音楽と映像のコラボレーション！東京藝大出身の若手演奏家が、次世代のこどもたちに贈る、新たなアニメーション付きコンサート【特集：こども音楽フェスティバル 2025】Vol.4

世界最大級のこどものためのクラシックの祭典『こども音楽フェスティバル 2025』が、ゴールデンウィークにサントリーホールで開催！国内外の第一線で活躍する多数のアーティストを迎え、様々な年齢のこどもたちにあわせたバラエティ豊かなプログラムをお届けするこのフェスティバルは、“こころ はずむ ひびきあう”という言葉とともに、音楽に触れる感動と、音楽を分かち合う歓びをこどもたちに伝えていく。

フェスティバルの公演を紹介する連載第4弾として、音楽をアニメーション付きでお届けする『ピーターとオオカミ ～アニメーション付きコンサート～』を紹介する。

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『ピーターとオオカミ』は、ロシアの作曲家プロコフィエフが作曲した、こどものための音楽物語だ。勇敢な少年ピーターが、仲間と協力して、突如現れたオオカミを見事に捕まえる。ディズニーアニメのほか、絵本も多数出版されており、ストーリーはご存知の方も多いだろう。
オリジナルとなったプロコフィエフの作品では、語りのナレーション付きで音楽が進行する。ピーターはヴァイオリン、仲良しの小鳥はフルート、アヒルはオーボエ、というように、キャラクター毎に楽器とモチーフとなるメロディーが割り振られているのが特徴だ。

この『ピーターとオオカミ』という作品を活かして、今回の公演では、各楽器の音色や特徴の違いを聴き分けながら楽しんでもらえるよう、演奏だけではなく、楽器そのものについての紹介も織り交ぜながら進行する。１つ１つの楽器を取り上げながら、どんな音色がする楽器なのか、その音色を活かしてどんなキャラクターを演じるのか、丁寧に説明しながら公演を進めていく。今までクラシック音楽に接する機会のなかったご家庭や、ピアノは習っているけれど他の楽器は聴くチャンスがなかったというお子さまには、音楽物語のストーリーを楽しみながら各楽器の特色を感じることができるぴったりのコンサートになるだろう。

実はこの公演、オンラインで視聴できる動画コンテンツがあるのをご存知だろうか。

約4年前、新型コロナウイルス感染症の流行によって外での活動が封じられコンサート開催のままならなかった時期があった。演奏家としての活動が成立しないという危機的状況のなか、音楽を紡ぎ続けるための１つの手段として、企画代表のフルート奏者山本葵を中心に主に東京藝術大学出身の若手音楽家がオンライン上で集まり、演奏を重ねた。
そこに同世代のイラストレーター、アニメーターが加わって完成したのが、この作品である。

動画だからこそ、目に映るキャラクターの動きと、耳から聴こえてくるメロディーが見事に一致する。まさにこの時代だからこその、新しい音楽コンテンツのかたちとなった。

さらにこの作品には続きがある。
演奏者が各自の自宅で収録した音源を、ソニーが開発した「360 Reality Audio」という技術を使って、立体音響バージョンとして作りあげた。

＜360 Reality Audio version＞音楽とアニメーションと朗読による「ピーターとオオカミ」

各楽器の音ひとつひとつに位置情報を付与し、球状の空間に配置することで、まるでアーティストの生演奏に囲まれているような、全方位から音が降り注ぐような立体的な音場を体感することができる。お手持ちのイヤホンやヘッドホンでも疑似体験が可能なので、ぜひ試してみてほしい。狩人たちが向かってくる様子や、オオカミに追われるねこが辺りを逃げ惑う様子など、立体音響によってよく再現されている。通常音声のバージョンと聴き比べをしてみるのも面白いだろう。

このように、コロナ禍をきっかけに、動画コンテンツとしてスタートした作品だが、遂にそのリアル・コンサート版として開催されるのが、今回の『こども音楽フェスティバル 2025』での公演である。

動画制作時のメンバーを中心に、東京都交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、山形交響楽団など、日本各地のオケ等で広く活動する演奏家が13名集まった。指揮は米田覚士が務める。2021年第19回東京国際音楽コンクール＜指揮部門＞入選（奨励賞受賞）以降、NHK交響楽団をはじめとする日本の主要オーケストラに客演し、最も注目されている若手指揮者のひとりである。

これからの音楽界を牽引するであろう若手の音楽家が団結して、次世代の子どもたちに音楽の楽しさを届ける。今回の公演では、演奏はもちろんライブで行われるので、動画を飛び出して目の前で繰り広げられる生の音楽の響きと映像とのコラボレーションをぜひ会場で楽しんでほしい。