ウィーン・フィルの夏の風物詩『シェーンブルン・サマーナイト・コンサート』、今年はトゥガン・ソヒエフ指揮で開催 ライヴ盤はソニークラシカルからリリース
日本でも高い人気を誇るウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が、元旦開催のニューイヤー・コンサートと並んで大切にしている『シェーンブルン・サマーナイト・コンサート』。ユネスコの世界遺産にも指定されているシェーンブルン宮殿を舞台に行われるオープンエアの無料のコンサートで、一般に広く開放され、広大な芝生でくつろぎながらウィーン・フィルの演奏を楽しめるウィーン市民にとっての初夏の風物詩。今年は2025年6月13日(金)午後8時45分から開催される。
このコンサートは毎年世界的な指揮者が登場し、その人選にも注目が集まるが、今年は、北オセチア出身のトゥガン・ソヒエフ(1977年生まれ)が初めて同コンサートのタクトを執る。ソヒエフとウィーン・フィルとの初共演は2009年にさかのぼり、その後2013年、2016年、2019年、2022年と3年おきに共演を重ね、その度に格式ある定期演奏会でも指揮している。最近では2023年秋の日本を含むウィーン・フィルのアジア・ツアーを任され、オーケストラからの篤い信頼を勝ち得ている。またソヒエフはNHK交響楽団への毎年の客演によって、日本の音楽ファンにも馴染み深い存在だ。
今年はフランスの作曲家ジョルジュ・ビゼー(1838-1875)の没後150年にあたり、その代表作「カルメン」と「アルルの女」から3曲が演奏されるほか、ウィーン・フィルの初代指揮者オットー・ニコライの邸宅を模様替えして2000年に設立された博物館「音楽の家」創設25年を記念して「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲も含む14曲が予定されている。メトやウィーンなど世界的な歌劇場で引っ張りだこの名テノール歌手、ピョートル・ベチャワが「カルメン」「トゥーランドット」「伯爵家令嬢マリツァ」のアリアを披露し、さらに現在来日公演中のウィーン少年合唱団が同コンサートに初めて参加することも大きな話題となっている。
暮れなずむシェーンブルン宮殿の前に設けられたステージで、全力投球するウィーン・フィルの熱演が初夏の夜を華やかに彩るコンサート。その模様を音声と映像で完全収録した『ウィーン・フィル・シェーンブルン・サマーナイト・コンサート2025』は、ソニークラシカルからワールドワイドで発売・配信される予定だ。