大スケールで体感する名作マンガや神回 『少年ジャンプ+展』の熱さをレポート

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「お出迎え描き下ろしビジュアル」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「お出迎え描き下ろしビジュアル」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

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『少年ジャンプ+展 JUMP PLUS 10TH ANNIVERSARY』が2025年4月18日(金)から5月18日(日)まで、東京・寺田倉庫G1ビルで開催されている。

集英社のマンガ誌アプリ『少年ジャンプ+』にとって、今年2025年は10周年のアニバーサリーイヤー。それを記念して、『少年ジャンプ+』の世界を身体中で体感できるように、と企画されたのがこの展覧会だ。会場には『SPY×FAMILY』『怪獣8号』『ダンダダン』などを中心とした40作品以上のイラスト展示や、映像、立体作品などが大集合。『少年ジャンプ+』がこれまで10年の歩みの中で巻き起こした熱狂が、様々な手法で再現されている。

※展示内容に触れているため、展示のネタバレを避けたい方はご注意ください。

10年ぶんの歴史と熱

「連載作品オールバナー」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「連載作品オールバナー」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

展示空間の入り口近くには、これまでに『少年ジャンプ+』で連載されてきた377作品全てのバナーが勢揃い。総員で「いらっしゃいませ!」と迎えてくれているようで嬉しい。

冒頭の映像作品「ジャンプ+展スペシャルシアター」はメディア取材も撮影禁止だったため行ってみてのお楽しみだが、鑑賞時には映像だけでなく、ぜひシアタールームのデザインにも注目してみてほしい。あらゆる物語の世界がスマホ型のスクリーンから始まって広がり、最後はそこに収まっていく。そしてそのスマホが、展示エリアへの扉となっている……という、非常にエモーショナルな演出が施されている。

「ジャンプ+キャラクターウォール」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「ジャンプ+キャラクターウォール」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

展示中盤には、人気キャラたちが「前へ前へ」と進んでいく、本展のための描き下ろし等身大イラストも。それでは、見どころあふれる展示のほんの一部を、愛すべきキャラクターたちと一緒に体感していこう。

※本展はコミックス既刊以降のストーリーを展示する場合があります。アニメ化されていないストーリーも含まれますので、あらかじめご了承ください。

いざ、『少年ジャンプ+』の世界へ

「ジャンプ+ロード」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「ジャンプ+ロード」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

『少年ジャンプ+』各作品の、記念すべき第1話から名シーンを集めた「ジャンプ+ロード」を進んでいく。両サイドからも上からも展示に囲まれて、作品世界の中に飛び込んでいくような感覚だ。

「ジャンプ+ヒストリー」「第1話カラーページウォール」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「ジャンプ+ヒストリー」「第1話カラーページウォール」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

左手は『少年ジャンプ+』の累計作品数やアニメ化歴、受賞歴などを網羅したヒストリーのコーナー。そして正面が「第1話カラーページウォール」。作家コメントとともに、連載スタート時のカラーページをアクリル額装した色鮮やかなコーナーである。

「第1話カラーページウォール」より (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「第1話カラーページウォール」より (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「新連載」など、掲載時のアオリ文も一緒に展示されているのが当時のワクワク感を蘇らせて心ニクい。よくよく見ると、『ラーメン赤猫』だけ「新装開店」っぽく「新“装”連載」になっているところに編集部のこだわりを感じるような。

『SPY×FAMILY』エリアで可愛さに悶絶

会場には『少年ジャンプ+』の数ある名作の中から『SPY×FAMILY』『怪獣8号』『ダンダダン』の3作品に特設エリアが用意されている。まずは『SPY×FAMILY』のエリアを見てみよう。

『SPY×FAMILY』エリア (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

『SPY×FAMILY』エリア (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

壁には額装された完成原稿が多数。合間に「特に心に残っているエピソードは?」「苦労した点は?」など、Q&A形式で作者のコメントが散りばめられ、見応えのある展示となっている。またこのエリアは、来場者がアーニャの友達(アーニャと同じ目線の高さ)になった気分で、フォージャー家やイーデン校を探検していくというコンセプトで構成されている。そのため、テレビやらいろんなものがちょっと大きいのが面白い。

「ボンド&アーニャフォトスポット」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「ボンド&アーニャフォトスポット」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

来場の記念に、フォトスポットでアーニャ&ボンドと記念撮影をどうぞ。アーニャのセリフの吹き出しが用意されているので、それを持つのもおすすめだ。ちなみに、このほかにもイーデン校の教室でアーニャやダミアンたちと一緒に着席して撮影できるフォトスポットもあった。

展示風景 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

展示風景 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

美術室をイメージしてアーニャの百面相を展示した一角が可愛すぎて、撮影しながらついついニッコニコになってしまった。

「アーニャらくがき黒板」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「アーニャらくがき黒板」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

本展を記念して『少年ジャンプ+』連載作家7名が描き下ろした、黒板の落書き風のアーニャもあるのでお見逃しなく。どのイラストも、驚くほどアーニャの解像度が高い。

最強に絵になる『怪獣8号』エリア

『怪獣8号』エリア (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

『怪獣8号』エリア (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

こちらは『怪獣8号』にフォーカスしたエリア。キャラクターごとの名シーンをピックアップした原稿が、迫力ある構成で迫ってくる。展覧会会場である寺田倉庫G1ビルの床や天井が、作品の雰囲気にバシッとはまっていて気持ちいい。パネルの陰からキャラクターや怪獣たちが今にも飛び出してきそうである。

『怪獣8号』エリア「防衛隊員の日常」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

『怪獣8号』エリア「防衛隊員の日常」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

右手の壁面には「防衛隊員の日常」のコーナーが。ここでは『怪獣8号』本編の合間に登場するカラーイラスト「怪獣百景」が作家コメントと共に展示されている。コメントには本展が初公開となる情報もあるそうなので隅々までチェックしよう。

『ダンダダン』エリアで展覧会は加速する

「ダンダダンができるまで」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「ダンダダンができるまで」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

『ダンダダン』のエリアでは、作者のデスクを再現した展示や、作品の制作過程とインタビュー音声を組み合わせたショートムービーを見ることができる。アナログ原稿を描きながら「とにかく楽しい」と語る作者の姿が眩しく、ポジティブなエネルギーに満ちた映像なのでぜひフルで鑑賞してみてほしい。

龍先生のデスク (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

龍先生のデスク (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

デスク上には土偶のミニフィギュアや、インスピレーションの元だという画集が。

『ダンダダン』エリア (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

『ダンダダン』エリア (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

もちろん、キャラクターごとの魅力を堪能する原稿展示も。そして通常ならスマホや単行本のサイズでしか見られない見開きページを、実際の原稿に近いサイズで鑑賞できる「超密度見開き原稿ウォール」は特にイチオシしたい鑑賞ポイントだ。圧巻の画力を隅々まで味わうことができて、実際に会場へと足を運んでよかったと思える展示だった。

「ターボババア進撃フォトスポット」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「ターボババア進撃フォトスポット」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

思わずニヤリとしてしまう、「ターボババア進撃フォトスポット」では、一緒にダッシュするポーズで決めてSNSに投稿したい。

忘れられない瞬間をもう一度

「ジャンプ+バトルウォール」「ジャンプ+トキメキウォール」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「ジャンプ+バトルウォール」「ジャンプ+トキメキウォール」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

以上3作品にフィーチャーしたエリアのほか、『少年ジャンプ+』の作品の中からとっておきの「バトルシーン」「ときめきシーン」をセレクトしたコーナーも。どちらも心拍数が上がる展示だ。

「ジャンプ+神回ウォール」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「ジャンプ+神回ウォール」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

そしてワクワクはそれだけでは止まらない。「ジャンプ+神回ウォール」は、連載作品のうち、衝撃や感動で読者コメント欄が大いに盛り上がった “神回” と呼ばれるエピソードを集めたコーナーだ。各話に寄せられた読者コメントの一部も一緒に展示され(もしかしたら自分のコメントも……?)、自分が読んだときの興奮を追体験したうえで、同じように興奮した誰かの熱で、楽しさが増幅していくのを感じる。スマホやコミックスで読んでいるときはひとりでも、みんな同じく『少年ジャンプ+』っ子として繋がっているのだ! と胸が熱くなった。それに、うまいこと言っているコメントもあって面白い。

このほか、これまで『少年ジャンプ+』に掲載された読切作品約1,500本の中から、厳選された話題作30本を紹介する「ジャンプ+傑作読切ウォール」も。気になった作品は、タイトル横のQRコードを読み込めば展覧会後に自分のデバイスでじっくり読むことができる親切設計だ。

心を揺さぶる七色のラインナップ

「ジャンプ+の1週間大集合」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「ジャンプ+の1週間大集合」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

展覧会のクライマックスでは、「ジャンプ+の1週間大集合」として、各曜日ごとの連載作品の中から2つをピックアップし、そのカラーイラストや複製原画を展示するエリアが広がっている。それぞれの曜日の “顔” を眺めていると、『少年ジャンプ+』はいろんな作品が集まっているのだとしみじみと実感。『少年ジャンプ+』のマンガ誌としての総合力や間口の広さを改めて思い知り、無料アプリであることに感謝を捧げたくなった。

同・火曜〜水曜日ゾーン (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

同・火曜〜水曜日ゾーン (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

最後に、たくさんのありがとうを

「いいジャンウォール」へ、いざ。 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「いいジャンウォール」へ、いざ。 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

展覧会の最後には、『少年ジャンプ+』で漫画を読んだときと同じように、コンテンツへの感謝の気持ちを行動で示そう。「面白かったらいいジャンしてね!」はアプリで読了後にポップアップするお約束のフレーズだが、本展ではそれが「楽しかったらいいジャンしてね!」になっている。スタッフさんから「いいジャンシール」をもらったら、お気に入りの作品に貼って帰ろう。

「落書きアートウォール」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

「落書きアートウォール」 (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

その対面には、本展の来場者に向けて『少年ジャンプ+』連載作家たちが描き下ろした直筆イラスト&メッセージが展示されている。制作陣と鑑賞者たちが感謝の気持ちとエールを交換し合うような、実にハッピーな締めくくりだった。

グッズもいいジャン!

展覧会オリジナルグッズ「少年ジャンプ+スーベニアBOX」(税込5,940円) (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

展覧会オリジナルグッズ「少年ジャンプ+スーベニアBOX」(税込5,940円) (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

本展では、豊富に用意されたオリジナルグッズも見逃せないポイントだ。特に気になるのは「ジャンプ+スーベニアBOX」。オリジナルTシャツとポストカード、ステッカーなどをランダムで詰め合わせた “ピザの箱” である。

展覧会オリジナルグッズ「アクリルキーホルダー」(税込880円) (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

展覧会オリジナルグッズ「アクリルキーホルダー」(税込880円) (C) 少年ジャンプ+10周年/集英社

曜日ごとの作品をあしらった、スマホ型のアクリルキーホルダーも可愛い。すぐにピンとこないのがもどかしいが、表示されている時刻にも何か意味があるのかも……。

それにしても、驚くべき密度・熱量である。隅から隅までじっくり鑑賞していったら、一体どれだけ時間がかかるのだろうか? 『少年ジャンプ+』という “ハコ” そのものの魅力を存分に楽しめる、祝祭感に満ちた展覧会だった。

『少年ジャンプ+展 JUMP PLUS 10TH ANNIVERSARY』は、2025年4月18日(金)から5月18日(日)まで、東京・寺田倉庫G1ビルにて開催。なお本展は全日程日時指定制で、は完売次第販売終了となる。詳しくは公式サイトで確認を。


文・写真=小杉 美香

イベント情報

少年ジャンプ+展 JUMP PLUS 10TH ANNIVERSARY
日程:2025年4月18日(金)~5月18日(日)※会期中無休
会場:寺田倉庫G1ビル(〒140-0002 東京都品川区東品川2丁目6−4)
時間:10:00~18:00(17:30最終入場)
※4月27日(日)、5月18日(日)および金・土・祝前日は開館時間を延長し10:00~20:00(19:30最終入場)
入場料金:一般・大学生2,000円/中学・高校生1,500円/小学生1,000円/グッズ付き4,800円
※料金はすべて税込です。
は全日程で日時指定制です。日時指定制のため、完売する可能性があります。
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