカナシカ」、藤森がエッジを立てた音色でコードをかき鳴らすアップテンポのオルタナロック・ナンバー「PLAYER PRAYER」と一気呵成にたたみかけ、観客を自分達のペースに巻き込んでいく。いつも以上に演奏に凄みが感じられるのは気のせいだろうか。

「改めまして、SAKANAMONです! 特別なイベントを企画しました。普通の対バンじゃなくて、お笑いのアーティストとの異文化コミュニケーション、実験的な企画になっております!」

「(嶋佐との飲みが)やっと仕事に繋がった!」

藤森と木村がこのイベントに対する意気込みと感慨を語ってから、ロックンロールの「PACE」、バラードの「矢文」の2曲を披露したところで第1部は終了。

「今日は2部構成です。この後、ニューヨークが出てきて、その後、また僕らが出てきます。驚かないでください」と森野が説明したとおり、ニューヨークが再びオンステージ。SAKANAMONによる熱演の余韻が残る中、「藤森さん、MC中、全然喋らない。森野さん、前髪が重すぎる。えっ、キム君、絶対音感持ってるの!?(ドラム叩くのに)要らなくない?」とメンバー達をイジることで観客の気持ちを掴むと、それぞれに大金持ちの逸話を披露しあいながら、嶋佐の大法螺に屋敷がキレるという漫才で観客を今一度笑わせる。

対するSAKANAMONはドライブする森野のベースリフから「爆弾魔のアクション~願い~」から演奏になだれ込み、ガレージロックを思わせるヒリヒリとしたサウンドでなごんだ空気を一変させる。ニューヨークとSAKANAMONによるそんなある意味、綱引きもこの日の見どころの1つだろう。そこからアンセミックな「幼気な少女」、マスロックパートも持つ「ロックバンド」、ラップロックの「ただそれだけ」とアップテンポでアグレッシブなロックナンバーをたたみかけ、スタンディングのフロアを存分に揺らすと、藤森は「楽しんでますか?」ではなく、「楽しんでます!」と快哉を叫んだのだった。

藤森だけではなく、森野と木村もまた3月生まれということで、3人でプレゼント交換をしたという話を挟んでからの後半戦も「光の中へ」からノンストップで「DUAL EFFECT」「AGEINST」とアンセミックなロックナンバーを繋いで、さらにフロアを揺らしていく。久しぶりにライブで演奏したという

「AGEINST」では、「歌詞はたった2文字。《ア》と《ゲ》です。《ア》と言ったら、《ゲ》と言うだけの言葉のドッジボールです!」と煽る木村に応え、「アー!」「ゲッ!」、さらには誕生日ということで「オー!」「メッ!」のコール&レスポンスを観客と繰り広げながら、大きな盛り上がりを作り上げ、「1-2-3!」「アゲッ!」でエンディング。

そして、その盛り上がりを大きな一体感に変えたのが、藤森がアコースティックギターを弾きながら歌った本編最後の「YOKYO」だった。同期で鳴らしたゴスペル風のピアノが観客の手拍子を誘うモータウン調のポップナンバー。歌詞は友達の結婚式でスピーチ代わりに歌うつもりで書いたようにも思えるが、この日に限って言えば、サビの<ごめんね 何時も有難う 今日は目出度い 嬉しい 楽しい>という言葉を、声を大にして伝えたかったのだろう。

ところで、レア曲も含む、ここまでの計13曲のセットリストは、いつもセトリを考えている森野ではなく、藤森によるものなのだそうだが、「ノリで提案した」と言いながら、曲のタイトルをアルファベット表記にして、1曲目から順に頭文字を並べると、ある言葉になるしゃれっけと言うか、ちゃめっけが心憎い。そんなセトリの組み方も藤森が言うところの「特別なイベント、実験的な企画」たる所以なのかもしれない。

本編最後の「YOKYO」からの連想なのか、「ここからは余興」と藤森が言ったアンコールは、ニューヨークのふたりをゲストボーカルに迎え、ゆずの「夏色」、GRAPEVINEの「スロウ」、ストレイテナーの「シーグラス」のカバーを披露した。「めっちゃ気持ちいい!」とニューヨークのふたりはSAKANAMONの演奏で好きな曲を歌えることに感激していたが、滅多に聴けないカバーを聴けたという意味では、SAKANAMONのファンにとっても貴重な機会になったはず。

アンコールの冒頭では、「光の中へ feat.田辺由明(マカロニえんぴつ)」をはじめ、「PLUS ONE」シリーズとして発表してきた4曲に新曲の「LOSER」と「ANIMALS」を加えた全6曲収録のDigital EP「OTOMO」を5月14日(水)にリリースして、6月13日(金)から全国9か所を回るワンマンツアー『OTOMO MOTTO TOUR』を行うことも発表した。ツアーファイナルは、7月18日(金)の東京・渋谷CLUB QUATTRO。後日、発表されるという「LOSER」のゲストも気になるところ。対バンツアーを経て、どんどんオープンマインドになってきているSAKANAMONが誰を迎えるのか大いに楽しみにしている。

そして、バースデイケーキのロウソクの火を藤森が吹き消してから、「思い出の曲をみんなで歌いたいと思います」と最後の最後に披露したのは、もちろん「クダラナインサイド」。ご存じのとおり、SAKANAMONとニューヨークが知り合うキッカケになったトークイベントから生まれた、SAKANAMONらしいオルタナロック・ナンバーで、MVにはイベントの主催者だったパンサーの菅とともにニューヨークの嶋佐も出演している。

取材・文=山口智男 写真=ニイミ ココロ

セットリスト

SAKANAMON『UOOO!!~THE BIRTHDAY~』
2025.3.6(THU)東京・キネマ倶楽部

 
01.  Ⓗ ハロ
02.  Ⓐ アリカナシカ
03.  Ⓟ PLAYER PRAYER
04.  Ⓟ PACE
05.  Ⓨ 矢文
06.  Ⓑ 爆弾魔のアクション〜願い〜
07.  ① 幼気な少女
08.  Ⓡ ロックバンド
09.  Ⓣ ただそれだけ
10.   光の中へ
11.  Ⓓ DUAL EFFECT
12.  Ⓐ AGEINST
13.  Ⓨ YOKYO
 
en1. 夏色(ゆず)w/ 屋敷裕政(ニューヨーク)
en2. スロウ(GRAPEVINE)w/ 嶋佐和也(ニューヨーク)
en3. シーグラス(ストレイテナー)w/ 嶋佐和也(ニューヨーク)
en4. クダラナインサイド w/ ニューヨーク

リリース情報

Digital EP「OTOMO」
2025年5月14日(水)
1.LOSER feat.※coming soon
2.4696 feat.meiyo
3.猫の尻尾 feat.蒼山幸子
4.voices
5.ANIMALS

ツアー情報

『OTOMO MOTTO TOUR』
6月13日(金)石川 金沢GOLD CREEK  
6月14日(土)愛知 池下CLUB UPSET
6月20日(金)宮城 仙台LIVE HOUSE enn2nd
6月22日(日)北海道 KLUB COUNTER ACTION
7月4日(金)大阪 Music Club JANUS
7月5日(土)香川 TOONICE
7月12日(土)広島 広島4.14
7月13日(日)福岡 INSA
7月18日(金)東京 SHIBUYA CLUB QUATTRO


前売:¥4,800 / 当日:¥5,300

[モバイルFC会員限定先行]
3月6日(木)21:30〜3月16日(日)23:59まで
※モバイル&スマートフォン専用サイトとなりますのでPC/Macからはアクセスできません。
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