ピアノ四重奏の真髄に迫る『ザ・ピアノカルテット・セレクションズ』スタート、ピアニスト西岡沙樹からコメント到着
西岡沙樹
2023年、『西岡沙樹 ピアノリサイタル -フォーレ、移ろう色彩』で好評を博したピアニストの西岡沙樹が、7月28日(月)からあいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールで行われる 『ザ・ピアノカルテット・セレクションズ』に登場する。これはコジマ・コンサートマネジメント(KCM)による全3回のコンサートシリーズ。モーツァルト、シューマン、ブラームス、フォーレが遺したピアノ四重奏曲全曲を取り上げるプログラムだ。
西岡沙樹はそんな風に語っている。今回は松浦奈々(ヴァイオリン)、小峰航一(ヴィオラ)、北口大輔(チェロ)という大阪・東京のオーケストラのトッププレイヤーとの初共演でもある。
ピアニストというのは普段とても孤独なので、室内楽に取り組める機会はとても大切なんです。ピアノ以外の楽器では私はチェロが大好きなので、学生時代にはチェロとのデュオやトリオも経験しましたが、今回はオーケストラの第一線で活躍するメンバーとの共演。その音に耳を傾けながら響きを創り上げていく作業をとても楽しみにしています。
フォーレの作品には、この音楽はどこへ行こうとしているんだろう、と思わせられるような不思議な響きがたくさん出てきます。それは私にとって一番惹かれる部分でもあるんですが、そのために演奏する時には自分の中に設計図を持つようにしているんです。設計図通りに弾こうというわけではなくて、それがあることでむしろ、いろいろな対応が可能になるんですね。シューマンやブラームスでもそれは同じ。特にカルテットではこの設計図が、より大切になって来ると思います。
ピアノ四重奏は多くの作曲家が腕を振るった傑作の宝庫である。そこには三重奏とも五重奏とも異なるピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの対等な関係がある。しかし、弦楽四重奏のように常設の団体が数多く存在するジャンルではなく、その魅力が集中的に紹介される機会は少ない。今回の『ピアノカルテット・セレクションズ』は古典から近代に至るその奥深い世界に触れると同時に、気鋭の演奏家たちの瑞々しい演奏を聴く、稀有な機会となるに違いない。
モーツァルトの作品はピアノ1台で弾いていてもカルテットを弾いているような楽しさがあるんですが、それぞれの楽器の息の合わせ方などに注目して聴いていただければ面白いと思います。シューマン、ブラームスの頃になると響きの幅が全然違っていて、主張する音の数が圧倒的に多くなるし、それがフォーレになると主題と低音域の、より意識的な関係が感じられるようになってくる。そうした時代的な変化も楽しめますし、また1人の作曲家の中の作風の変化も感じていただけるプログラムです。それぞれの作品の魅力を明確に表現できたら、と思っています。