「子どもから大人まで、誰もが笑顔になれる作品にしたい」~いとうせいこう・上田堪大・高橋怜也が語る『ビットワールド THE STAGE』の魅力
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(左から)上田堪大、いとうせいこう、高橋怜也
2007年に放送をスタートし、前身の『天才ビットくん』を含めると今年25周年を迎えるNHK Eテレの人気番組『ビットワールド』。視聴者参加型のユニークな番組がテレビを飛び出し、同じ空間で体験できる『ビットワールド THE STAGE』として2025年7月4日(金)より東京・サンシャイン劇場にて上演される。
2007年から『ビットワールド』に出演しているいとうせいこう、舞台オリジナルキャラクターとして参加する上田堪大と高橋怜也にインタビューを行った。
『ビットワールド THE STAGE』
最新技術を駆使して作ってきた番組が生の舞台に?
ーー出演が決まった時の思いについてお伺いしたいんですが、いとうさんが一番いろいろ語れるかと思うので、まずは上田さんと高橋さんからお願いします。
上田:僕らからですか(笑)!?
いとう:知りたい。僕も経緯を知らないから。
上田:聞いた時は「そもそも、『ビットワールド』を舞台化するってどういうことだろう?」という気持ちが大きかったです。最初にお話しいただいたのが1年以上前だったので、正直その時は全然ピンときていなくて。
いとう:そうだよね。僕はその時まだ何も聞いてないもん(笑)。
いとうせいこう
上田:公演が近付くにつれて、出演するんだという実感がようやく湧いてきています。決まった時は「未知」でしたね。テレビ番組に出演されている皆さんと、舞台をやっている僕らで一体どんなものを作れるのか、ドキドキと楽しみがありました。
高橋:シンプルに嬉しかったです。普段は2.5次元舞台を中心に出演しているので、オリジナルキャラクターを演じた経験が少ないんです。そういう意味で新鮮さもあって嬉しいですし、『ビットワールド』という長年愛されている番組の舞台化に携わり、新たな挑戦ができるのはありがたいなと思います。
ーーいとうさんは『ビットワールド』が舞台になると聞いてどう感じましたか?
いとう:僕が舞台化の話を聞いたのがいつだったかは覚えていないけど、上田くんよりは後ですね。
一同:(笑)。
いとう:僕はテレビの方で25年間『ビットワールド』をやってきましたが、世界で最先端のデジタル技術を使って作ってきました。デジタルの最先端を続けてきたら、行き着く先が身体になっちゃったのか、面白いなと思いましたね。ますますAIの世の中になっているのに、それを中心にせずにやってやるというスタッフのアイデアと心意気がすごくいいと感じました。でも、この年でこんなに歌ったり踊ったりするとは思っていませんでした(笑)。稽古場では彼ら(上田・高橋)がセリフも殺陣も入っているし、ダメだったら教えてくれる。きちんとやれる人たちと一緒で良かったなと思っています。そもそも僕は舞台といってもコントしかやったことがないので、一つの役を長く演じることがないわけです。みんながうまくバックアップしてくれてなんとかなっていますね。まあ「介護の舞台」だね(笑)。「みんな歳をとっても頑張れ!」という僕からのメッセージです。
一同:(笑)。
ーー高橋さんからオリジナルキャラクターを演じる新鮮さというお話が出たので、役作りについてと演じる役の印象を教えてください。
上田:僕が演じるダイゴはIQ200。最初は厳密に演じようと思っていましたが、違う世界につれてこられた『ビットワールド』のみんなを助けにくるポジションでもあるし、そこから物語が広がっていく上で、あまりかっちりしすぎもよくないのかなと。それと、僕の中でIQがすごく高い方って、頭がいい故に独特な考え方や行動をする人が多い印象があって。ふと街中でも、目につく人とか独特なムーヴをする人に目がいってしまいすね(笑)。あとは、僕らが演じる舞台オリジナルキャラクターの根本にあるのは「『ビットワールド』が好き」という思いなので、それは大事にしようと思っています。子ども心を大切に稽古に励んでいますね。
上田堪大
いとう:すごいなあ。(高橋に)そうなの?
高橋:全く一緒です。
一同:(笑)。
高橋:僕が演じるユタカはすごく明るいキャラ。僕自身はそんなにクールではないんですが、いただく役はクールなことが多いんです。今回明るいキャラに挑戦していますが、めっちゃ辛いです。明るいキャラって難しいなと思います。
いとう:でも、毎日ぐんぐん変わっていってるよ。最初はバカすぎてどうしようもないキャラって感じだったけど、今はバカで可愛いキャラになってる。大したもんだなあって見てばっかりだから、僕は自分のセリフを覚えられてないんだよね。
一同:(笑)。
いとう:殻を破れていると思うよ。
高橋:嬉しいです。
上田:いいなあ。せいこうさんにこんなこと言ってもらえたらより頑張れるよね。
いとう:作中でピンキーマカロンを応援するシーンでも、「こいつこんなことするんだっけ?」と思うくらいデカい声で応援してるからいいなあって。お客さんからも愛されるキャラだと思う。
高橋:最初はやっぱり緊張もあったんです。堪大くん以外皆さん初めましてだし、どうしようって。
高橋怜也
上田:それも、25年続いてきた番組。積み上げてきたものの厚みが違うじゃないですか。責任を感じるしプレッシャーもありました。
いとう::本当に大変だと思う。お客さんは『ビットワールド』を知っている人が多いだろうし、25年見てくれている人もいるかもしれない。もちろん今までの二人のファンも多いだろうけど。番組に出演している僕らは、出ていけばなんとなく「知っている人だ」となるけど、そうでないキャラとして登場して短い時間で愛されるのはすごく難しいことだから。でも、日々の稽古で、僕にとっては「ずっと一緒にやってた奴ら」みたいな感じになってきてるからね。
上田・高橋:本当ですか?
いとう:だって、適当なことを言ってもなんとかしてくれるし、立ち位置を間違えても後ろからスーッと移動させてくれるから(笑)。それが嬉しいし、もし本番でそんな場面があっても、お客さんも「そうだよね、一緒にやってる仲間だもんね」って納得しちゃうような空気が生まれていると思います。
ーーテレビ番組と舞台におけるキャラクターの違いなどはありますか?
いとう:僕はそのままやればいいというか、番組と違うことをしてしまうとお客さんが見た時に受ける印象が変わってしまう。『ビットワールド』のキャラを舞台に移行させたらいいので、そこはそれほど大変ではありません。その中で舞台ならではの新しい一面として歌や殺陣があると思うんですが、まさか64歳になって殺陣をやるとは思わないですから(笑)。でも裏方さん達がレベルを下げつつそれなりに見えるように工夫してくれています。昔「クレージーキャッツ」の植木等さんが、周りがビシッと踊っている中で一人だけ緩くやって決めるところだけピタっと決めるということをしていたんですが、コメディアンとしてはそのスタイルが一番かっこいいと思うんです。今回そういうポジションをくれたので、そのぶんみんなをよく見て決めるのを心がけています。頭で考えるのは簡単だけど、さあできるでしょうかというところですね。
子どもたちのアイデアを盛り込んだ“ビットらしさ”も
ーーお稽古の中でどんどんよくなっているということですが、稽古場の様子はいかがでしょう。
いとう:大変じゃない? 二人が一番注文をつけられてるよね。
上田:リクエストはそうですね。特に怜也は大変そう。
高橋:稽古序盤は特に大変でしたね。僕のアプローチが演出の白鳥(雄介)さんの考えと違っていたので、何度も変えて試しながら作っていきました。
いとう:上田くんと同じタッチだとダメだから、どう変えていくかはかなり考えてたよね。でも今ではチャラさが身についてるよ(笑)。
いとうせいこう
高橋:やっと染み込んできました。
いとう:チャラくて嫌な奴じゃなくて、チャラい愛されキャラとしてすごくいい感じになってるよね。上田くんはしっかりした愛されキャラを作らないといけないから、それも大変だよな。
上田:そうですね。作品をよくするためのセリフ変更や修正も多くて手一杯になりがちなんですが、そこに対応しつつ、役作りは本当にこれでいいのか考えて挑戦したいです。大変だけど、稽古場がずっと明るくて笑いが絶えないですよね。『ビットワールド』のみなさんが作り上げてきたものが、僕らが普段活動している舞台というフィールドと融合してあたたかい空気を生み出しているんだと思うし、僕らも居心地良くいさせてもらっています。あと、僕は今回アドリブが一個もないんですよ。正直一番文句を言いたいのはそこです(笑)。
いとう・高橋:そうなの?
上田:(脚本・総合演出の)川尻(恵太)さんはコメディの方。今回僕はすべてをゆだねて、どこまでキャラを崩されちゃうんだろうと薄々期待していたんです。でも全くなかった! めちゃくちゃにして欲しかったのに!
いとう:え、じゃあいけるところがあったら仕掛けていってもいいの?(笑)
上田:はい。それはもう挑戦してみたいです。
いとう:やっちゃいけないのかと思ってた。やっていいなら、話の筋が変わっちゃうようなところ以外でやってみようか。ちゃんとした役でも、翻弄される形での笑いは取れるから。やります!
上田:嬉しい! 必死に喰らいつきます! がんばります!
いとう:『ビットワールド』は、最初の打ち合わせで「絶対に子どものアイデアを中心にする」と決めて25年やってきました。舞台にした時どうするのかと思ったら、日々子どもたちのアイデアが芝居の中に入ってくる形になりました。コールアンドレスポンスのようなものを組み込んでいるのは新しいしビットらしいし、バラエティっぽさがある。でもちゃんと芝居として引き取って次のシーンに繋がるので、それを楽しんでもらいたいです。舞台だけど舞台ではないような新しいことが起きているので、ぜひ楽しみながら参加してほしいですね。
(事前募集のアイデアに加え、座席特典で当日集まるアイデアは横山だいすけのシーンに使われると聞き)
上田:なかなかないですよね。絶対にだいすけさんが一番ハラハラしてますよ。
上田堪大
いとう:アイデアが集まらなかったり、滑ったりしたらどうしようって(笑)。そのために僕と誰かがチャチャを入れる係になってるけど。みんなにとってチャレンジだから面白いと思う。
子どもも大人も、いろいろな楽しみ方ができるはず
ーーここまでのお話でも出てきたことではありますが、舞台版ならではの魅力、ご自身の役の注目ポイントを教えてください。
上田:今お話に出たように、事前募集や当日募集でお客さんも参加できることです。基本、舞台は僕らが板の上で芝居しているのを届けるんですが、客席も一体化するのが『ビットワールド THE STAGE』の魅力だと思います。普段、お客様の顔を見ながらお芝居することってあまりないんですが、今回はみなさんの顔を見る瞬間が多いと思います。
いとう:そうだね。お客さんとどのくらい息を合わせていいかは毎公演違うだろうし、それをキャスト全員がパッと共有できたら気持ちいいと思う。
高橋:さっき堪大くんが笑いに挑戦してみたいと話していましたが、僕は笑いを全部ビットチームに任せようと思っていたんです。僕の活動の中心は舞台なので、舞台の基盤を作って、笑いは全部任せようと。でも脚本を読んだら、ユタカはボケるところが多い。そこは僕の意思ではなく、脚本と演出の意思だということを訴えておきたいです(笑)。そしたら滑っても問題ないのかなと思うので……。
いとう・上田:(笑)。
上田:ただただうらやましいんだけど(笑)。
高橋:笑いに関して全く自信がないんですよ。
いとう:大丈夫。きっとウケるし、芝居をフォローしてもらってるぶんそこはこっちがフォローするよ。
上田:支え合いだ。
いとう:突拍子もないギャグじゃなくて役に合った笑いだから、お客さんも楽しんでくれると思うよ。
高橋:ありがとうございます。頑張ります!
高橋怜也
いとう:もし滑ったらじーっと見るね(笑)。
高橋:じーっと見られた瞬間「あ、今滑ってるんだ」ってなるんだ(笑)。
ーー最後に、楽しみにしているみなさんへのメッセージをお願いします。
上田:今現在『ビットワールド』を楽しんでいるお子さんもたくさんいるでしょうし、25年間の歴史の中で大人になっている方もたくさんいると思います。劇場に来てくださる方々には、大人になっていても「自分もこんな気持ちだった」とか「楽しかったな」とか、思い出を振り返ってもらえる作品にしたいです。劇場から出た時に笑顔で帰ってもらえる作品にしたいと思うので、ぜひ楽しみに足をお運びください。
高橋:25周年という記念すべきタイミングでの舞台化です。堪大くんも言ったように、お子さんから大人になった方まで、誰が見ても楽しいし、誰にとっても難しくない作品なので、幅広い方に来ていただきたいです。その中で、僕らオリジナルキャストが舞台の基盤を活かしつつビットチームのみなさんとうまく融合し、より楽しく面白い作品にできたらと考えているので、ぜひ劇場に見にきていただけたら嬉しいです。
いとう:このように、芝居を本業にしている方々が心を動かすような芝居をしていきますが、その合間は毎公演違うものが見られる構造になっています。ということは、何回来ても「今日はこんなふうに面白いんだ」「今日はここまでエモいんだ」というマジックが起きる可能性がたくさんあります。子ども達がゲラゲラ笑っている横で大人たちが泣いている、なんてことも起きる舞台だと思うので、いろいろな感情の幅を生み出したいですね。ぜひ最低2回は見ていただいて(笑)、「両方とも面白かった!」と言ってほしいです。
(左から)上田堪大、いとうせいこう、高橋怜也
取材・文=吉田沙奈 撮影=荒川 潤
公演情報
【日程・会場】2025年7月4日(金)~13日(日)東京・サンシャイン劇場
【脚本・総合演出】川尻恵太(SUGARBOY)【演出】白鳥雄介(ストスパ)
【出演】
上田堪大 小山百代 高橋怜也 / 大和悠河(特別出演)
金子貴俊 中田あすみ 横山だいすけ ソーズビー・キャメロン
升野英知(映像出演)
いとうせいこう
日替わりコーナーゲスト出演者:浅川梨奈 升野英知 マキタスポーツ 古坂大魔王 増子敦貴(GENIC)(出演順)
【料金】特典付SS席16,000円、一般S席9,500円、U18席5,000円(税込)
【特典付SS席 特典内容】
■舞台参加・ハガキ職人セット(「ビットワールドTHE STAGE」オリジナルペン付き)
・開演10分前までに劇場内に設置された専用箱に投函してください。舞台本編中ランダムで読まれるかも!?
■複製サイン入りブロマイド10枚セット
・対象キャスト:上田堪大、小山百代、高橋怜也、大和悠河、
金子貴俊、中田あすみ、横山だいすけ、ソーズビー・キャメロン、升野英知、いとうせいこう
■「ビットワールドTHE STAGE」専用クリアポーチ
■「ビットワールドTHE STAGE」ステッカーセット
公式HP:bitworld-stage.com
公式X:@bitworld_st
企画・制作:ディレクションズ
主催:『ビットワールド THE STAGE』製作委員会
日替わりコーナー
内容/出演者:
ゴースタグラマーナーナ on STAGE
出演:浅川梨奈
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)浅川梨奈、金子貴俊、横山だいすけ、ソーズビー・キャメロン
内容/出演者:
ダイゴ、スミレ、ユタカによるSTAGE
出演:上田堪大、小山百代、高橋怜也
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)上田堪大、小山百代、高橋怜也、中田あすみ
内容/出演者:
ダイゴ、スミレ、ユタカによるSTAGE
出演:上田堪大、小山百代、高橋怜也
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)上田堪大、小山百代、高橋怜也、ソーズビー・キャメロン
内容/出演者:
覆面座談会 in ビッステ
出演:いとうせいこう、横山だいすけ、金子貴俊、上田堪大、小山百代、大和悠河
タンゴリラッパー
(出演)横山だいすけ、金子貴俊、中田あすみ、小山百代
内容/出演者:
ねず on STAGE
出演:升野英知(マス沢)、金子貴俊(カネ川)
タンゴリラッパー
出演:升野英知、ソーズビー・キャメロン、上田堪大、高橋怜也
内容/出演者:
ダジャッカルズ
出演:マキタスポーツ、ソーズビー・キャメロン、中田あすみ、高橋怜也
内容:
(出演)マキタスポーツ、横山だいすけ、小山百代、高橋怜也
内容/出演者:
ミューチューブ
出演:古坂大魔王(コサキャッツ)、増子敦貴(ましキャッツ)
内容:
(出演)古坂大魔王、増子敦貴、大和悠河、中田あすみ
内容/出演者:
しめきりですよ!
出演:升野英知、いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)升野英知、金子貴俊、上田堪大、小山百代
内容/出演者:
しめきりですよ!
出演:升野英知、いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)升野英知、中田あすみ、大和悠河、高橋怜也
内容/出演者:
ダイゴ、スミレ、ユタカによるSTAGE
出演:上田堪大、小山百代、高橋怜也
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)上田堪大、小山百代、高橋怜也、金子貴俊
内容/出演者:
ダイゴ、スミレ、ユタカによるSTAGE
出演:上田堪大、小山百代、高橋怜也
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)大和悠河、上田堪大、小山百代、高橋怜也
内容/出演者:
SPaiCE on STAGE
出演:浅川梨奈、中田あすみ
MC:いとうせいこう
タンゴリラッパー
(出演)浅川梨奈、横山だいすけ
上田堪大、高橋怜也