【船木誠勝&黒潮TOKYOジャパンインタビュー】かつての師弟がベルトをかけて対峙!『SSPW後楽園ホール大会』は9/11開催
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『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.36―THE 20th ANNIVERSARY―』で船木誠勝と黒潮TOKYOジャパンが対戦
後楽園ホールで9月11日(木)に開催される『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.36―THE 20th ANNIVERSARY―“過激な仕掛人”新間寿は終わらない!』。そのメインイベントで対戦する船木誠勝と黒潮TOKYOジャパンのオフィシャルインタビューが届いた。
船木誠勝「いつもとは違う“イケメン”を引き出す」
8月28日に行われた記者会見にてビデオでコメントする船木誠勝
船木誠勝は3月13日、56歳となる誕生日にスーパー・タイガーを破り自身4度目のレジェンド王者となった。これまで3度の戴冠ではいずれも防衛を果たせず終わっていたが、6月の初防衛戦で新崎人生を撃破。9月21日にデビュー40周年記念大会を控える中、まずは11日のストロングスタイルプロレスで、かつての弟子である黒潮TOKYOジャパンを迎え撃つ。まったく異なるスタイルを持つ2人の再会は、いかなる展開を生み出すか。
――9月になっても暑い日が続きますが、コンディションはいかがですか?
船木 8月は試合がなかったので、逆に練習だけに集中できて充実していました。もう昔とは暑さの質が違いますけど、戦いの練習が始まると暑さは関係なくなっちゃうから不思議です。練習中はダルいとか暑いとか感じないんです。だから練習している方が調子がよくて、それだけ集中できているんだと思います。
――夏バテ・暑さに対する、何か船木選手独自の対策があれば教えてください。
船木 とにかく水をたくさん飲みます。普段から水分は摂る方ですが、夏場はその倍くらい飲んでいる気がします。知らないうちに脱水しているので、いつも以上に意識しています。それから10分とか15分ですけど、時間があれば少し横になって昼寝をします。目を瞑るだけの仮眠ですけど、これをちょこちょこやることで疲れを溜めないようにしています。
この年になるといかに回復するかが重要なので、この仮眠もトレーニングのうちです。午前中にトレーニングをして、食事を摂った後に少しウトウト来るので、そのタイミングでパッと仮眠します。寝過ぎると逆にダルくなるので、短くパッと休むのがコツです。
――今年はデビュー40周年となる1年ですが、9月はその記念大会が決定しています。
船木 そうですね。21日に大阪で記念大会をやるので、そこがひとつのハイライトで、この9月を目指して今年1年を生きてきた感じです。
――その21日の記念大会では息子の船木ライアン選手がスペシャルエキシビションマッチに出場するのが決まっています。
船木 自分が大阪に引っ越してちょうど10年になるんですが、当時10歳だった息子とその頃から一緒にトレーニングを始めました。それが今年でちょうど10年経って、自分の40周年記念大会があるので、「記念に試合をしてみたい」と本人から申し出がありまして。やっぱり練習だけしていても自分がどれだけ強いのかしっくり来ないし、試したくなるみたいです。2005年から柴田勝頼と格闘技の練習を始めて、そこから2年経ったら「総合で戦いたい」って言い出したんです。やっぱりやっていくと試したいというか確認したくなるのか、なんかそのときと似ているなと思いました。
――そしてその対戦相手を努めるのが、かつての弟子でもある近藤有己選手です。
船木 本当に不思議な感じです。息子がリングに立つことも、ましてその相手が近藤だということも、まったく想像していませんでした。でも、近藤はああいう男なので、思いっきりぶつかっていけばしっかり受け止めてくれると思います。
――ライアンさんの今後はどのように?
船木 格闘技1本でやっていくというわけではなく、普通に仕事をしながらアマチュアでやっていく形になると思います。自分自身この世界で40年生きてきて、業界の状況が昔と大きく変わったのを肌で感じています。昔は団体に所属していれば生活が守られていましたけど、今は個人の力がすべてで、息子もそのあたりはわかっていると思います。格闘技をしなくても生活していける基盤を築くことがまず基本だと考えています。
――そして弟子ということで言えば、そのひとりである黒潮TOKYOジャパン選手を今大会での防衛戦の相手に指名されました。その理由をお聞かせください。
船木 彼と別れて、ちょうど10年なんです。当時まだ22歳だった彼も今は32歳。レスラーとして一番いい、脂の乗った時期を迎えています。自分もちょうど40周年というタイミングだし、その彼とシングルマッチで戦ってみたいと思ったんです。
――船木選手は2015年6月末にWRESTLE-1を退団してフリーとなり、黒潮選手は団体所属時代に指導した“最後の弟子”となります。どんな印象がありますか?
船木 本当に去年のことぐらいに覚えていて、彼はとにかく運動神経がよかったです。やればやるほど、教えたことをどんどん吸収していく。久々に“天才”だなと思いました。すぐに動きを覚えてできてしまうので、総合格闘技でも選手としてやれるんじゃないかと勧めましたが、「それはやりません」とキッパリ断られました(笑)。だからさっきの話で、練習してやりたくなる選手もいれば、やりたくない選手もいる。彼は後者だったんでしょうね。ただ、素質はとんでもないものがありました。
――長い入場パフォーマンスや、ジャケットを着て戦うといった、黒潮選手の現在のスタイルは師としてどう思われますか?
船木 逆に、試合前にあんなに動けるのがスゴいです。入場だけで4~5分は動いていて、もう試合の半分ぐらい動いてますから。自分はいつも入場前は「早く行かなきゃ」って焦るんですけど、今回は彼のおかげでゆっくり準備できそうです(笑)。
――何か弟子時代の印象的なエピソードがあれば教えてください。
船木 半年ずっとトレーニングしていたのでいろいろありますけど……あるとき、飯伏(幸太)選手と飲んで、次の日の自分とのトレーニングに遅刻してきたことがあったんです。もともとそういうヤツだと思っていたから、別に怒りもしなかったんですけど、本人は“ヤバいことをしてしまった”という感じで、もう道場に走ってきて、スライディングしながら土下座したんです。その姿がおかしくて(笑)。彼は真面目にやっても、どこか面白いんですよね。あれは彼が持って生まれた個性だと思います。初めて観に来た人でもファンになってしまうじゃないですか。それは彼の素質だし、面白いヤツです。
――黒潮選手に自身の教えやスタイルが継承されていると感じる部分はありますか?
船木 いや、まったくないです(笑)。まったくないのがまた面白いですけど、今回は一瞬でも思い出させてやろうと思います。
――21日に大阪で開催する記念大会に対し、今回11日の防衛戦は東京での記念試合とご自身で位置づけられています。
船木 いつまでもトップのままではいられないので、自分が動けるうちにやっておきたいと思っています。かつての弟子で、いま一番ノッている若い選手と戦うのもそうで、自分の体力、精神力に対する挑戦です。船木誠勝というレスラーを、今の若い選手たちに体験してもらいたい。もちろん、あいつはこの10年で進化しているから、簡単な試合にはならないし、シンドい試合になるのは覚悟の上です。
――最後に、この試合を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
船木 今回はいつもとは違うイケメン(※かつてのリングネーム=「黒潮“イケメン”二郎」)――今は「イケメン」じゃないですけど、自分にとってはイケメンです。いつもとは違うイケメンが出てくると思うし、それを自分が引き出します。
黒潮TOKYOジャパン「俺がSSPWのベルトを巻いたら何が起こるのか」
黒潮TOKYOジャパン
今大会で、防衛戦を行う第20代レジェンド王者・船木誠勝の挑戦者はWRESTLE-1時代の弟子である黒潮TOKYOジャパン(旧 黒潮“イケメン”二郎)に決まった。WWEを経て日本マットに戻り、現在は自身の団体『アップタウン』を率いる黒潮が語る師弟の秘話と今後の野望。ストロングスタイルプロレスに“スタイルストロング”黒潮が殴り込みを掛ける。
――はや9月となり暑さは続きますが、黒潮選手にはどんな夏でしたか?
黒潮 もうプロレスしかない感じです(笑)。普段から基本的には飲んで試合して、飲んで試合して、みたいな生活で「今年の夏は何もないな」と思っていたところに船木さんとの大勝負が来たので、「お、これで夏が終われるな」って、そういう感じです。
――「何もない」と言われる中でも、『アップタウン』は初の大阪大会(8月30日)も盛況でしたし、充実していたのではないですか?
黒潮 団体経営は初めてなので、大阪大会も新宿FACEと同じような感覚でやったんですけど、選手の移動費とかホテル代、そういうのを具体的に計算していなくて。興行自体は超満員だったんですけど、終わってみたら収支はプラマイゼロみたいな(苦笑)。赤でもないし黒でもないけど、「あれ、これちょっとやり方を考えないとな」って、地方大会の難しさが勉強になりました。
――ですが、大会が盛り上がったことが次回以降へのよいプロモーションになったのではないかと思います。
黒潮 雰囲気よく終わって、最初はそんなつもりもなかったんですけど、最近は団体を大きくして盛り上げたいなっていう気持ちが生まれてきました。会社化してちゃんとしようと思うし、若い子の育成にも興味があります。プロレスラーになる人って、普通みんな運動神経がよかったり素質があったりしますけど、今うちの団体には見事に“できない系”の子たちが集まっちゃって(笑)。でも、そんな「絶対プロレスに適してないよな」っていう子を育成して、逆にそういう子たちの方がお客さんは応援できるんじゃないかと思うし、そういった実験的なことをやっていきたいです。
――当初はなかった育成への興味が湧いてきたのですね。
黒潮 僕のそもそもの師匠がTAJIRIさんで、TAJIRIさんもアメリカから帰ってきてSMASHを立ち上げて、若い子をいっぱい育てていたじゃないですか。そういうのを見てると、自分のやりたいことがTAJIRIさんに似てきたのかな、と思います。
僕はプロレスラーになって15年、この業界に入って18年ぐらい経つんですけど、“やりたいこと”っていうのは達成していくうちだんだん減っていって、次第に自分のやりたいことが団体経営とか若手育成になってくる。今まで培ってきたものを団体という形にして、お客さんがどう評価してくれるのかっていうのが気になるし、それがすごく楽しいんです。だから、「これって結構、俺が本当にやりたかったことなのかな」って今は感じてます。
――育成ということで言えば、今回対戦する船木選手もかつて指導を受けた師匠のひとりとなります。当時の船木選手はどんな印象でしたか?
黒潮 すごい怖い人だと思っていたんですけど、「思ったより怖くなかったのが逆に怖かった」というか。不思議な現象でした。船木さんに弟子入りして、もちろん船木さんのことは知っていたんですけど、あまり知識がなかったので試合を見てみようと思って、一発目に見たのがバス・ルッテン戦だったんです。だから「ええー! 俺この人とこれからやっていくの!?」って衝撃を受けました(笑)。練習はキツかったんですけど、自分自身も変わっていって、期間は半年ぐらいですけど、思い出の濃さで言ったら5年ぐらいの感じがします。なので、船木さんがWRESTLE-1を辞めるときは特別に悲しかったです。
――それだけの関係性が築けていたのですね。
黒潮 僕は当時、船木さんが辞めることを知らなくて。ちょうど武藤(敬司)さんとのシングルマッチを控えていたときで、船木さんはその前に伝えようと思っていたらしいんです。でも、大事な試合前だからって気を遣ってくれて、終わってから言おうと。で、武藤さんとのシングルが後楽園ですごい盛り上がって、僕が満足そうに控室に帰ってきたから、今度は「暗い気持ちにさせるのはやめよう」と思って言わなかったって、後で聞きました。
それで結局、僕はTwitterで退団を知って、「ええー!」ってなって。次の日の千葉大会の控室で直接言われて、まだ21とか22歳だったからすごい泣いちゃって。船木さんとはアッという間に練習が始まって、アッという間にいなくなってしまった感じでした。
――濃密だった船木選手との練習で、今の黒潮選手に残っているものはありますか?
黒潮 残ってると思います、見事に出してないだけで(笑)。WWEのパフォーマンスセンターで柔術の練習みたいのがあってみんな馬鹿力でしたけど、サブミッションを取られはしなかったです。それはもうすべて、船木さんとの練習のおかげですよね。まぁでも、試合で出さなきゃなんの意味もないんですけど(笑)。ただ、知ってる人は知っている、船木さんと俺のこの師弟関係っていうのは、なんか好きですね、俺は。
――船木選手は「すごく素質があった」と黒潮選手のことを話していましたが、当時、総合格闘技の道に進みたいとは思いませんでした?
黒潮 1ミリもなかったです(笑)。総合格闘技にムーンサルトプレスがあればやりたいってずっと思ってましたけど、ないしな、みたいな(笑)。ロープに登ったら反則ですもんね。だから、そっちの道に行こうという発想は1回もなかったです。
――そんな船木選手に挑む今回の王座戦は、師弟対決以外にも特別な意味があるとお聞きしました。
黒潮 そうなんです、実はこれ、WRESTLE-1時代にやっていた「試練の七番勝負」の幻の最終戦なんです。ウルティモ・ドラゴンさんから始まって、関本大介さん、高木三四郎さん、葛西純さん、グレート・ムタさん、飯伏幸太さんと戦って、6人目で終わっていて。第6戦の飯伏戦の後、マイクで「最後の相手はもう辞めてしまったけど船木さんしかいないと思ってます」と言ったんですけど、それは保留のままになって、第7戦がなく終わっちゃったんです。
だから、俺の試練の七番勝負最終戦が、10年越しにここで実現する。これ、会見で言えばよかったな(笑)。だからタイトルマッチでもあるし、その物語がやっとここで終わるんです。
――師弟対決であり、壮大なストーリーの完結編でもあると。最後に、この一戦への意気込みとファンへのメッセージを改めてお願いします。
黒潮 今回の試合で船木さんと戦えるのはもちろん楽しみですし、俺も戦いたい気持ちがあります。でも師弟対決とかその前に、このストロングスタイルプロレスという団体のチャンピオンベルトを、シンプルに巻いてみたいです。俺みたいな男がこのベルトを巻いて、一体どんなことが起こるのか。それにものすごく興味があります。賛否両論、何が来るのか分からないけど、そのためにはまず勝たなきゃいけない。だからベルトを獲りにいくし、俺がベルトを巻くところをぜひ見に来てください。
『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.36―THE 20th ANNIVERSARY―』は9月11日(木)に開催
■『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.36―THE 20th ANNIVERSARY―“過激な仕掛人”新間寿は終わらない!』
日時:9月11日(木)18:30試合開始
場所:後楽園ホール(東京都)
▼メインイベント レジェンド選手権試合 60分1本勝負
[王者]船木誠勝(フリー)
VS
[挑戦者]黒潮TOKYOジャパン(プロレスリングアップタウン)
メインイベント レジェンド選手権試合 60分1本勝負
▼第6試合 Wメインイベント 6人タッグマッチ 30分1本勝負
ジャガー横田(ワールド女子プロレス・ディアナ)& 薮下めぐみ(フリー)& スターライト・キッド(スターダム)
VS
世羅りさ(プロミネンス)& 柊くるみ(プロミネンス)& 夏実もち(プロミネンス)
第6試合 Wメインイベント 6人タッグマッチ 30分1本勝負
▼第5試合 タッグマッチ 30分1本勝負
スーパー・タイガー(SSPW)& 竹田誠志(フリー)
VS
村上和成(フリー)& 川村亮(フリー)
第5試合 タッグマッチ 30分1本勝負
▼第4試合 テキサストルネードランバージャック6人タッグデスマッチ 30分1本勝負
間下隼人(SSPW)& 関根“シュレック”秀樹(ボンサイ柔術)& 洞口義浩(フリー)
VS
大仁田厚(邪道軍)& 雷神矢口(邪道軍)& リッキー・フジ(邪道軍)
第4試合 テキサストルネードランバージャック6人タッグデスマッチ 30分1本勝負
▼第3試合 タッグマッチ 30分1本勝負
Sareee(フリー)& 彩羽匠(Marvelous)
VS
NØRI(LLPW-X)& 光芽ミリア(SEAdLINNNG)
第3試合 タッグマッチ 30分1本勝負
▼第2試合 タッグマッチ 30分1本勝負
タイガーマスク(新日本プロレス)& SUGI(フリー)
VS
日高郁人(ショーンキャプチャー)& 阿部史典(格闘探偵団)
第2試合 タッグマッチ 30分1本勝負
▼第1試合 タッグマッチ 20分1本勝負
本間多恵(フリー)& MIRAI(マリーゴールド)
VS
櫻井裕子(COLOR’S)& 叶ミク(T-HEARTS)
第1試合 タッグマッチ 20分1本勝負
イベント情報
『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.36―THE 20th ANNIVERSARY―“過激な仕掛人”新間寿は終わらない!』
日時:9月11日(木)18:30試合開始
場所:後楽園ホール(東京都)