新世代キャストが新しい風を吹かせる! ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』6年ぶりに上演~会見&ゲネプロレポート(城田優ver.)
-
ポスト -
シェア - 送る
会見レポート
ゲネプロ後に行われた初日記念会見には、クロロック伯爵役の山口祐一郎、城田優、サラ役のフランク莉奈、中村麗乃、アルフレート役の太田基裕、寺西拓人、アブロンシウス教授役の石川禅、武田真治ら8名が登壇した。
まず「初日を迎えるにあたっての今の気持ちや意気込みは?」とレポーターから問われたキャスト陣。日本初演からクロロック伯爵をひとりで演じ続けてきた山口は、牙がついているため聞き取りづらくなることを断りつつ「この作品はようやく成人式(日本初演から約20年)を迎えました。いい婿が来ないかなあと思っておりましたが、ようやく来ました! こんなにいい息子(城田)ができて私は幸せです」と何とも嬉しそうに語った。
続いてゲネプロを終えたばかりの“息子”城田は「20年続いた作品のシンボルとも言えるクロロック伯爵というキャラクターを、自分なりに精一杯、日々向上心を持ち続け、全うし、最後まで演じられれば幸いです」と真摯に述べた。それに対してレポーターが「(今日のゲネプロ公演)素晴らしかったです」と伝えても頑なに「いえ、そんなことは」と謙遜する、自分に厳しい城田だった。
長年本作を客席から観ており、憧れの作品だったというフランクは「やっと初めてこの舞台に立たせていただける喜びと、それをお客様と共有できる楽しみな気持ちでいっぱいです」と笑顔を見せた。
同じくサラ役を務める中村は「母と父が名前を決めるときに、“レノ”と“サラ”という名前で迷ったそうなんです。今回はサラだった私をお見せできるので、楽しみにしていただけたらなと思います」と自身の名前のエピソードを明かした。
続いてアルフレート役の太田は「劇場空間にお客様が入ってさらに濃くなっていく作品だと思います。このあとお客様と互いに共有しながら、エンターテインメント要素たっぷりの素敵な作品をお届けしたいです」と意気込む。
一方の寺西は「僕も親に聞いたら、名前の候補が“アルフ”か“タクト”だったそうなので……」と先程の中村の名前のエピソードに乗っかると、すかさず城田が「これ、ニュースの見出しになるよ」 と冷静にツッコむ場面も。
「実はこの作品はもう二度とお目にかかれないかと思っていました」と話し始めたのは、2009年からアブロンシウス教授役を務める石川だ。出演者全員の客席降りがあり、キャストと観客の距離が近いことも魅力の本作。コロナ禍以降初めての上演となる今回、「一回一回、みなさまとこうやってお会いできる機会があることを幸せに感じながら、最後までやっていきたいと思います」としみじみ語った。
武田はアブロンシウス教授役の初演キャストが市村正親だったことに触れ、「僕の個人的な心の師匠である市村正親さんが演じていた役をやらせていただける喜びを感じております」と、喜びを噛み締めた。
その後は、Wキャストの相手とのエピソードがそれぞれから語られた。
まずは今回初めてWキャストとなったクロロック伯爵役の二人。山口は自身を“消え入る前のロウソク”に例えて笑いを取りながら、「これから宇宙が始まるエネルギーに満ちた息子! 『ああなるほどな〜』と思えるような表現を、この劇場空間でみなさまにお楽しみいただけると思います」と城田を絶賛。続けて「これで私は次から縁側でお茶を飲みながら、息子の活躍をゆっくり眺めることができます」とにんまり。
城田は「一緒にお茶を飲みましょう」と応えつつ「僕が芝居をしたときに、初めて(山口が)客観的に自分の役を見ることができたそうで『面白い発見があった。ありがとう』とおっしゃっていただけました。お役に立てて良かったです」と稽古場での思い出を振り返った。
サラ役の二人は、まるで本当の姉妹のような仲の良さ。フランクは中村を「すごく守ってあげたくなる存在」、中村はフランクを「台本を読んだときに想像していたサラの像にピッタリ!」と互いにコメント。
アルフレート役の太田は「タクティは……」と、以前決めたけれども結局呼んでいなかったあだ名で寺西を呼び(実際は“てら”と呼んでいたそうです)、二人で稽古場や楽屋でお菓子を共有していることを明かした。
寺西は「もっさん(太田)は歌っているときに何かが憑依しているような、目がキマっている感じで、僕には真似できない。それぞれの個性があるアルフレートになっているんじゃないかなと思います」と、Wキャストの醍醐味を語った。
続いて、クロロック伯爵と同じく今回初めてWキャストとなったアブロンシウス教授役。この役は段取りが非常に多いそうで、武田は「歴代キャストが現役で演じて見せてくれるという理想的な形で稽古を進められました。(石川)禅さんがいなかったら僕の初日は開かなかったかもしれないくらい。本当に感謝しております」と大感謝。
石川も自身が市村正親から役を引き継いで初日を迎えたときを振り返り「自律神経がおかしくなって、汗が止まらないわ、『ここは誰? 私はどこ?』という状況でしたので、彼の気持ちがとてもよくわかるんです。二人で頑張りたいと思います」と武田に共感を示した。
会見の最後は山口から「 2025年もいろんなことがありますけれど、みなさまに一番元気をお届けすることができるミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』! ぜひ劇場に足をお運びください」と、力強い一言で締めくくられた。
東京公演は東京建物Brillia HALLにて5月31日(土)まで。その後は愛知・大阪・福岡と全国公演が控えており、7月30日(水)に博多座で大千穐楽を迎える予定だ。ヴァンパイアたちによるめくるめく陶酔の世界へ、足を踏み入れてみてはいかがだろうか。
取材・文・撮影=松村蘭(らんねえ)
公演情報
音楽:ジム・スタインマン
演出:山田和也
振付:上島雪夫
サラ:フランク莉奈・中村麗乃(Wキャスト)
アルフレート:太田基裕・寺西拓人(Wキャスト)
シャガール:芋洗坂係長
レベッカ:明星真由美
ヘルベルト:ジュリアン
マグダ:青野紗穂
クコール:駒田一・伊藤今人(Wキャスト)
ヴァンパイア・ダンサー=伯爵の化身:佐藤洋介・加賀谷一肇(Wキャスト)
アブロンシウス教授:石川禅・武田真治(Wキャスト)
※クコール:伊藤今人、アブロンシウス教授:石川禅は東京公演のみ出演
2025年5月10日(土)~31日(土)東京建物 Brillia HALL
2025年6月7日(土)~15日(日) 愛知・御園座
2025年7月4日(金)~12日(土)大阪・梅田芸術劇場メインホール
2025年7月19日(土)~30日(水)福岡・博多座