伊地知 潔(ASIAN KUNG-FU GENERATION)がドラムイベント『360°Panorama Drum Performance 2025』を3年ぶりに開催
伊地知 潔(ASIAN KUNG-FU GENERATION) 撮影=福家信哉
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの伊地知 潔によるスペシャル・ドラム・パフォーマンス、『360°Panorama Drum Performance 2025』が、2022年から3年ぶりとなる今回、前回開催した名古屋、東京を含む東名阪の3公演が決定した。観客がドラムセットをぐるりと囲む会場で、伊地知のドラミングを間近で堪能できるこのイベント。ドラム演奏だけではなく、トークや質問コーナーもあり、ファンにはたまらない内容となっている。今回4回目を迎える本イベントについて、3年ぶりの開催にむけての経緯や見どころを語ってもらった。
伊地知 潔(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
━━今回で4回目を迎える『伊地知潔 360°Panorama Drum Performance』ですが、どんな内容のライブなのか教えてください。
始めて開催したのは2019年。最初からあまりきちんと内容を決めていなくて、だんだん今の形になっていきました。ステージではなく、フロアのど真ん中にドラムセットを置いて、お客さんは360°どこからでもドラムパフォーマンスが見られるというイベントです。
━━どんな形でどんな曲を演奏するんですか。
基本的には、アジカンの曲。ドラム以外の音源をながして、ドラムだけ生で演奏します。ライブだと、ドラムはいつも後ろにいるので、背中側や近くで見ることってあまりないですよね。でもこのイベントではとにかく近くでドラムが見れられる。「近さ」がウリです。さらに、お客さんと一緒に盛り上がるディスカッション・質問コーナーもあります。お客さんにマイクを回して質問してもらって。楽曲のリクエストがあれば応えます。「この曲のこのパターンどうやってるんですか?」というような質問に答えて、やってみることもありますよ。
━━このイベントに来られるお客さんは、ドラム経験者も多いのですか。
いや、ドラム経験のない人がほとんどです。
━━なのにそんなテクニカルな質問も来るんですね。ファンの人はよく聴きこんでいてさすがですね。
「〇〇のBメロやってください!」というふうにリクエストされることも。でも大体叩けないんですよ。忘れちゃってるから(笑)、でも叩けない場合もウケけるんですよね。そういうときは、その場でiPhoneでサブスクにつないで、その曲をかけてみて、「ここね!?」と確かめて、「じゃあ叩いてみよう」と。そういうのは毎回すごく盛り上がりますね。
━━ドラムを演奏するだけではなくて、結構お客さんとの交流があるんですね。
あらかじめ決められたものをやるのではなくて、その場の空気を読みながら、お客さんと一緒に作り上げていく感じです。いつものライブは、ある程度セットリストが決まっていて、その通りにやりますが、このイベントは、セットリストもその場で決めます。ハードディスクに楽曲のデータを入れて準備はしていくのですが、演奏する曲はお客さんと話しながら決めることが多いです。「今日のお客さんはおとなしい感じだから、しっとりした曲をやろうかな」と会場の雰囲気に合わせて曲を決めることも。MC中もお客さんとずっと話しています。
━━コロナ禍の2020年開催時は、配信もしていたんですよね。
はい。配信もやったことがあるんですが、配信が向いてないイベントだなと思いました。お客さんとの交流が楽しいので、やっぱりリアルイベントが合うなと。
伊地知 潔(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
━━今回は、3年ぶりの開催とのことですが、久しぶりに開催することになった経緯は。
今年、インドネシアのジャカルタでこのドラムイベントをやる機会があったんです。今、ジャカルタでカラオケがブームらしくて。クラブやライブハウスに集まって、大きなカラオケの画面に歌詞を出して、みんなで大合唱するというのが流行っているらいんです。最初は、そこで歌ってほしいと招かれたんですが、僕は歌えないので(笑)。「ドラム演奏ならできますよ」と話しをしたら、ぜひやってほしいと。実際にインドネシアに行ってドラムイベントをやってみたら、すごく盛り上がったんです。その後、日本のお客さんからも「日本でもやってください」という声をいただき、背中を押されました。
━━リピーターのお客さんが多いですか。
多いかもしれません。僕より知識がありそうなガチのドラマーさんもたまにいますよ。そういう人にはステージに上がってもらって、叩いてもらうこともあります。すごく自由にやっています。
━━ドラムがうまい人も見に来るとのこと。お客さんにかなり近い距離で演奏を見られるというのは、どんな感覚なんですか。緊張はしますか。
最初の頃は、相当緊張しましたけど最近はもう慣れてきましたね。僕の場合ですが、憧れのドラマーがライブ中に、曲を覚えていなかったり、間違えたりすると「なんかいいもの見たな!」と思うんですよ。みんなもそう思って見てくれてるといいな……と思っています。力を抜いて、ありのままの姿を見てもらおうと。
━━今まで3回開催してきた中で、印象的に残っているシーンはありますか。
1度、「子どもドラム教室」をやったことがあって。子どもたちにドラムを教えるのは楽しかったですね。その場でどんどんうまくなる子や最初からできてしまう子もいて。子どもたちとのコミュニケーションは楽しかったです。ドラムって、日本では、大きな音を出せる場所が少ないのでプレイヤーが少ないんです。
━━確かに。都会の人はスタジオを借りなければならないし、ドラムをはじめるのは、ハードルが高いかもしれません。ドラムを叩いてみたいけど、環境が整っていなくてなかなかトライできない人も伊地知さんのイベントに来たら、ドラムを体験できるかも?
最初はファンとしてこのイベントに来てくれた人が、何度か足を運ぶうちに、このイベントがきっかけでドラム始めたという人も。その人たちが本格的な質問をしてくれることもありました。
━━そんなふうに、ドラム人口が増えていくとうれしいですよね。ドラムに関する質問以外にも質問しても良いのでしょうか。トークコーナーもあるとか。
料理のこととか、ドラムと関係ない質問をする人もいますよ。中にはボケて笑わせる人も(笑)。みんなでイベントを盛り上げようとしてくれるんです。お客さんがボケて、僕がいつもツッコんでいます。今回もどんな質問がくるがドキドキしています。みんなもう質問を考えていると思いますよ。本当に毎回大盛況でありがたいです。
伊地知 潔(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
━━このイベントのためにどんなことを準備していますか。
音源データの編集をするのが大変です。ドラムを抜いたデータを作って準備しています。リクエストは何が来るかわからないので、最近の曲とかリクエストが来そうな曲を予想して。はずれたらはずれたでおもしろいのですが。
━━用意していない曲のリクエストが来た場合は、どうするんですか。
そういう場合はiphoneをつないで(笑)。
━━iphone大活躍ですね!(笑)。このイベントでお客さんと触れ合うことが、伊地知さんの音楽活動に影響を与える部分もあるのでしょうか。
かなりスキルアップになっています。「みんなはこんなところが気になってたんだ!」と。普段のライブ中に、お客さんが言っていたことを思い出しながら叩くこともあります。プレイアビリティが変わってくるんです。このイベントで、お客さんの気持ちを知ることができてうれしいです。
━━本当に、伊地知さんのドラム演奏を近くで見られる貴重な機会だと思います。最後にイベントに来たことがある人にもない人にもメッセージをお願いします。
参加型のイベントなので、みなさんぜひ参加してほしいです。喋りたくない人は喋らなくても大丈夫ですが、参加したい人はマイクを取って、一緒に盛り上げていただけるとうれしいです。音がめちゃくちゃ大きいので耳栓があるといいかもしれません(笑)。
伊地知 潔(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
取材・文=岡田あさみ 撮影=福家信哉
イベント情報
開催日時:2025年6月20日(金)19:00/19:30
開催日:2025年6月21日(土)17:00/17:30
開催日時:2025年6月23日(月)19:00/19:30